買うのは簡単、捨てるの大変!
null2021年始に亡くなった母から引き継いだ外房の家に、今年の夏は半月間滞在しました。暮らすように過ごしてみると、まだまだ出てくる不要なモノの山に驚かされました。

- 経年劣化で割れたプラスチックの味噌桶
- 綿がねじれている掛け布団
- 毛布×3
- 絵×3(価値ある?なんて欲かかず捨てるのが吉)
- オイルヒーター(いまどき電気代かかりすぎて使えない家電……)
- 石油ファンヒーター(外房の冬は暖かくて不要)
- 灯油入りポリタンク
母はモノが豊かにあふれる時代を生きてきました。その結果、私が学んだのはひとつ。「買うのは簡単、捨てるのは大変!」。これは「太るのは簡単、痩せるのは大変」にも通じるなと、妙に納得したのです。


モノは思い出の代役ではない
null今回の出来事をSNSに投稿したところ、読者の方からこんなDMをいただきました。
「捨てるの、ほんと大変ですよね。 亡き父は物を溜めがちな人だったので物が多量にあり、その処分に苦心しています。 故障した物でもとってあるので、故障の有無チェックから始めないといけなくて。いっそ何も見ずに全部捨てる?」
このDMを読んで、私はハッとしました。
「絶対なくても生活に困らないものなので、無きものにした方が良いと思います!」と、 迷わずそう返信しました。
このやり取りを通じて気づいたのは、「モノは思い出の代役ではない」ということです。むしろモノに執着するほど、心の整理は遠のいていく。
人はつい「形見だから」「思い出の品だから」と物理的なモノに執着して残そうとします。でもそれは、過去に心を縛られることでもあるのです。不要なモノを手放すことで初めて、本当に大切な思い出だけがジブンのなかに残る。この気づきは、亡き両親からの“最後の贈り物”だと、私は感じています。


欲をかかずに、手放す勇気を
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「これ、売れるかも?」と欲をかいて手元に残しておけば、いつまでもゴミと一緒に暮らすことになります。ところで上の画像、本当につい最近(この原稿を書いている昼前後の話)、『COACH』に『コール ハーン』に……、実家のガレージからいろいろ出てきました。いつどこで買ったのかわからない。母は売ることなど考えない人だから、保証書も袋もない。フリマサイトに出すのもトラブルがありそうで恐ろしい。
しかも娘の私はこういうブランド物のバッグにはまったく興味がない。査定100円でもいいからとにかく手元から無くしたい。そう思って、ランチの弁当を食べたあと、腹ごなし散歩に近所の買取センターに持ち込みました。いまは業者からの連絡待ちです。まぁ、たいした金額はいかないでしょう(笑)。
──話を戻すと、「捨てる」という作業には、たしかにパワーがいります。けれど「ゴミと一緒に暮らすのはイヤだ」というシンプルな気持ちを出発点に、少しずつ手をつけてみてください。それが心も生活も軽やかに変える第一歩です。
捨てられないからと故人の不要物をレンタルルームに預け、毎月お金を払い続ける──それは“無駄の上塗り”でしかありません。
究極を言えば、人が亡くなればモノは全部ゴミです。だからこそ“生きているいま”、何を残すか・何を残さないか、ジブンの手で決めていくことが大切。
私は迷わず「モノより思い出」。これが、整理収納アドバイザー1級であり、旅エッセイストでもある私の“無駄のない暮らし”の答えです。
故人のモノに振り回されず、どうぞご自身の心を一番大切にしてくださいね。

二輪雑誌でのエッセイストデビュー後、オートバイ、旅、自転車、アウトドアなど多趣味をいかしたエッセイを執筆しています。私生活では二人の男児の母として、日々「いかに時短で、効率よく暮らすか」を追求中。グリーンアドバイザー、整理収納アドバイザー1級の資格も持ち、家事がラクになるアイデアや、家族が喜ぶ手抜きレシピを模索しています。
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