子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

Tシャツ700枚を5枚に!「好き」を絞って心地よく暮らすコツを人気ルームスタイリスト「ひでまる」さんに聞きました

心地よい理想の空間で暮らしたいけれど、部屋は狭いしセンスもないしと、あきらめていませんか? 「理想の暮らしにセンスはいりません。“ルール”があれば部屋は整います」と話すのは、都内47平米のリノベマンションで、パートナーと暮らすルームスタイリストであり整理収納アドバイザーの安藤秀通(あんどう ひでみち)さん、通称「ひでまる」さんです。

SNSを中心に大人気のひでまるさんに、心地よい暮らしへの第一歩を教えていただきました。

「家の広さ=心地よさ」ではない

null
『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』(小学館)

『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』(小学館)

この11月に、初の著書『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』を発売。SNSを中心に、10年来のパートナーであるぶたじるさんとの男性2人暮らしを発信し、おうちの片付けサポートも行うひでまるさん。

部屋の狭さに悩む筆者に向けて、開口一番「家が広いかどうかは心地よさと比例しません」ときっぱり。

「私たちが今暮らすマンションも、広さは十分とは言えません。でも、一つ前に住んでいた家よりもパートナーとの喧嘩も減り、好きなモノに囲まれて心地よく暮らしています。狭くても、自分の好きを知り、好きに絞って整えてゆけば、理想の暮らしは誰でもできます」(以下「」内、ひでまるさん)

曰く、広いほうが空間を使いこなすのが難しい場合もあるそうです。

「狭いから、賃貸だから無理というお悩みをよく聞きますが、大丈夫。むしろ狭いほうが“モノの持ち方”を気にしなくてよいので、暮らしやすいかもしれません」

“モノの持ち方”……とは? さっそく教えていただきましょう!

まずは「整理」から始めよう

null

整理・収納、インテリアのプロフェッショナルが口を揃えるのは、心地よい暮らし作りで最初にすべきは、モノを減らす「整理」。これは、ひでまるさんも同じです。

ただ、「好きなモノはどんなモノであっても捨てなくてよい」と続けます。

「自分が好きなモノは、自分の人生に必要なモノ。それらに囲まれた暮らしは、世界に一つの素敵な暮らし。だからこそ不要なモノは今すぐに手放しましょう」

整理は「小さな一箇所」から

「毎日使うお財布が整理された使いやすい状態になると、もっとほかの場所を整理したいというエネルギーが湧いてくると思います」(写真:『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』より)

「いきなり“全出し”して整理せず、まずはお財布や鞄、よく使う引き出しの一段など、小さなスペースの整理から始めてみましょう

“全出し”とは、家中のモノを全て出し、いる・いらないをジャッジ、カテゴリーごとに分けて整理・収納してゆく、いわばお片付けのセオリーともいえます。でもこれ、かなりの時間と体力、気力を使うため「一人で行うのはとっても大変で、多くの人は難しいと思う」とひでまるさん。だから小さなスペースから整理を積み重ね、少しずつ家全体の整理を進めていきます。

ひでまるさん自身も、現在のおうちを整理するまでに2カ月を要したと言います。

「仕事以外の時間はすべて注ぎ込み、少しずつ進めていきました」

必要と不要の見極めは「第三者と一緒に」するのがおすすめ

物腰が柔らかなひでまるさんも、仕事となると別。「お客様のもとで一緒にお片付けをする時は、ずっと隣で“それは使いますか?”“必要ですか?”と問い続けます」(写真提供:ひでまるさん)

プロのひでまるさんでさえそれだけかかったのだから、必要と不要を見極めるのはなかなか苦しい作業のはず。大掃除や引越しなどでも、ついつい思い出の品を眺めてしまうなど、時間がかかりますよね……。

モノには過去のストーリーが詰まっているので、1人で判断すると、一つひとつ“あの人にもらったな”とか“あそこで買ったな”などと振り返りがちです。だから、パートナーでも友人でも家族でもよいので、自分以外の第三者と整理するとスムーズですよ」

整理に第三者が入るとよいのは、客観的にモノを見てくれるから。

「例えば、口が欠けたガラスのコップ。自分は過去に引っ張られて必要かどうか判断に迷うけれど、第三者がいると“これ、欠けてるよ”“危ないんじゃない?”などと言ってくれます。自分の家は毎日見ているため景色になりがち、モノがあることが当たり前になってしまうんです。だから、フレッシュな目で見ることができる人が入ることで、整理はぐっと進むはずです」

一般論ではなく、自分にとって必要かどうか

また、「“普通”は使う」「他の家には“普通”にある」といった、一般論は気にしなくてよい、とも。

「例えばバスタオル。私もパートナーのぶたじるさんも小さい頃から家にあり、『“普通”は使うもの』と思い込んでいました。でも、いろいろ手放す中で2人で話したときに、『“普通”は』というだけで持っていたと気づいたんです。

蓋をあけてみると、バスタオルは乾きにくいから管理しにくく、スペースも取ります。そして、それに私たちはストレス感じていることに気づきました。

バスマットも同じで、今はフェイスタオルを床に敷き、使ったものをそのまま洗濯機にぽいっと入れています。場所も取らなくなりましたし、カビが生えるようなこともなくなりました」

人生に必要なモノの選び方

null
手前はひでまるさんのオールシーズンの洋服。奥はぶたじるさんの洋服。現在は、ここにかかる分しか洋服は持っていないそうです。(写真:『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』より)

「整理」をする時も、新たにモノを迎える場合も、「人生に必要なモノの選び方を決めておくとよい」とひでまるさんは言います。

「私の場合は、“機能性・デザイン性・ストーリー”でモノを選びます。たとえばお洋服なら、着ていて心地よいか? それを着て、大好きな友人や大切な仕事相手に会えるか? 一つひとつ、なぜ持っているのか? どういうふうに使いたいのか? などと考えてみると、人生に必要なモノの選び方が分かってきます」

一度、必要なモノの選び方が分かれば、何も考えず買うことが減ります。つまり「好き」だけが並ぶ部屋になっていく……というわけです。

「私の場合はお洋服が好きで、一時期はTシャツを700枚も持っていました。それが今や5枚にまで絞り、とても心地よく暮らしています。

何から始めてみるか迷ったら、部屋の中を見渡して、好きと感じるものの中から1番を選ぶ練習をしてみるのもよいですね」

「整理」には手放す痛みが必要不可欠

null

心地よい理想の空間で暮らしたいなら、やはりどうしても捨てるという行為は切っても切り離せません。

「むやみやたらに捨てることをおすすめするわけではありませんが、ゴミを出すことに罪悪感を感じないでください。“整理”が進まないのは“もったいない精神”が邪魔をしている可能性もあります。モノより人間のほうが大事です!

私自身、もともとモノに埋もれた生活をしていて、それが一変したことで人生が大きく動き始めました。部屋が片付かなくて自己嫌悪に陥ったり、なんだかすっきりしないと思い続ける人生はもったいない。一刻もはやく、自分にとって必要なモノだけ残しましょう。そうして“好き”に囲まれた生活は、心地よく、ご自分のことも大事にできるはずです」

【取材協力】
安藤秀通さん

ルームスタイリスト、整理収納アドバイザー。「ひでまる」として、東京都杉並区の築35年、47平米のリノベマンションでの男性パートナーとの2人暮らしをSNSを中心に発信。幅広い世代に話題を呼ぶ。ディズニーストアや美術館、水族館のミュージアムショップで8年間VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)を学んだ経験を活かしたルームスタイリングは、数カ月先まで予約が埋まるほど。部屋作りの情報を詰め込んだルームツアー付きセミナーを自宅にて開催し、人気を博している。セミナー、コラム執筆など、多方面で活躍中。202311月に初となる著書『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』(小学館)を発売。

https://www.instagram.com/hidemaroom/

『47㎡、2人暮らし 大好きだけが並ぶ部屋作り』著/  安藤秀通(ひでまる)(1,650円税込み・小学館)

センスはいらない、部屋はルールで整える!

インテリアの提案がツボすぎる!と、SNSでも大人気のルームスタイリスト・整理収納アドバイザー、ひでまるさん。『NHK WORLD-JAPAN』 でも話題になり、インスタグラムのフォロワーは9.5万人!  注目の集まる中、本名の安藤秀通として、初の書籍です。
この本では、45 個の“ひでまルール” をご紹介。今より必ず部屋が大好きになれる“ルール” です。読みながら自分と向き合う、癒しの時間を過ごしませんか?

Amazon で詳しく見る
楽天で詳しく見る

ニイミユカ
ニイミユカ

兵庫県出身、浅草在住。一児の母。主に食や体のことなど、生活にまつわる地に足のついた企画を、雑誌や書籍、WEBメディアなどで編集・執筆する

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載