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意外と知らない「寒天」と「ゼラチン」の違いを徹底解説!涼を取れるひんやりおやつの作り方も

【食べ物の違い豆知識】を紹介するこちらのシリーズ。45回目は、お菓子作りに欠かせない「寒天」と「ゼラチン」について。共に、羊かんやゼリーを作る材料のひとつですが、その違いを料理研究家・時吉真由美さんが詳しく教えてくれました。

まずは「寒天」と「ゼラチン」について調べてみると…

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寒天

テングサを煮て固め、凍らせてさらに乾燥したもの。軽く、白色。再び煮て冷やすと透明になって固まる。寒天寄せなどの料理や、蜜豆、羊かんの材料に用いたり、また、医薬用にも用いる。

【出典】日本国語大辞典 小学館

ゼラチン

動物の骨・皮などに含まれるコラーゲンを煮て水溶性たんぱく質としたもの。温湯に溶け、冷却すればゼリー状に固まる。

【出典】デジタル大辞泉 小学館

つまり「寒天」と「ゼラチン」の違いって?

寒天とゼラチンは両方とも液体などを固める凝固剤として使いますが、大きな違いは原料にありました。寒天は天草という海藻を原料とする植物性。一方、ゼラチンは牛の骨や豚の皮を用いた動物性です。

もうひとつの大きな違いは、食感の違い。寒天を使ったもの(羊かんなど)は、やや硬めで弾力があり、包丁で切ることができます。一方、ゼラチンを使ったもの(ゼリーなど)は、プルプルとなめらかな食感が魅力的。基本的にはやわらかく、包丁では切りにくいため、カップなどに入れて作ります。

そのような点も踏まえてか、寒天は和菓子を中心に、ゼラチンは洋菓子を中心に大活躍していますね。

常温と冷蔵、固まる温度も違った!

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さらに、寒天とゼラチンは溶ける温度や固まる温度も異なるとのこと。

「寒天は約90℃で溶けて、30〜40℃の常温で固まり始めます。水羊かんやあんみつの寒天は、冷たくした方が美味しいので冷やして食べますが、常温でも溶けないので安心して持ち運べます。

一方、ゼラチンは約60℃で溶けて、15℃以下の冷気がないと固まりません。なので、手土産にしようと手作りしたゼリーを保冷せずに持ち歩くと、お渡しする時にはジュースになっている……なんてことも。

ゼリーだけでなく、グミやマシュマロもゼラチンで作ります。こちらは少ない水分量でゼラチンをたくさん入れて作るので(常温でも)成形することができるのです」(以下「」内、時吉さん)

「寒天」は砂糖を入れると透明に!

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さらにそれぞれの使い方のコツを聞きました。

寒天には粉寒天、棒寒天、糸寒天があり、それぞれ用途に合わせて使い分けるそう。

「粉寒天は個装になっており、そのまま水に振り入れて戻します。棒寒天は1本7gくらいのスポンジ状で、1回洗って絞ってから、ちぎって分量の水に1時間くらい浸し、戻してから使います。糸寒天も棒寒天と同様ですが、こちらは30分くらいで戻せます」

戻したものを火にかけ、煮溶かして使います。約90℃で溶けるので、沸騰させてしまうとどんどん蒸発してしまうため、沸騰する直前で火を弱めるのを忘れずに。

「おもしろいのが、寒天は砂糖を入れると透明度が高くなるんです。透き通ってクリアな“錦玉かん”は、夏は目にも涼やかですよね。砂糖を入れる場合は、寒天が完全に溶け切ってから加えないと、砂糖が溶けきらずに筋が残ってしまいがち。なので、砂糖を使う時は、寒天が完全に溶け切ってから入れましょう。この砂糖を入れるタイミングが大切なんですよ。

ちなみに、あんみつに入っている寒天は、薄く白濁していますよね。砂糖を使わずに寒天を煮て、溶かして固めただけの場合、このように不透明に仕上がります」

寒天は水羊かんや錦玉かん、あんみつ、ところてんなど、主に和菓子に使われることがほとんど。糸寒天はそのまま戻して食べられるものもあり、食物繊維が豊富なのでサラダのトッピングなどにもおすすめだそうです。

「ゼラチン」は動物性、「アガー」は植物性の凝固剤

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一方、ゼラチンは、粉ゼラチンと板ゼラチンが一般的とのこと。

「どちらも300mlの液体に対して5g程度使います。粉ゼラチンは分量の3〜5倍量程度の水に振り入れ、5〜10分ふやかします。板ゼラチンは分量を計らなくていいので、そのまま水にツルッと入れて戻します。板ゼラチンの方が、透明感があるので、パティシエの人が好んで使うことが多いですね。

また、キウイやパイナップルなどに含まれるタンパク質分解酵素“ブロメライン”は、ゼラチンを分解してしまうため、ゼリーなどに入れると固まらなくなってしまいます。キウイやパイナップルを使う場合は加熱したり、缶詰のものを入れたりしてください」

植物性の凝固剤「アガー」

さらにもう1つ、「アガー」という凝固剤もあると時吉さん。

寒天やゼリーに比べ、あまり聞き慣れないアガーですが、こちらは海藻由来の「カラギーナン」とマメ科由来の「ローカストビーンガム」を原料とする凝固剤だそうです。

「アガーは寒天やゼラチンよりも透明度が高く、なめらかな食感が特徴です。溶ける温度は90℃以上で、固まる温度は30〜40℃のため、常温でも溶けにくく、ちょうど寒天とゼラチンの中間のような存在。ただし、ダマになりやすいので、砂糖を溶かした液体に混ぜる必要があります。使い方が他に比べて少々面倒なのですが、お客様に差し上げるコーヒーゼリーなど、ここぞという特別なお菓子作りにはアガーを使いますね」

アガーは植物性なので、ヴィーガンの人でも食べられますね。この3つの凝固剤を知っておくと、用途に合わせて使い分けられそう!

涼やかなおやつをおうちで手軽に!

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さらに、時吉さんに寒天やゼラチンを使った、家庭でも簡単に作れる夏におすすめのおやつを聞いてみました。

「お手軽なのはやっぱりフルーツゼリーですね。好みのジュースなどにゼラチンを入れ、旬のフレッシュなフルーツを加えて、冷やすだけ。今の時季は、スイカのしぼり汁にスイカの角切りを入れても美味しい!

寒天を使えば包丁で切れるので、バットなどにフルーツを並べて作っても。牛乳かんにしてもいいですね。カットして出すと子どもたちは喜んでよく食べてくれました。

また、杏仁豆腐も簡単にできます。杏仁霜(きょうにんそう)、牛乳、砂糖を混ぜてゼラチンを加えて冷やし固めるだけ。黄桃の缶詰めを汁ごとミキサーにかけて、ソースにしてかけると最高ですよ。杏仁霜がなければ、牛乳にアーモンドエッセンスを加えて代用してもOKです」

また、普通のプリンは卵液を加熱して作りますが、ゼラチンで作ると焼いたり、蒸したりせずにプリンが手軽に作れるそう。

「ゼラチンは“300mlの液体に5g”と、配合さえ覚えてしまえばあとは簡単。砂糖を好みで入れるか、さっぱりしたかったらジュースやシロップ、濃厚にしたかったら牛乳や生クリームを使うなど、アレンジも自由自在です。あまり難しく考えず、なんでも固めてしまってOKですよ!」

ちなみに、kufuraでも寒天アイスを紹介したことがあり、好評でした。寒天を加えると手作りアイスが溶けにくくなり、ひんやり感をキープできると夏に人気の一品です。

筆者の子どもは2歳で、最近ゼリーが大好物。「ゼリーちょうだい!」とよく言われるのですが、市販品の成分表示を見ると、甘味料、酸味料、香料、着色料などいろいろ入っているものも……。時吉さんの話を聞いて、「こんなに簡単なら、旬の果物を使って手作りしよう!」と、新たな発見がありました。子どもだけでなく、涼をとる自分のおやつにも最適ですよね。

まだまだ暑い日が続きます。ぜひ寒天やゼラチンをもっと普段使いしてみましょう!

 

取材・文/岸綾香

時吉真由美
時吉真由美

料理研究家。(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表

土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「有吉ゼミ」金のワンスプーン!などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍。

Instagram(@cooking_clocca)では、日々のお料理や季節の和菓子といったレシピを中心に、オススメの調理器具やロケ先で出合った食材などを発信中。

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