はっさくの特徴
はっさくの特徴名前の由来&旬の時期
「はっさく(八朔)」という言葉はもともと「八月朔日(さくじつ)」を略したもので「旧暦の8月1日(新暦では8月末頃)」を指しています。
柑橘類のはっさくについては諸説ありますが、江戸時代に広島県因島田熊町にある寺の住職が「八朔には食べられる」と言ったことがその名の由来とされています。しかし実際、8月にはっさくを食べようと思うとまだ実は小さく酸味も強い状態。大きく育った美味しいはっさくが食べられる旬は冬~春(1~4月頃)にかけてです。
皮むきはちょっと大変!
はっさくの皮は黄色くて分厚いのが特徴です。そのまま手で皮をむくのは至難の業ですから、ナイフなどを使って切れ目を入れてから皮をむくのが一般的。
果肉を包む薄皮(じょうのう膜)も厚いため、こちらもひとつひとつむくのは少々根気が要りますが、皮をむきながら爽やかな香りが広がるのもはっさくならではの楽しみです。
また、中の薄皮を簡単にむくにはこんな方法も。
- ナイフや包丁を使ってヘタの部分とおしりの部分を切り落とし、りんごの皮むきの要領で外の皮をむきます。
- 取り出した実の部分を4~6等分に切り分けます。
- 真ん中の白い部分を切り落とします。
- そこから薄皮をはがしていきます。
苦みと酸味がキリリの大人味
はっさくは昔から愛される日本の柑橘類です。酸味が強めで苦みもあるので子どもの頃は苦手だったが、大人になるとそれが逆に美味しく感じられるという人も多いかもしれません。
薄皮をむくと現れるのが、さじょうと呼ばれる小さな果肉の粒です。はっさくの果肉は一粒一粒がしっかりしていてプリプリ、サクサクとした食感が楽しめます。この食感とすっきりとした甘み、ほどよい酸味、ほのかな苦みが合わさった独特の味わいがはっさくの魅力と言えるでしょう。
はっさくの栄養情報
はっさくの栄養情報はっさくのエネルギー・糖質
はっさくは1個(可食部約200gあたり)でエネルギー94kcal、糖質20gです。酸味が強いのでエネルギーや糖質は少ないのかと期待しますが、比べてみると意外なことにみかんと同程度。また、はっさくはほかの柑橘類に比べて大きい分、1回に食べる量も多くなりがちですから、むしろ食べ過ぎには注意しましょう。
豊富なビタミン類
はっさくには次のようなビタミン類が豊富に含まれています。
※はっさく1個(可食部約200gあたり)の含有量
【β-クリプトキサンチン:340μg】
β-クリプトキサンチンは柑橘類に含まれているカロテノイド色素で、柑橘類の色味(黄色や橙色)の素になる成分です。体内でビタミンAとして利用されるためプロビタミンAと呼ばれます。皮膚や粘膜の健康維持、免疫力を高める、視覚を正常に保つほか子どもの成長にも欠かせない栄養素です。
【ビタミンB6:0.14mg】
エネルギー代謝に関わり、たんぱく質の分解を助ける働きがあるので、たんぱく質を多く含む食品(肉、魚、卵など)を食べるときに一緒に摂りたい栄養素です。そのほかにも皮膚や粘膜の健康維持、神経伝達物質の合成、女性のホルモンバランスを整えるなど、さまざまな働きがあります。
【ビタミンC: 80mg】
ビタミンCは体内でコラーゲンを生成するために必要な栄養素です。皮膚や粘膜の健康を維持する働きがあるほか、免疫力を高める、しみ・そばかす予防、貧血予防(鉄分の吸収を助ける)、ストレスへの抵抗力を高めるなど健康や美容にうれしいさまざまな働きを持っています。
カリウムでむくみ&生活習慣病予防!
はっさくは1個(可食部約200gあたり)にカリウムが360mgと豊富に含まれています。カリウムは体内の余分な塩分(ナトリウム)の排出を促す働きがあります。
むくみ予防、高血圧予防、生活習慣病予防など健康に役立つミネラルです。
厚生労働省は「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で、生活習慣病予防のため1日に摂りたいカリウムの目標量を成人男性で3000mg以上、女性で2600mg以上としています。
苦み成分はポリフェノール由来
はっさくのほろ苦さはポリフェノールの一種によるものです。柑橘類に含まれるフラボノイド類(ヘスペリジン、ナリンギンなど)は抗酸化作用があり、毛細血管を強くする、血流をよくする働きがあるので冷え性が気になる方におすすめです。
ポリフェノールは食べると苦みを感じる部分、薄皮や白い筋に多く含まれています。
はっさくをもっと美味しく食べるには?
はっさくをもっと美味しく食べるには?美味しいはっさくの選び方
はっさくを選ぶときは次のことをチェックしてみてください。
・ヘタ:きれいな緑色をしている。乾燥したり、茶色くなっていない。
・皮:ハリとツヤがあり、色が明るくきれい。
・重み:手に取るとずっしりと重みがある。
・香り:甘酸っぱい、いい香りがする。
はっさくの保存方法
・室温保存
はっさくは皮が厚く丈夫なので室温でも長持ちします。風通しのよい冷暗所に置くとよいでしょう。
・冷蔵保存
室温が高いときは冷蔵庫の野菜室での保存がおすすめです。その際はビニール袋に入れて口を閉じ、乾燥を防ぎましょう。
・冷凍保存
皮と薄皮を取り除き、果肉だけを保存袋に並べて空気を抜き冷凍庫で保存します。冷凍したはっさくは半解凍でシャーベットのように楽しめます。1カ月ほど日持ちしますが長期間保存したものはジャムにするなど加熱殺菌してから食べると安心です。
撮影:黒石 あみ(小学館)
【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
・「からだにおいしいフルーツの便利帳」三輪正幸監修 高橋書店
・「あたらしい栄養学」吉田企世子 松田早苗監修 高橋書店
・JAグループ「とれたて大百科」ハッサク
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=92
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員「くだものの栄養素」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_01.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員 「くだものの健康効果」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_02.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」コラーゲン
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-011.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
(最終参照日 2021/10/05)