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男の子は何歳まで女風呂OK? キャンピングカー旅と次男「女風呂卒業」の瞬間

旅エッセイストの国井律子です。今回の連載「無駄のない暮らし」は「子どもの公衆浴場問題」について。
キャンピングカーで旅するわが家は、旅先でのお風呂といえばもっぱら公衆浴場。けれど、次男は年長になったころから、周囲の視線や声かけに戸惑いはじめ、ついにはひとりで脱衣所に戻ってしまうことも……。
お子さんがいる家庭でよく耳にする「男の子は何歳まで女風呂に入れるの?(逆もまたしかり)」という悩み。先日、このテーマについてインスタグラムでアンケートを取ったところ、多くのママやパパから共感とリアルな声が寄せられました。お子さんの成長を喜ぶ反面、公衆浴場でのマナーや周囲の目が気になり、複雑な思いを抱く人が少なくないようです。この記事では、アンケートで集まった皆さんの体験談を交えながら、子どもの公衆浴場問題について考えていきます。

みんなの回答を大公開!「異性風呂卒業」アンケート結果

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先日、私のSNSで実施したアンケートには、134人の方々が答えてくださいました。まず、皆さんがお子さんといつまで異性のお風呂に入っていたか、実態調査から見ていきましょう。

Q1:お子さん、何歳まで異性のお風呂に入れていましたか?

  • 3歳まで:16%
  • 5歳まで:34%
  • 小学校に上がるころまで:40%
  • 9歳くらいまで:9%

最も多かった回答は「小学校に上がるころまで」で、全体の40%を占めました。次に多かったのが「5歳まで」(34%)。この結果から、幼稚園や保育園を卒業するタイミングがひとつの区切りになっていることがわかります。わが家も、まさに「小学校に上がるまで」で、息子たちは女風呂を卒業しました。

内房を旅していたときに入った、「ばんやの湯」のラムネ温泉。このとき2021年11月。次男3歳。何も疑わず私と女風呂に入っていましたね。

Q2:お子さんが異性の浴場に入るのを嫌がり始めたのは何歳ごろからでしたか?

  • 3歳まで:4%
  • 5歳まで:16%
  • 小学校上がるころまで:34%
  • とくに嫌がっていない:46%

「嫌がり始めた時期」については、「とくに嫌がっていない」という回答が46%と半数近くを占めました。一方で、「小学校に上がるころまで」という回答も34%あり、本人なりに異性を意識し始める時期には、ずいぶん個人差があるようです。

わが家の場合、転機は次男が年長さんになったころ。
それまでは「おかーさんと一緒のお風呂」が当たり前だったのに、ある日突然「男風呂に行く!」と言い出しました。理由を聞くと、「女の人が多くて落ち着かない」「見られるのがイヤ」とぽつり。次男は彼が好んで長髪にしているのですが、地方の温泉では「かわいい女の子ね」と声をかけられ、続けて「男の子だったのね!」と驚かれる場面もしばしば。それが次男には居心地の悪さにつながっていたようです。

あるときは脱衣所で「先に出る」と言って私の制止を振り切り、男湯に入ってしまったことも。こちらは心配でたまらないのに、本人は「こっちのほうがいい!」と満足そう。子ども自身のなかで“異性と一緒に入る違和感”が芽生える瞬間は、親が思うよりも早く、そして突然訪れるものだと感じました。

足湯は男女混浴OK、家族みんな大好きです。旅に出ると必ず一回は入って、たわいもないおしゃべり。ほっこりした時間を過ごしています。

Q3:お住まいの地域のルール、ご存じですか?

この質問では、「いいえ」の回答が59%に上りました。年齢制限や条例については、意外と知られていないというのが実情のようです。

知っておきたい!公衆浴場法の「年齢制限」

混浴に関するトラブル等の防止のため厚生労働省は、令和2年12月に「公衆浴場における衛生等管理要領」を改正。混浴制限年齢を「おおむね10歳以上不可」から「おおむね7歳以上不可」に引き下げました。これを受けて、各自治体では条例を改正し、東京都では令和4年1月1日より、7歳以上のお子さんは混浴できなくなりました。そのことにあせった該当子持ちのご家庭も多いのではないでしょうか。

また、混浴の年齢制限に全国一律のルールはなく、都道府県ごとに条例で定められています。そのため、地域によって混浴の年齢制限は異なります。また年齢だけでなく、「身長何センチまでOK」のように、施設ごとに独自にルールを設けている場所もあります。旅先で利用する際は、事前に確認しておくと安心ですね。

栃木県那須にある「大丸温泉旅館」は流れる川のなかに野天風呂があります。混浴ですが「湯浴み着」を着用すれば家族みんなで楽しめました。

読者が語る!忘れられない「戸惑いエピソード」

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アンケートとあわせて、皆さんからたくさんの貴重なエピソードが寄せられました。お子さんの成長を喜びつつも、どうしたらいいか悩む親御さんのリアルな声をご紹介します。

【周りの目が気になった】

「男の子連れのお父さんの、子連れクマ並な警戒心に戸惑う。見るなオーラが刺さる」

「うちも長男を温泉とか連れてったときに迷いましたー。人がほとんどいないような地方の温泉は連れてったりしたけど、スパ的なとこは保育園時代で終了しました!」

「5歳までは迷いなく一緒に入っていたけど、6歳を過ぎてから“そろそろ気をつけたほうがいいかも”という空気を感じた」

「7歳でも小柄だから大丈夫だと思っていたけど、あるとき他の入浴客に嫌な顔をされて……、それ以降は家族風呂を選ぶように」

【子どもの成長を感じた瞬間】

「息子が保育園の時、『ボク、お〇ん〇んついとるのにオンナブロ?』と言ってきたことがありました」

【家庭ごとの事情】

「シングルマザーには厳しかったです。長男9歳、まだ周りに気を使いながら1人で入れるのか? せっかく温泉に来ても1人で楽しいのか? 家族風呂があると助かりますよね」

【混浴の年齢制限について】

「愛知ですが8歳って知らなかった。近所のスーパー銭湯には、遊園地みたいに“身長この先までならオッケー”って書いてあり、サイズ感かなと思ってました」

「十数年前ですが、入浴施設のフロントに12歳以下と制限があったり、別のところでは、10歳未満。年齢で制限するのが分かりやすいでしょうけど、成長に合わせ臨機応変に考えてもいいと個人的には思いますね」

そのほかにもこんなメッセージも……。

「女の子ばかりのご家庭がけっこう羨ましいです。男子でも安全な時代じゃないから、出てくる姿見るまで心配してます。息子が初めて男風呂に一人で行ったときに、私心配でものすごい早さで出ました……せっかくの温泉なのに全然ゆっくり入れなくて」

また、「小学生になったら異性の風呂はやめるべき」という厳しめの意見も一定数ありました。親の都合だけでなく、子ども本人の気持ちや、周囲の目への配慮など、さまざまな要素が交差するテーマなのだと強く感じました。

足湯ならみんなで楽しめるので(しかも無料のことが多い)、旅行中一回は入りますね。こちらは栃木県の日光湯元温泉街の中心にある「あんよの湯」。
箱根の強羅にある「玄」は部屋に温泉が付いていて、滞在中みんなで何回入ったでしょう。たまにはこういう旅もよかったです。

Q4:異性のお子さんと公衆浴場に行きにくくなった後、ご家庭ではどのように対処していますか?

子どもが「もう異性風呂はイヤ」と感じはじめても、親としては心配が尽きません。特に小学校低学年くらいまでは、着替えや洗いが不十分になったり、湯船でふざけてしまったり……そう、わが家は長男が小6ですが、小1の弟と2人で男の子風呂にやったら最後、調子に乗って泳いだりして誰かにご迷惑おかけしないかなと、まったく彼らが信用ならず、夫がいなければ公共のお風呂には行きません。
ともあれ、大人の目が必要な場面は多いものです……。

「公衆浴場に行きにくくなった後、どうしていますか?」という質問には、さまざまな回答が寄せられました。

【夫婦で分かれて入る】

「家族みんなで風呂に行くので男子と女子で分かれて入る」

「一緒に入ってくれる大人がいるときのみ行く」

「小6男子ですが、まだ一人で行かせるのは躊躇しています。行かせたいのですが、旦那がいるときだけかな」

【家族風呂や貸切風呂を利用】

家族風呂や貸切風呂を使うご家庭もとても多かったです!

「3年生くらいまでは家族風呂があるところを探してました。4年生くらいからはひとりで」

「男の子2人だと揉めて騒がないか、心配で一緒に行かせたくない」という声(私も同意見です)も多かったですね……。

「男の子は陸でも全然落ち着かないのに、彼らだけで風呂なんて……」

男の子ママ、悩むこと・思うことはみんな一緒なのかと、ちょっとホッとしましたが(笑)。

蔵王温泉の無人浴場「川原湯共同浴場」。オカネはポストに入れます。大人300円、子ども100円。

日々続く「子育ての卒業」を重ねて

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かつては「夫と長男」、「私と次男」で分かれて入っていた公衆浴場。急に女風呂を嫌がるようになった次男に、「勝手にいなくなられたら心配! 私は男風呂に探しに行くことはできない!」と、強く言ってしまったこともありました。けれど、それは本人が成長し、男女の区別を意識し始めた証拠だったのだと、いまになって気づきます。

読者の皆さんからもこんなコメントいただきました。

「毎年冬は野沢にスノボ行くのですが、子どもが高学年になるまで、外湯は湯温が熱くてチビは入れないし、旅館の内湯で我慢してました。あっという間に大学生になってしまい、もうスノボも彼氏と行くのでなかなか一緒に行ってもらえません」

「旅先で夫と息子たち、男3人でスパに行ったの。入り口で分かれたあと、入浴中にふと、次男とはもうじき入れなくなる。それならこっちに連れてくればよかったなと、なぜかちょっと後悔した」

先日、私もその方と同じことを思いました。旅先の温泉で、別々の入り口で「じゃあね」と手を振ってからおのおのの風呂に入っていく姿を見て、次男が私と女風呂に入ることは今後もうないのだなぁと。ちょっと寂しい反面、やっとひとりでバスタイムが楽しめるーとうれしいような、少し複雑な気持ちになりました(笑)。

そう考えると、子育てって日々卒業の連続なんですね。ひとつひとつの卒業を大切にしながら、子どもの成長を見守っていきたいと改めて感じました。

国井律子
国井律子

二輪雑誌でのエッセイストデビュー後、オートバイ、旅、自転車、アウトドアなど多趣味をいかしたエッセイを執筆しています。私生活では二人の男児の母として、日々「いかに時短で、効率よく暮らすか」を追求中。グリーンアドバイザー、整理収納アドバイザー1級の資格も持ち、家事がラクになるアイデアや、家族が喜ぶ手抜きレシピを模索しています。

https://ameblo.jp/kuniritsu/
https://www.instagram.com/ritsuko_kunii/

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