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意外な栄養満点フルーツ!「柿」の栄養と保存方法をじっくり解説

秋の味覚の代表である柿は、ビタミンCだけでなくβ-カロテンやカリウムなどを多く含む栄養たっぷりの果物。柿は健康にいい?二日酔いに効くって本当?などの気になる効能や、長持ちさせる保存方法、おいしく食べるコツまで管理栄養士がじっくり解説します。

おいしいだけじゃない柿の栄養パワー

おいしいだけじゃない柿の栄養パワー

柿(甘柿)100g当たりに含まれる主な栄養素

  • エネルギー:63kcal
  • 糖質量:14.3g
  • 食物繊維:1.6g
  • ビタミンC:70mg
  • β-カロテン当量:420μg
  • カリウム:170mg

柿はビタミンCが豊富!風邪予防・ストレス対策に

ビタミンCといえばかんきつ類に豊富なイメージがありますが、柿はかんきつ類よりもビタミンCが豊富な果物です。その含有量はみかんと比較してなんと約2倍以上
※薄皮付きのみかん100gあたりに含まれるビタミンC量は32mg

ビタミンCはコラーゲンの生成に必要な栄養素。粘膜の健康を保つ働きにより、風邪を引きにくい身体づくりをサポートするほか、鉄分(非ヘム鉄)の吸収をサポートすることで貧血予防に役立ちます。

また、体内のビタミンCはストレスによって失われるため、ビタミンCを補給することはストレス対策にもなります。

むくみ予防・高血圧予防に役立つカリウム

柿はカリウムが豊富な果物です。カリウムには体内の塩分(ナトリウム)を排出する働きや利尿作用、体内の水分調整などの働きがあり、むくみ予防や高血圧予防に役立ちます。

カリウムは水溶性のミネラルで、加熱調理することで溶け出して失われてしまいます。加熱する必要がなく生のままおいしく食べられる柿のような果物は、カリウム補給に特におすすめです。

β-カロテンで免疫力アップ

野菜や果物に多く含まれる黄色または赤色の色素がカロテノイド。強い抗酸化作用を持つことで知られています。カロテノイドには様々な種類がありますが、柿にはβ-カロテン、β-クリプトキサンチン、リコピンが含まれています。

β-カロテンは体内でビタミンAに変換されて、抗酸化作用による免疫力アップが期待できます。また、肌の健康を保つことで美容にもうれしい働きをします。β-クリプトキサンチンやリコピンにはがん予防の働きも期待されています。

生柿と干し柿の違いは?

生柿のうち一般的に食べられているのは、熟すと渋みが消えて甘くなる「甘柿」です。熟しても実が硬いうちは渋みが残るものを「渋柿」といいます。渋柿を甘くおいしく食べるための工夫として、アルコールや炭酸ガスを使い渋抜きする方法があります。

または、皮を剥いて干し柿にすると、タンニンが分解されて渋みが抜けることで甘くおいしくなります。

干し柿は生柿に比べて水分量が約1/3まで減ることで甘みが凝縮されて保存性が高まり、100gあたりのエネルギー量やβ-カロテンの含有量が増加しますが、水分とともに水溶性のビタミンCは大幅に失われます。

健康にも役立つ!柿の効能・効果

健康にも役立つ!柿の効能・効果

カリウムでむくみ防止!

柿に含まれる栄養素の中で、ダイエット中の人に役立つのはカリウムや食物繊維。カリウムには体内の水分を調整してくれる働きがあるため水分代謝がアップします。ダイエット中に気になる顔や脚のむくみ改善におすすめです。

また、柿に含まれる食物繊維は腸内環境を整えることでダイエット中の便秘を解消したいときに役立ちます。

柿は二日酔いにいいって本当?

柿に含まれる渋み成分「タンニン」はポリフェノールの一種。このタンニンはアルコール分解作用があることから、二日酔いのときにいいと言われています。

柿を切ったときに黒い点が見えることがありますが、これは実はタンニンが固まったもの。水溶性のタンニンが固まり不溶性に変わることで渋みがなくなり、黒い点として現れます。これは柿が熟して甘くなったときの目印にもなっています。

ちなみに、完全甘柿と呼ばれる種類の甘柿は、熟して甘くなっても黒い点は現れません。

生活習慣病予防も?柿の健康効果

昔から「柿が赤くなると医者が青くなる」と言われています。塩分を摂りすぎてしまったとき、柿に含まれるカリウムは体内の塩分(ナトリウム)の排出を促してくれるため、高血圧予防に役立ちます。

また、食物繊維は糖質や脂質、塩分を吸着して排出する働きがあり、肥満・糖尿病・高血圧など生活習慣病の予防効果が期待できます。

柿をおいしく長持ちさせる保存方法

柿をおいしく長持ちさせる保存方法

柿は冷蔵/室温保存どちらがおすすめ?

柿は冷蔵保存するのがおすすめです。乾燥を防ぐために濡らしたキッチンペーパーをヘタにあてるのがポイント。

それからひとつずつラップで包み、ヘタが下になるようにして置き、野菜室で保存しましょう。

こうすることで追熟を遅らせ、長持ちさせることができます。冷蔵庫に入りきらないときもヘタを下にして置き、冷暗所で保存しましょう。

柿は冷凍保存もできる!

柿は冷凍保存が可能です。また、柔らかくなりすぎてしまった柿も冷凍保存することでおいしく食べられます。

冷凍保存するときは一つずつ、まるごとラップに包んで冷凍庫に入れるだけ。食べるときは半解凍が最適です。ヘタの少し下から横に包丁を入れて切り落とし、中の果肉をシャーベットのようにスプーンですくって食べられます。ぜひ、お試しください。

冷凍した柿の保存期間は1カ月を目安にしましょう。

撮影:黒石 あみ(小学館)

 

【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・「からだにおいしいフルーツの便利帳」三輪正幸監修 高橋書店
・JAグループ「とれたて大百科」カキ
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=71
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員 「くだものの栄養素」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_01.html
・毎日くだもの200グラム推進全国協議会委員 「くだものの健康効果」
http://www.kudamono200.or.jp/health/health_02.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html

(最終参照日:2021/08/20)

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