まずは「キーマカレー」と「ドライカレー」について調べてみると…
nullキーマカレー
《キーマはヒンディー語などでひき肉の意》みじん切りにした野菜とひき肉をいためて作る、汁気の少ないカレー。
【出典】デジタル大辞泉 小学館
ドライカレー
野菜とひき肉をいためてカレー粉を入れたもの。ご飯にかけて食べる。また、カレー粉で味を付けたいためご飯。
【出典】デジタル大辞泉 小学館
つまり「キーマカレー」と「ドライカレー」の違いって?
「キーマカレー」はインド発祥のひき肉を使ったカレー。それに対して、「ドライカレー」は日本発祥の汁気の少ないカレー全般を指すようです。
そもそも「キーマ」とは、インドのヒンドゥー語やウルドゥー語で「ひき肉(細かいもの)」という意味があるそう。本場インドのキーマカレーは鶏肉や羊肉で作られますが、日本では豚肉や牛肉を使ったものもありますよね。
ちなみに「ドライカレー」の発祥は1910年代。世界トップクラスを誇る豪華客船を運行していた日本郵船は、特に料理の評価が高かった。その日本郵船が運行していた「三島丸」の調理人が、ひき肉で汁気のないカレーを作ったことが始まりだったとか。
キーマカレーに比べて、ドライカレーの多くは汁気が少なめで、パラパラしているのも特徴です。今ではカレー味のピラフやチャーハンまで、まとめて「ドライカレー」と呼ばれることも多いですね。

「忙しい日にこそキーマカレー!」プロのお助けレシピ
nullさらに、時吉さんは、「忙しい人こそ、ひき肉を使ったカレーは助かりますよ!」と話します。
「キーマカレーやドライカレーのいいところは、ルーで作るカレーと違って長く煮込む必要がなく、パパッと短時間で作れるところ。忙しくて家族のごはんを作る時間がない!という時に、よく助けてもらっています」(以下「」内、時吉さん)
そこで、「ここぞの時こそ、キーマカレー!」と時吉さんが頼りにする、簡単キーマカレーの作り方を教えてもらいました。
【時吉さんちのパパッとキーマカレー】
(1)フライパンに油、クミンシード、コリアンダーなどのスパイスを入れ、香りが立つまで炒めます。
(2)みじん切りにした玉ねぎ・しょうが・にんにくを加え、玉ねぎがしんなりしたら、合い挽き肉を加えてよく炒めます。
(3)カレー粉(時吉さんはS&Bの赤缶を使用)、ターメリック、トマトペースト、ウスターソース、バターで味付けしたら完成!

「カレーの3大スパイスは、クミン、コリアンダー、ターメリック。クミンとコリアンダーが香りで、ターメリックは黄色の色付け。この3つを駆使すれば、最低限のカレーができると言われています。好みでカルダモン、チリペッパー、ガラムマサラなどを加えてもいいですね。
ガラムマサラは中国のウーシャンフェン(五香粉)のように、複数のスパイスがミックスされた混合調味料。クミン、ナツメグ、クローブ、カルダモン、シナモンなどがバランスよく配合されているので、仕上げにひと振りするだけで、手軽に本格的な風味を添えることができます。
明日は仕事で1日不在にするという時に、キーマカレーを作って出かけると、夫や娘が食べて、すっかりきれいに無くなっているんですよ(笑)。食材は玉ねぎとひき肉だけでお手軽です。個人的には豆を加えたキーマカレーが好きですね」

カリフラワーの食感がアクセントになって、食べ応えもアップ!
時吉さんの話を聞いていたら、筆者もカレーが無性に食べたくなり、取材後すぐに、ちょうど冷蔵庫にカリフラワーがあったので、カリフラワーのドライカレーを作ってみました。
作り方は簡単で、カリフラワーをざくざくと粗めのみじん切りに。玉ねぎ・しょうが・にんにくもみじん切りにして、あとはひき肉と炒めるだけ!
時吉さんとほぼ同じような方法で、先にクミンシードを油で炒め、香りが立ったら、玉ねぎ、しょうが、にんにくを炒め、さらにカリフラワーと鶏ひき肉を加えて炒めます。カレー粉、ターメリック、コリアンダーに、塩としょうゆをちょこっと。気分によってはケチャップやウスターソースを入れても。こんな感じで適当にパパッと完成です!
古今東西、世界各地で「ひき肉料理」は大活躍!
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そう考えると、ひき肉って各国のお助け料理なんですね。冷凍しておくと、すぐに解凍できて便利だし、ドライカレーは汁気がないからお弁当にも入れやすい。
インドと日本、国は違えど、キーマカレーもドライカレーも、パパッと作れるという共通点がありました。忙しい時のお助けメニューに、ぜひ活用してみてください。
取材・文/岸綾香

料理研究家。(株)Clocca代表取締役 cooking Clocca代表
土井勝料理学校をはじめ各地の料理教室講師のほか、「ZIP!MOCO’Sキッチン」(放送終了)「有吉ゼミ」などTV・出版物等のフードコーディネートや、料理、レシピ制作などで幅広く活躍。
Instagram(@cooking_clocca)では、日々のお料理や季節の和菓子といったレシピを中心に、オススメの調理器具やロケ先で出合った食材などを発信中。