まずはきんかんの特徴を解説!
まずはきんかんの特徴を解説!きんかんってどんな果物?
きんかんはコロンと一口サイズの柑橘類(※)として愛されています。みかんやオレンジとは違って皮をむかずにまるごと食べられるのが特徴です。最近では糖度が高く生で皮ごと食べられる「完熟きんかん」も人気です。
※厳密な分類ではみかん、オレンジ、グレープフルーツなどはカンキツ属、きんかんはキンカン属となりますが、一般的にはキンカン属も柑橘類として扱われることが多いようです。
きんかんの旬はいつ?
きんかんが多く出回りおいしく食べられる旬は、1~3月頃の冬から春にかけての時期。温室栽培なら11月下旬頃から手に入るものもあります。
きんかんは皮ごと食べられます。きんかんは甘くておいしいだけでなく、風味豊かで栄養豊富。皮むきなどの手間もかからずに手軽に食べられるのもポイントです。
きんかんの味・食感
きんかんは甘みと酸味のなかにほのかな苦みが感じられる独特の味わい。皮は苦みが強いイメージがあるかもしれませんが、きんかんはむしろ果肉よりも皮の方が甘くておいしいと言われているほどです。皮までやわらかい食感が特徴です。
きんかんの栄養情報
きんかんの栄養情報きんかんに含まれる主な栄養素(100gあたり)
・エネルギー:67kcal
・糖質:12.9g
・ビタミンC:49mg
・カリウム:180mg
・カルシウム:80mg
・β-クリプトキサンチン:200μg
・ビタミンE(α-トコフェロール):2.6mg
エネルギー・糖質量は?
きんかんは1個(およそ25g)あたりエネルギー17kcal、糖質3.2gです。100gあたりで比べてみるとほかの柑橘類よりもカロリーが高めであることが分かります。
■柑橘類のエネルギーと糖質の量(100gあたり)
・きんかん:67kcal、糖質12.9g
・温州みかん:49kcal、糖質11.0g
・不知火(デコポン):56kcal、糖質12.3g
・はっさく: エネルギー47kcal、糖質10.0g
きんかんに含まれるビタミン類
きんかんには次のようなビタミン類が含まれています。
※以下全てきんかん100g当たりの含有量です。
【β-クリプトキサンチン:200μg】
β-クリプトキサンチンは柑橘類に含まれているカロテノイド色素で、黄色や橙色など柑橘類の色味の素になる成分です。皮膚や粘膜の健康維持、視覚を正常に保つのに役立ちます。抗酸化作用があるので免疫力を高める、老化や動脈硬化を予防するなどの働きも期待できます。
【ビタミンE(α-トコフェロール):2.6mg】
体内でビタミンEとして働く栄養素が8種類あるなかで、最も強い作用を持っているのがα-トコフェロールです。抗酸化作用があり、老化や動脈硬化の予防に役立ちます。末梢血管を拡張する、性ホルモンの分泌に関わるなどさまざまな働きをしています。
【ビタミンC:49mg】
ビタミンCは体内でコラーゲンを生成するために必要な栄養素です。皮膚や粘膜の健康を維持するほか、免疫力を高める、しみ・そばかす予防、貧血予防(鉄分の吸収を助ける)、ストレスへの抵抗力を高めるなど健康や美容にうれしいさまざまな働きを持っています。
抗酸化物質ヘスペリジン
ヘスペリジンは柑橘類の皮に含まれているポリフェノールの一種で、ファイトケミカルとも呼ばれています。ビタミンCの吸収を助ける、毛細血管を強くする、血流を良くするなどの働きがあります。皮ごと食べられるきんかんならヘスペリジンもしっかり摂取することができますね。
ファイトケミカルとは植物(野菜や果物など)が自分の身を守るために作り出す色や香り、苦味のこと。強い抗酸化作用があり、健康に役立つ成分として注目されています。
きんかんに含まれるミネラル類
きんかんには次のようなミネラル類が含まれています。
※以下すべてきんかん100g当たりの含有量
【カリウム:180mg】
カリウムは体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を促す働きがあります。むくみ予防、高血圧予防、生活習慣病予防など健康に役立つミネラルです。厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で成人の場合、生活習慣病予防のため1日に摂りたいカリウムの目標量を男性3,000mg以上、女性2,600mg以上としています。
【カルシウム:80mg】
柑橘類には意外とカルシウムが含まれています。特にきんかんには多く、その含有量はみかんの約3.8倍、不知火(デコポン)の約8.9倍です。カルシウムには骨や歯を健康で丈夫に保つ、神経の情報伝達に関わる、心臓を含む全身の筋肉の動きを調整するなど、重要な役割を担っている栄養素です。
■柑橘類に含まれているカルシウム
・きんかん:80mg
・温州みかん:21mg
・不知火(デコポン):9mg
・はっさく:13mg
きんかんをおいしく食べるには?選び方と保存方法
きんかんをおいしく食べるには?選び方と保存方法おいしいきんかんの選び方
きんかんを選ぶときは次のことをチェックしてみてください。
・ヘタ:きれいな緑色をしている。乾燥したり、茶色くなったりしていない。
・皮:皮の表面のキメが細かくなめらかで色、ツヤ、ハリがよい。
・重み:手に取ったときに重みを感じるものは水分が多くみずみずしい。
きんかんの保存方法・活用方法
・室温保存
きんかんは風通しのよい冷暗所で常温保存できます。
・冷蔵保存
室温が高いときは冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめです。その際はキッチンペーパーや新聞紙に包みビニール袋に入れて口を閉じ、乾燥を防ぎましょう。
・冷凍保存
横半分に切り、種を取り除いてから保存袋に重ならないように並べて入れ空気を抜き、冷凍庫で保存しておくと便利です。冷凍したきんかんは半解凍でシャーベットのように楽しめるだけでなく、次のようにいろいろ活用できます。
・ほかのフルーツやヨーグルトと合わせてスムージーにする。
・炭酸水や水、アイスティーなどに氷代わりに加え、フレーバードリンクとして楽しむ。
・砂糖と一緒に煮詰めてジャムやソースにする。
・マフィンやパウンドケーキなど焼き菓子に使う。
冷凍きんかんは1カ月ほど日持ちしますが、長期間保存したものはなるべく加熱調理してから食べると安心です。
撮影:黒石 あみ(小学館)
【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「からだにおいしいフルーツの便利帳」三輪正幸監修 高橋書店
・「一生役立つ きちんとわかる栄養学」飯田薫子 寺本あい 監修 西東社
・JAグループ「とれたて大百科」キンカン
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=94
・日本くだもの農協「柑橘とは」
http://kudamono-noukyo.com/kankitsu.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員「くだものの栄養素」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_01.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員 「くだものの健康効果」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_02.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」コラーゲン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-011.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カルシウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-042.html
(最終参照日 2021/10/14)