銀行預金は無駄ですか？答えは「NO」、その理由は…？【お金のプロに聞きました】

藤川里絵さんがお金の勉強と積立投資を始めたのは2007年です。勝間和代さんの著書『お金は銀行に預けるな 金融リテラシーの基本と実践』（光文社新書）の内容に共感。毎月、同じ金額を積み立てはじめたといいます。

「勝間さんのことを信じて今日まで積み立てていますが、2008年にはリーマン・ショックがあり、マイナスも経験しました。そこから十数年かけて今はプラスですが、これから先も何が起こるかわかりません。だからこそ銀行預金は必要です。

そもそも積立投資は、10年、20年と長い目で見る必要があります。ここ2〜3年ではじめて今がプラスになっているのは、『たまたまうまくいっている』と思ったほうがいい。

銀行預金は金利が低く、預けているだけでは1円も増えないような感覚に陥るかもしれません。でもだからといって、全てを投資にまわすのはリスクが高すぎます」（以下「」内、藤川里絵さん）

とはいえ銀行に預けているだけではお金は増えません。銀行預金のメリットとは？

「銀行預金は使わなければ、少なくとも額面は減りませんよね。これは大きな心の安心につながります。

また、急に現金が必要になったときのためにも預金は役立ちます。もし全部投資したら現金が必要になったときに売却しなければならず、そのときに当初の投資額より価値が下がっていたらマイナスになってしまいます。せっかく積み立てていたのにもったいないですし、また積立投資をしようという気も起こらなくなるかもしれません。

積立投資を途中でやめずに長く続けるためにも、流動性の高い銀行預金はしておきましょう」

では、どれぐらいの金額を預金すればよいのでしょうか。

藤川さんによると、一般的には半年間、生活できる預金は確保することと言われているそうです。また、入院や冠婚葬祭など、急な出費にも耐えうる預金があれば、なお安心とのこと。

「お子さんがいるなら学費、車の買い替え、住宅ローンの返済など、まとまった現金が必要なシーンはいろいろあります。自分の生活を見つめて、必要な金額は確保することをおすすめします」

一方で、銀行預金のデメリットは「どうしてもインフレに負けてしまうこと」なのだとか。

インフレとは「インフレーション（Inflation）」の略で、私たちが普段買っている日用品やサービスの値段（物価）が上がることをいいます。ちなみにインフレには、“よいインフレ”と“悪いインフレ”があり、近年のインフレは“悪いインフレ”。賃金は上がらないのに身の回りの商品が値上がりして、家計を圧迫する傾向にあります。

「お金の価値が目減りしている今、10年後にお金が同じ価値を保てるかわかりません。100万円が80万円の価値になっている可能性もあります。だから銀行預金のしすぎもリスクになるんですよ」

なんと、貯めすぎもよくないなんて。親に「無駄遣いはするな」と教わった記者は、八方塞がりのような気持ち……。

預金でもしもに備えつつ、投資でお金に働いてもらうにはどうすればいいですか？

「一人暮らしの方なら、少なくとも50万円程度は現金（銀行預金）がある状態にしましょう。少しずつ預金額が増えていったら全資産の中で現金比率を下げていき、徐々に投資額を増やすとよいと思います。私の場合、全資産のうち、25%以上は現金（銀行預金）比率が増えないように調整しています」

もちろん25%というのは、藤川さんの目安。これは人によります。

「まずはご自分の生活を振り返って、必要なお金を把握してみてください。そして、身の丈にあったお金の使い方を忘れずに。投資は自己責任ですので、決して無理はしないでくださいね」

コツコツと積み重ねてゆくためにも、生活の基盤となる銀行預金は大事ということがわかりました。

次回は、「投資初心者がトライするのにおすすめの投資」について教えていただきます！

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