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しっかりおさらい!煮干しだしの基本&煮干しを丸ごと食べるレシピ【乾物と仲良くなろう!】

昔から身近にあるけれど、ちょっと手を出しにくいという人も多い乾物。でも実は、生の状態より水分が抜けて成分が凝縮されていることで栄養パワーがアップしていることが多く、長期保存も可能なため、使いこなせるとたくさんいいことがある食材なんです。

そんな乾物の栄養情報に加え、基本の戻し方やおいしいレシピを、栄養士であり料理家であるあーぴんさんが紹介してくれるシリーズです!

第7回目は「煮干し」。煮干しでだしをとる基本や、だしガラをおいしく有効活用する方法、煮干しそのものを食べてカルシウムをたっぷり補給するレシピまでまるっとご紹介します!

煮干しの基礎知識

煮干しの基礎知識

こんにちは。栄養士の道添明子です。料理家「あーぴん」として、時短簡単・おいしい・お洒落な、“みんなが笑顔になれる幸せごはん”の料理教室を主宰、簡単レシピを毎日SNSで発信しています。

今回は煮干しに注目してみました。手軽なだしパックなどもありますが、煮干しからとるだしは、少し時間はかかるけれど意外と簡単。ぜひ一度煮干しだしのおいしさを味わってみてはいかがでしょうか。

煮干しの種類

煮干しとは文字通り「魚介類を煮て干したもの」のこと。原料にはカタクチイワシというイワシの仲間を使用することが多いです。ちなみに、ちりめんじゃこやしらすもみんなカタクチイワシからできています。

煮干しのことを関西では「いりこ」と呼ぶため、煮干しだしも「いりこだし」と言われます。また、九州などでは「あご」と呼ばれるトビウオの煮干しをよく使います。

田作りと煮干し

左上が小さめサイズの食べる煮干し、右上が普通の煮干し、下が田作り。

お正月のおせちに入っている「田作り」、煮干しとの違いをご存じですか? 原料となっている魚は同じカタクチイワシですが、煮ないで生のまま干している点が異なります。加熱していないので魚が曲がっていなくて、目が黒いのが特徴です。煮干しは加熱されたために目が白くなっています。

煮干しに含まれる主な栄養素

以下の数値は全てカタクチイワシの煮干し100gあたりに含まれる栄養素の値です。魚を骨まで丸ごと食べられるので、カルシウムやたんぱく質が豊富。だしをとるだけでなく、ぜひ煮干し自体も食べてくださいね。

■カルシウム:2200mg

骨や歯を形成するカルシウムは骨粗しょう症の予防にも必要な栄養素。ビタミンDと一緒にとると効率がよくなります。

■ビタミンD:18.0μg

カルシウムの吸収、骨の成長を助けます。免疫機能を調整する働きもあります。

■たんぱく質:64.5g

三大栄養素の一つのたんぱく質も豊富に含まれていて、筋肉や皮膚など体を作る成分となります。

※出典『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』

基本の煮干しだしの取り方

基本の煮干しだしの取り方

■下準備

・煮干しから、臭みと苦味の原因となる頭と腹わたを取り除く。
・大きい場合には縦に割く。

■水出しの煮干しだし

【材料】煮干し10g・昆布5cm角・水500ml

下処理した煮干しと昆布を水に浸し、ラップをして冷蔵庫に入れてひと晩おきます。煮干しと昆布を取り出して、旨味の出ただしのみを使います。とても上品なあっさりしただしがとれます。

■煮出すだし

材料は水出しと同じですが、より煮干しの風味が感じられる濃いめのだしがとれます。

下処理した煮干しと昆布を水に浸してラップをして冷蔵庫に入れ、ひと晩おきます。これを中火にかけて、アクが出たら取ります。煮立つ前に昆布を取り出しますが、煮干しはそのままでも取り出してもどちらでも大丈夫です。

煮干しのだしはコクがあるので、野菜やお豆腐を具にしたお味噌汁がおすすめです。

こちらは鍋でなすを軽く炒め、油揚げと煮干しだしを加えて煮てから味噌を加え、青ねぎと七味で仕上げています。だしの味がしっかりしているので味噌の量を控えめにしても満足感があり、減塩効果もあります。

栄養を丸ごと摂取!煮干しを“食べる”レシピ

栄養を丸ごと摂取!煮干しを“食べる”レシピ

だしガラ活用!オイルサーディン風

だしをとったあとの煮干しは、味噌汁などではそのまま具として食べてしまってもおいしいものです。取り出した場合はだしガラを使ってもう1品。

洋風の味付けにしたオイルサーディン風です。キャベツやブロッコリーと一緒にパスタにしたり、焼いたバゲットに乗せておつまみにも。残ったオイルも料理に活用してくださいね。

保存容器に入れ、5日〜1週間保存可能です。

【材料】(作りやすい分量)

・煮干し(だしをとる前の乾燥の状態で) 60g分
・小麦粉 大さじ2
・オリーブオイル 50ml
<調味料>
・にんにく 2かけ(芽を除き、つぶす)
・赤唐辛子 1本(種をとる)
・ローリエ 2〜3枚
・塩・こしょう 各少々

【作り方】

(1)だしをとったあとの煮干しは水気を拭く。型くずれしたり、皮がはがれないように小麦粉をふる。

(2)フライパンにオリーブオイルを入れて弱火で熱し、にんにく、赤唐辛子、ローリエを加えて油に香りを移す。

(3)煮干しを加えてカリッと焼く。塩・こしょうで味をつけたらできあがり。

栄養満点!小魚とくるみのカリカリおやつ

「食べる煮干し」として売られている、小さめの煮干しとくるみを使った、簡単&ヘルシーな1品です。くるみの食感がアクセントになり、カリカリポリポリ手が止まらない! 保存容器に入れ、5日〜1週間保存可能です。おやつにもおつまみにも。

カリカリに仕上げるコツは、煮干しだけの段階で弱火でじっくりじっくり炒めることです。

【材料】(作りやすい分量)

・食べる煮干し 50g
・くるみ(無塩ロースト) 50g
・ごま油 大さじ3
・白いりごま 大さじ1
・塩・こしょう 各少々

【作り方】

フライパンにごま油を入れて弱火にかけ、煮干しを加えて焦げないようにヘラでかき混ぜながら炒める。

煮干しがカリッとしてきたら、くるみを加えて軽く炒め、塩・こしょうで味をつけたらできあがり。仕上げに白いりごまをふります。

カルシウムやたんぱく質などが豊富に含まれ、栄養たっぷりの煮干し。汁物や煮物のだしにはもちろん、だしガラも活用できるので、ぜひお料理に取り入れてみてくださいね。

煮干しのだしは、パラパラと水に浸すだけの手軽さなのに簡単でおいしいです。ひと晩水につけておく時間がない場合は、食事の用意を始める時点で水に入れても。できれば30分くらいおいてから火にかけてください。

まずは毎日のお味噌汁から煮干しのだしにトライしてみてくださいね。

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