ピーマンとパプリカの違いは「完熟度」だった!
nullまずはズバリ、「ピーマン」と「パプリカ」の違いって、一体何なのでしょうか?
「一番大きな違いは品種と完熟度です。どちらも“トウガラシ属”の仲間ですが、ピーマンは未熟な状態で収穫するため、一般的に緑色の状態で売られています。
一方、パプリカは、ピーマンを改良した品種で、完熟させてから収穫するため、色がカラフル(赤・黄色・オレンジなど)で、サイズも大きくて肉厚です」(以下「」内、FUKAさん)


見た目の違いをまとめてみると……
【ピーマン】
基本は緑色(完熟していない)。小ぶりで薄い。表面にくびれがあり、軽い。
【パプリカ】
カラフルな色(完熟している)。大きくて厚い。丸みがあり、重い。
改めて調べてみると、共に「ナス科トウガラシ属」とのこと。言われてみれば、辛味はありませんが、なんとなく見た目が唐辛子に似ていますよね。どちらも同じ「トウガラシ属」の仲間ではありますが、品種をはじめ、育て方や収穫時期が異なるため、見た目や味、栄養価などが変わってくるそうです。
ピーマンは「国産」、パプリカは「海外産」が主流だった!
nullどちらも属性が同じ夏野菜ですが、パプリカとピーマンの産地に違いはあるのでしょうか? それぞれ有名な産地はどこなのでしょう。
「ピーマンは国産が主流で、特に茨城県や宮崎県、高知県などが代表的です。
一方で、パプリカは国内生産もありますが、流通している多くは輸入品です。特に韓国、オランダ、ニュージーランドからの輸入が多いですね。最近は日本でも高知県や宮城県などでハウス栽培がされていますが、国産比率はまだ低めです」

ちなみに、パプリカの国内生産が低い理由は主にこの3つ。
1:栽培に手間とコストがかかる
パプリカは完熟させてから収穫するため、栽培期間が長く、管理が難しい作物。特に完熟までに時間がかかるため、病害虫のリスクも高くなりやすい。また、日本の気候では露地栽培が難しく、ハウス栽培が基本となるため、設備や暖房コストがかかってしまうのも離農の原因に。
2:外国産との価格競争に勝てない
韓国やオランダなどの巨大なパプリカ生産国では、大規模な施設で効率的に栽培されるため、輸送コストを差し引いても安価に供給できます。特に韓国産は日本向けの輸出が多く、安定供給&低価格で品質も良いため、日本のスーパーでも主流に。そもそも国内生産で海外産と価格競争をするのが難しいという現実があるのです。
3:昔は国内需要が少なかった
ここ数年でパプリカの認知度は上がってきましたが、以前はピーマンに比べて消費量が少なく、ニッチな存在でした。需要が低いと、生産者は大規模に育てるリスクが高いため、作付面積は広がりにくいのです。
確かにスーパーでは、韓国産のパプリカをよく目にします。丸々太って立派なものが多く、国産が太刀打ちするのは至難のワザ……。FUKAさんの解説で、その理由にも納得でした。
未完熟で「苦い」ピーマン、完熟して「甘い」パプリカ
null次は、ピーマンとパプリカの味の違いについて。パプリカは甘いけれど、ピーマンが苦いのはなぜでしょうか?
「味の違いも、“完熟しているかどうか”が大きく関係してきます。

畑で育つピーマンを収穫せずにそのまま置くと、赤く色づく。
ピーマンは未熟な状態で収穫するので、青臭さや苦味を強く感じるのが特徴です。
これはピーマン特有の香りや苦味を発する“ピラジン”という成分が原因。ピラジンはきゅうりの青臭さにも関係しています。
一方で、パプリカはしっかり完熟させてから収穫するため、糖度が高く、甘味が強い。そもそも品種自体が甘味種で、苦味成分が少ないように育てられているのです」
FUKAさんは、実家の畑で夏になるとピーマンを育てているそうですが、収穫せずに放っておくとピーマンが赤くなると教えてくれました。通常はまだ熟れていない緑色の状態で収穫しますが、完熟するとピーマンもパプリカ同様に赤く色づくのですね!
パプリカの方が「ビタミン量」が高め!
nullピーマンとパプリカ、栄養価の違いはあるのでしょうか?

特に赤ピーマンは栄養価が高い。
「栄養価はどちらも優れていますが、パプリカの方がビタミン量は多め。特にビタミンCはパプリカの方がかなり豊富で、赤パプリカのビタミンCはレモン以上とも言われています。
β-カロテン(ビタミンAに変わる)やビタミンEもパプリカの方が多く含まれているんですよ。
ただし、食物繊維やカリウムなど、基本的な野菜成分はピーマンも優秀です。
どちらも低カロリーで、抗酸化作用のある栄養素が含まれているので、用途や味の好みによって使い分けるといいですね」
ピーマンは香りのある油で炒めると美味しさアップ
nullピーマンとパプリカ、それぞれに適したおすすめの料理はありますか?
「ピーマンの苦味や青臭さは、“ピラジン”という香り成分やポリフェノール類によるもの。これらは加熱して揮発したり、分解されたりすると、まろやかな風味に変わり、グンと食べやすくなります。

油で炒めて、豚肉などを加えるとボリューム満点のおかずに!
そのため、ピーマンを調理する際は、“加熱と油”がポイント。サッと炒めるだけで苦味が和らぎ、生で食べるよりずっとマイルドになります。
ピーマンは皮がやや厚くて火が通りにくい野菜ですが、さらにじっくり加熱すると甘味が出て、食感もやわらかくなりますよ」
また、油を使うと香ばしさが加わり、苦味を活かしたコクのある味わいに変化するそう。
「特にごま油やオリーブオイルを使った炒め物は、油の香りや風味も加わってより深みがアップ! シンプルに素揚げや天ぷらにしても美味しいですね。
肉やチーズなど脂質の多い食材と組み合わせれば、味だけでなく栄養面もバランスよく整います」
ちなみに、パプリカは色によって味が変わるので、それぞれの色に合わせて調理法を変えるのがおすすめとのこと。そちらは、前回の「パプリカの違い」で詳しく紹介しているので、こちらの記事も参考にしてください。
パプリカの方が傷みやすい。長持ちする「保存法」を伝授!
null最後に、ピーマンとパプリカは、どちらの方が長持ちするのでしょうか?
「共に比較的日持ちする野菜ですが、ピーマンの方がやや長持ちで、冷蔵庫で1週間ほど保存できます。
パプリカは水分量が多くて傷みやすいため、冷蔵庫で4〜5日が目安。完熟している分、傷みも早い傾向がありますね」
ピーマンの方が未完熟な分、ちょっとだけ長持ちなのですね。さらに、家庭でできる長持ちする保存法があれば、知りたいです!
「パプリカもピーマンも、水分と鮮度が命。見た目がきれいでも、内部から傷み始めることがあるので、ちょっとしたコツが大切です。適切に保存すれば、美味しく長持ちしますよ!」
以下、それぞれの保存法についてFUKAさんが詳しく教えてくれました。
◆「ピーマン」の保存法について
【丸ごとの場合】
丸ごと保存する場合は「ヘタを下にして」ポリ袋に入れ、冷蔵庫の野菜室に入れてください。ヘタの部分から水分が抜けやすく、そこから傷みやすいので、ヘタを下にして保存することで劣化を遅らせることができます。ポリ袋に入れる際は、乾いた新聞紙で軽く包むと湿度が保たれ、傷んだり、しなびたりするのを防げます。

切り口から水分が抜けやすいのでラップで密閉を。
【カットした場合】
カットした場合は、切り口から水分が抜けやすいため、しっかりラップで密閉して冷蔵庫に入れ、さらに密閉容器に入れるとより安心です。冷蔵保存する場合は2〜3日で使い切るのがベスト!
【冷凍保存の場合】
冷凍保存も可能で、生のまま丸ごと冷凍できますが、細切りやみじん切りにしてから、冷凍用保存袋に入れて凍らせると、使いたい時にサッと使えて便利です。解凍後はやや食感がやわらかくなるため、炒め物やスープ、卵焼きの具など、加熱調理に向いています。
◆「パプリカ」の保存法について
【丸ごとの場合】
パプリカは水分が多く傷みやすいので、購入後は早めに使い切るのが基本。丸ごと保存する場合は、水気をしっかり拭いてからポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室へ。水気が残っていると袋の中で蒸れて腐敗の原因につながるので、ペーパーなどで水分をよく拭くのが必須です。ピーマン同様に、ヘタを下にして保存すると長持ちします。
【カットした場合】
カットしたものは、断面から酸化しやすいため、ピーマン同様、空気に触れないようしっかりラップで包み、さらに密閉容器に入れて保存を。冷蔵保存する場合は5日〜1週間を目安に使い切りましょう。

食べやすく切ってから冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。
【冷凍保存する場合】
冷凍保存する場合は、細切りや角切りにしてから冷凍用保存袋に入れて冷凍庫へ。生のままでも冷凍できますが、加熱してから冷凍すると甘味が出て、風味が安定しやすくなります。
解凍後はシャキッとした食感は落ちますが、スープや炒め物、グラタンなど、火を通す料理には充分美味しく使えます。
「ちなみにパプリカの長期保存には、マリネやピクルスがおすすめ。酢漬けやオイル漬けにすれば、冷蔵で1週間以上持ちます。そのまま副菜としても使えるので、我が家では定番の作りおきです」
いかがでしたか? ピーマンとパプリカは似て非なるもの。思った以上に違いがあって驚きました!
特に夏のピーマンは袋に大量に入って売られているので、早く使い切るのが難しいのも悩みどころ。長持ちする保存法を知っておくと、助かりますね。ぜひ、こちらを参考に、夏の元気なピーマンとパプリカを美味しく味わってみてください。
取材・文/岸綾香

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