北九州の名物「くろがね堅パン」
null筆者が「くろがね堅パン」を知ったのは、福岡に住む妹から送ってもらったことがきっかけです。「北九州で有名なクッキーだよ」と聞いたのですが、手に持つとズシリとした重量感。え?これ本当にクッキー?
でも、名称は「菓子(焼き菓子)」と書かれているし、材料は「小麦粉、砂糖、加糖れん乳、膨張剤」とあり、確かにクッキーのような構成です。
パッケージをあけると、ふわりと甘い香りとともに、ぽってりとした長方形のクッキーが出てきました。
どれどれ一口……と、食べようとしたのですが!
大袈裟ではなく、まっっったく歯がたちません。あくまでも筆者の感覚ですが、堅いお菓子の代表「カンパン」より手強いです。
前歯ではむり!と判断し、なんとか奥歯でガリガリかじると、素朴な甘さが広がりました。どこか懐かしい味わいで、子どものころにじぶんで焼いたシンプルなクッキーみたいです。うん、おいしい!
わが家の娘も「かたい〜〜〜」と苦戦しつつ、そのやさしい甘さにハマったよう。今ではおやつや朝食に、文字通り「ガリガリ」いわせながら食べています。
その堅さゆえ、日ごろよりたくさん噛むので、あごが鍛えられるのはもちろん、1枚食べるだけでもかなりの満足感があります。
また、子どもに「よく噛んで食べなさい」と口で教えるのは難しいけれど、これを食べれば噛む大切さを体で学んでくれるかな、なんて(笑)。
ちなみに筆者は東京・上野の『二木の菓子 ビック館』で買っているのですが、置いてあるのは10枚入りのみ。個包装ではないので、開封するとジッパー付き袋などで保存する必要があります。
おいしいけれど、3人家族のわが家は一度では食べきれません。開封後の保存については、今のところ唯一のウィークポイント。せめてパッケージにジッパーをつけてくれたら、と願っています。
大家族とか、大人数で登山やキャンプに行くときの軽食なら、この1袋が食べきれてよいかもしれません。
昔ながらの製法を守るおいしさの秘密
nullなぜ、ここまで堅いの?
気になり調べてみると、「くろがね」とは「鉄」を意味する言葉。名前に“鉄”がつく『くろがね堅パン』は、大正時代に官営八幡製鐵所(現在の日本製鉄株式会社九州製鉄所八幡地区)が、従業員の栄養補給にとつくったそうです。
保存技術が今ほど発達していなかった当時、大量につくって長く日持ちさせるため、含有水分量をかなり少なくしたのだとか。そして今も、当時のレシピを守り、そのままの堅さと甘さでつくっているといいます。
あの堅さは日持ちのためだったのね、と納得。
それならと、日頃のおやつや朝食用と万が一の備えを兼ねた、ローリングストック食材に仲間入りさせました。備蓄食材はなるべく食べ慣れておきたいですし、家族みんなが気に入ったもののほうが災害時にも安心して食べられそうです。
ちなみにオフィシャルホームページによると、専用の缶に入った5年間保存がきくタイプもありました。また、イチゴ、ココア、ほうれん草と、味のバリエーションもあるそうです。いつか機会があったら、手に入れて防災用品に加えたい!
異常なまでの堅さとやさしい甘さのギャップにハマる「くろがね堅パン」。楽天などオンラインサイトでも手に入るようです。よければ一度、食べてみてください。
朝ランが日課の編集者・ライター、女児の母。目標は「走れるおばあちゃん」。料理・暮らし・アウトドアなどの企画を編集・執筆しています。インスタグラム→@yuknote