こんなシーンにはデカフェがおすすめ
null夕方以降にコーヒーを飲みたくなっても、眠れなくなるので諦める人も多いはず。こうした覚醒作用を気にしてしまうシーンでもカフェインの影響が少ないデカフェなら、我慢することなく飲むことができます。
「夕食後〆にコーヒーを飲みたいと思っても我慢してしまうこともありますが、デカフェなら夕食後にデザートを食べながらコーヒーを楽しむことができます。またお酒を飲んだあとに酔い覚ましにデカフェを飲んだり、寝る前のリラックスタイムに読書をしながら飲んだりというのもおすすめです」(以下「」内、若林さん)
カフェイン摂取を制限している場合にも
null食品のリスク評価を行っている内閣府食品安全委員会は、現段階では、食品からのカフェインの摂取についてのリスク評価を実施していませんが、海外では健康影響を検討し、妊婦のカフェイン摂取目安量を示している国があります。
世界保健機関(WHO)では、一日のカフェイン摂取量が 300㎎を超える妊婦に対しては、流産や新生児の低体重リスクを低減するために、妊娠中はカフェイン摂取量を制限するように注意喚起しています。
なお、日本食品標準成分表によると、コーヒー豆10gに対し熱湯150mLを使って抽出したコーヒー液100mLには60mgのカフェインが含まれているので、上記の300mgのカフェインとはコーヒー抽出液500mLに相当します。
コーヒーを飲みたいけれど飲むことができない、妊娠中、授乳中の人、カフェインに敏感に反応してしまう、コーヒーを飲むと胃の調子が悪くなるといった、カフェイン摂取を制限する必要がある人には、カフェインを極力除去したデカフェがよいかもしれません。
「大好きなコーヒーを我慢しなくちゃいけないのがつらい」とストレスを溜めてしまう妊婦さんもいるはず。
「時間を気にせずコーヒーを楽しめるデカフェですが、妊娠中や授乳中などカフェインの摂取を制限しているときもデカフェが最適です」
カフェインによる覚醒作用が不眠やパニック発作の誘発に繋がってしまう恐れがあるため、精神疾患を治療中の場合はカフェイン摂取には注意が必要です。同様に胃炎治療中の場合も症状悪化の恐れがあるため、医師からカフェインの摂取を制限されている場合、デカフェなら飲んでもよいか相談してみましょう。
「堀口珈琲を長年利用してくださっているお客様で、ある時からパタッと通常のコーヒーを飲むのをやめてデカフェに切り替えた方がいらっしゃいました。刺激に対して少し過敏になってきたため、毎日たくさんのコーヒーを楽しむというスタイルを変える必要があったそうで、代替の飲料ではなくデカフェで刺激を抑えながら、本当のおいしいコーヒーを飲みたいとのことでした。
ライフステージによって体調は変化していくので、変化が顕著に起きてしまってもコーヒーを楽しみたいという方にデカフェが選ばれています。デカフェがなかった時代からコーヒー豆を3パック購入されていた常連のお客様は、3パックのうち1パックは夜用にデカフェに切り替えました。飲み分けをしているというお客様は結構いらっしゃいますね」
長距離の移動や会議中といったお手洗いの回数が増えると困るというときにも
nullカフェインには、腎臓の血管を拡張して尿の排泄を促す作用があり、飲み過ぎるとお手洗いが近くなってしまいます。
「コーヒーは飲みたいけど、お手洗いの回数が増えるのは困る……」といったときにもデカフェは最適です。例えば、長距離の移動中や運転中、長時間の会議等で席を立つのが難しいとき、映画や読書に集中したいときなど、お手洗いに行く頻度を増やしたくないときにデカフェに切り替えるとよいかもしれません。
「カフェインには利尿作用あるので、お手洗いが近くなってしまうのは事実です。オフィスが多く入っている大手町の『Otemachi One』にも堀口珈琲の店舗がありますが、こちらではビジネスパーソンの方々のデカフェ利用が増えています。
実際に、夕方の会議でコーヒーを飲むとお手洗いに行きたくなってしまうので、デカフェに切り替えているというお話も聞きます。こうした観点からもデカフェの利用シーンは広がっていると感じます」
デカフェの楽しみ方
nullおいしいデカフェなら、通常のコーヒー同様にさまざまなスタイルで味わうことができます。ホットでもアイスでも、ブラックで飲んでも、ミルクや砂糖を入れてもOK。アレンジコーヒーもおいしくいただけます。自宅で簡単にできるデカフェレシピを、堀口珈琲のスタッフの方に教えていただきました。
寝る前のリラックスタイムにおすすめ 「デカフェのホットカフェオレ」
【材料】
- 濃いめに抽出したデカフェのコーヒー 100cc ※
- 牛乳100cc
※堀口珈琲のデカフェを使用する場合は「フレンチロースト」を使用。豆(粉)の量=23gで100ccを抽出します。より優しい味わいに仕上げたい場合は、フレンチローストより焙煎度の浅い「シティロースト」を20g使用しましょう。
【作り方】
- デカフェのコーヒーを100cc抽出する。この時、“濃いめ”に抽出することを意識する。
- ホットコーヒーと同量の牛乳を小鍋で温め、沸騰する手前で火をとめる。
- カップにホットコーヒーを注いだあと、そのカップに温めた牛乳を茶こしで漉しながら注ぎ、完成。
暑い日にぴったりのアレンジアイスコーヒー 「デカフェのコーヒーレモネード」
【材料】
- 濃いめに抽出したデカフェのコーヒー 100cc ※1
- レモン果汁 5g
- サトウキビシロップ 15g ※2
- スライスレモン 1枚
※1 堀口珈琲のデカフェを使用する場合は「シティロースト」を使用。豆(粉)の量=20gで100ccを抽出します。
※2 味わいは変わりますがガムシロップでも可。その場合はお好みの甘さに調整しましょう。
【作り方】
- デカフェのコーヒーを100㏄抽出する。この時、“濃いめ”に抽出することを意識する。
- グラスにレモン果汁とサトウキビシロップを計量する。
- 2にたっぷり氷を入れコーヒーを注ぎ、よく混ぜて急冷させる。
- グラスのサイズに合わせて氷の量を調整し、スライスレモンを飾って完成。
「コーヒーは飲まなくても生きていけますが、飲むことによっておいしいとか楽しいといった心理的なポジティブさを感じることができる、人生の豊かさを象徴するような飲み物です。私はそれこそが大切なのではないかと思っています。
『妊娠中だから仕方なくデカフェで我慢する』のではなく、香りや味わいをしっかりと楽しめるデカフェを提供したいと私たちは研究を重ねています。
高品質なコーヒー生豆を高精度な方法でカフェイン除去し、デカフェに合わせた焙煎を施すことで『おいしいデカフェ』は生まれます。おいしいコーヒーを諦めている妊婦さんや、時間帯によって我慢している方は、ぜひ試してみてください」
現在、堀口珈琲で発売されているデカフェは、エチオピアの優良産地イルガチェフェの「ウォテ」を使った、シティロースト(浅煎り)とフレンチロースト(深煎り)の2種(各200g・1,998円)。
また、今年3月に発売された新商品「ドリップバッグ」に【DECAF】(6袋入・1,620円/オンライン限定30袋入・7,290円)がラインナップ。一杯分で飲めるカップオンタイプなので、デカフェを試したい!という人にもぴったり。妊婦や授乳中のママ友へのプレゼントにもおすすめです。
コーヒー豆、ドリップバッグ共に、堀口珈琲各店舗、オンラインストアで発売中。
筆者も1日にマグカップ3~4杯のコーヒーを飲む“ヘビードリンカー”ですが、おいしいデカフェがあると知って、最後の一杯をデカフェに変えたり、お酒を飲んだあと寝る前に一息つく時間帯でデカフェを楽しむようになりました。
さまざまな状況でコーヒーを諦めている人に、デカフェという選択肢もあるということをお伝えしたいですね。
【教えてくれた人】
若林恭史さん
株式会社堀口珈琲 代表取締役社長。1980年埼玉県秩父市生まれ。2005年堀口珈琲に入社し、焙煎・ブレンディング・生豆調達の担当者として経験を積む。生豆事業と焙煎豆製造・流通の各部門の統括者を経て、2020年7月より現職。
取材・文/阿部純子