まずは「ピラフ」と「チャーハン」について調べてみると…
nullピラフ
米をバターでいため、肉や貝、香草などを入れて塩・コショウで調味し、スープでたいた洋風のたき込みご飯。元来は中東料理。
【出典】日本国語大辞典 小学館
チャーハン
中華料理の一つ。米飯を油でいため、きざんだ野菜や肉、卵などを加えて塩やしょうゆで調味したもの。焼き飯。
【出典】日本国語大辞典 小学館
つまり「ピラフ」と「チャーハン」の違いって?
米を炒めてから炊くのがピラフ、炊いたごはんを炒めるのがチャーハンです。なんとなく似ている気がしていましたが、実は調理法が全然違うのですね。
とはいえ、「最近は炊いたごはんを炒めて洋風に味付けしたものを“ピラフ”と呼んでいるレシピも多いですね」と時吉さん。そのような調理法の場合、時吉さんの料理教室では、「炒めピラフ」「炊き込みピラフ」「炊き込みチャーハン」と呼んでいたそうです。

正統派「ピラフ」の基本の作り方とは?
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ウズベキスタン料理の「プロフ」の具材は、にんじんとラム肉が定番。
さらに時吉さんいわく、「ピラフはフランス語ですが、そのルーツはトルコ料理の“ピラウ”にあると言われています」とのこと。筆者はトルコ発祥と聞いてハッとしました。
以前、トルコより東ですが、ウズベキスタン料理の「プロフ」(なんだか名前も似ていますね)という料理を食べたことがあるのですが、まさにこちらも米を炒めて炊いたごはん。このエリアではおなじみの米の調理法なのかもしれません。
「他にもパエリアやリゾットなど、似た料理は世界各地にいろいろありますよね。ちなみに日本には、炊き込みごはんがあります。だから厳密には、米を炊くだけのもの(炊き込みごはん)、炒めてから炊いたもの(ピラフ)、炊いたごはんを炒めたもの(チャーハン)、この3つの調理法がありますね」
ピラフは「洋風に味付けして炒めたごはん」だと思っていた人も多いのではないでしょうか? 実際は以下の作り方が基本だそうです。
【基本のピラフの作り方】
(1)玉ねぎと米を炒める

みじん切りにした玉ねぎと米2合分をバターやオリーブオイルで炒めます。
米1粒1粒が油でコーティングされ、米を触った時に「熱い!」と感じるまでじっくり炒めるのがポイント。そうすることによって、米が油でしっかりコーティングされ、普通に炊飯する時よりもパラッと仕上がります。
他に入れる具材(にんじん、鶏肉、えびなど)があれば、ここで一緒に炒めましょう。
(2)熱々のコンソメスープを注ぐ

米が熱々になったら、熱したコンソメスープ400mlを注ぎます。
4合など米が多い場合は、冷たいスープを入れると再沸騰するまでに時間がかかり、お粥状態になってしまうそう。熱々のスープを用意しておき、温度を一気に上げるのが美味しく仕上げるコツです。
(3)炒めた米を炊く

強めの中火にかけ、沸騰したらふたをして、弱火で15分炊き、火を止めます。その後10分ほど蒸らせば、できあがり!
米の分量が多くなるとスープの量も多くなるので、沸騰するまでの時間は少し長くなりますが、炊く時間&蒸らし時間は同じでOKです。
料理研究家直伝!「パラパラチャーハン」の作り方
null今度はパラパラに仕上げるのが難しいチャーハンについて。時吉さんが今まで様々な方法を試してきた結果、「これが一番パラパラになる!」と太鼓判を押す作り方を教えてもらいました。
【パラパラチャーハンの作り方】
(1)卵を炒める
時吉さんはチャーハンを作る時にはラードを使うそう(ラードがなければサラダ油などでOK)。ラードをフライパンで完全に溶かし、ちょっと煙が立つくらいまで温めたら、溶き卵を入れて軽く炒めます。
(2)温かいごはんをのせ、両面を焼く


ごはんは必ず温かいものを使うのがポイント。冷たいごはんを使う場合は、電子レンジで温めてください。ごはんの形状は冷凍した四角い状態のままが理想的。四角のまま卵の上にのせ、すぐにほぐさず、そのまま焼きつけます。片面が焼けたら、ひっくり返しましょう。
(3)ごはんをほぐす
両面を焼いてからお玉の底などでトントン押すと、自然とパラパラとごはんがほぐれていきます。
(4)具材を入れて、味付けする

ごはんがほぐれたら、みじん切りにしたしょうが、刻んだ焼豚などを入れ、酒、しょうゆ、塩、こしょうで味を調えます(1人分/酒大さじ1、しょうゆ大さじ1/2、塩・こしょう各少々が目安)。仕上げに長ねぎのみじん切りを加え、炒め合わせたら完成です。

「ごはんを先にそのまま焼きつける」とは目からウロコ。筆者はごはんを入れたら、パラパラになるよう急いで必死にほぐしていましたが、その必要がなかったなんて……!
「フライパンに対するごはんの量もポイントです。フライパンに対して、ごはんは1/3〜半量くらいが目安。ごはんの量が多すぎるとフライパンで餅つきしているみたいになってしまいますよ」
試しにこちらの方法で作ってみると、驚くほどパラパラに! 今までの労力ってなんだったの?と思うほど。そしてしょうがを入れることで、グッと本格的な味になります。焼豚がなかったのでウインナーで作りましたが、とても美味しくできました!
同じごはんでも、調理法によって食感も味わいも異なるピラフとチャーハン。基本の作り方を覚えておくと、料理の知識がより深まりますね。特にパラパラチャーハンは手軽にできるので、パパッと済ませたいお昼ごはんにおすすめです。ぜひ試してみてください。
取材・文/岸綾香

料理研究家。(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表
土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「有吉ゼミ」「黄
Instagram(@cooking_clocca)では、日々のお料理や季節の和菓子といったレシピを中心に、オススメの調理器具やロケ先で出合った食材などを発信中。