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実は栄養満点!「三つ葉」の栄養と上手な保存方法を解説します【管理栄養士監修】

お吸い物や茶わん蒸しの添え物的に使われることが多い三つ葉。実は単独でたっぷり食べたいほど栄養豊富な野菜なんです。カリウム、鉄分などを含む三つ葉の栄養情報に加えて、しんなりさせない上手な保存方法、たっぷり食べるための簡単な調理法まで、管理栄養士の小原さんに解説してもらいました。

三つ葉は栄養豊富な緑黄色野菜!

三つ葉は栄養豊富な緑黄色野菜!

三つ葉(糸三つ葉)に含まれる主な栄養素(100gあたり)

  • エネルギー:12kcal
  • 食物繊維:2.3g
    水溶性食物繊維:0.3g
    不溶性食物繊維:2.0g
  • カリウム:500mg
  • 鉄:0.9mg
  • β-カロテン:3200μg

三つ葉・根三つ葉・切り三つ葉の違いと特徴

スーパーなどで見かける三つ葉、同じように見えますがよく見るとパッケージに文字が書かれていることが。それぞれの違いをご紹介します。

■三つ葉:糸三つ葉、青三つ葉とも呼ばれます。水耕栽培が主で1年中出荷され、スポンジ状の床ごと販売されることも。根元まで日を当て育てるため茎が青く、香りが豊かなのが特徴です。もっともよく見かける種類の三つ葉です。

■根三つ葉:種まきから収穫まで畑で栽培され、細いごぼうのような根を付けたまま春先に出荷されます。日に当たらないよう土盛りをして育てるため、茎が白く太いのが特徴。根も食べることができます。三つ葉よりも風味が強く、シャキシャキとした食感が味わえます。

■切り三つ葉:ハウスなどで日に当てずに栽培し、多くは冬に根を切り取って出荷されます。茎は白く細めで柔らか。アクが少なく上品な香りを楽しめます。

ビタミンやカリウムを含む栄養満点野菜

三つ葉に含まれるβ-カロテンは体内でビタミンAに変換され、肌や粘膜の健康を保つ働きをします。β-カロテンを多く含む三つ葉は、実は緑黄色野菜。三つ葉、根三つ葉、切り三つ葉の3種の中では三つ葉がβ-カロテンを一番多く含んでいます。

カリウムは体内の水分バランスの調整をするため、むくみ予防に役立ちます。

貧血予防に欠かせない鉄分

体内で鉄はたんぱく質と結合し、血液中の赤血球に含まれるヘモグロビンになります。ヘモグロビンは酸素と結びつき全身へ。そのため鉄が不足すると貧血になり、細胞に酸素が十分にいきわたらず、疲労感や集中力の低下、頭痛などがおこることがあります。

香り成分に嬉しい効能

緑が鮮やかでさわやかな苦みと香りが楽しめる三つ葉。この三つ葉の香りは精油成分に由来するもので、食欲を高めたりイライラを落ち着かせたりする作用があるといわれています。三つ葉は乾燥すると香りが落ちるため、新鮮なものを選ぶようにしましょう。

三つ葉の上手な保存方法

三つ葉の上手な保存方法

三つ葉は立てて冷蔵保存

葉が薄く、乾燥しやすい三つ葉。買ってきた三つ葉は、根元を水で湿らせたキッチンペーパーで包んでから保存袋に入れ、立てた状態で野菜室で保存します。保存目安は1週間程度です。

三つ葉は冷凍できる?

三つ葉をざく切りか粗みじん切りにして、ジッパー付きフリージングバッグに入れ平らにならし冷凍庫で保存します。保存目安は1カ月程度。料理の彩りや汁物に少しずつ使うのに便利です。

生・煮る・炒める…おいしい三つ葉の食べ方

生・煮る・炒める…おいしい三つ葉の食べ方

生で香りを楽しむ

三つ葉は鮮やかな緑と独特の香りを活かして料理の仕上げに少量を添えることが多いですが、それだけではもったいない! 栄養豊富な三つ葉をメインにたっぷり食べるメニューもぜひ試してみてください。

香りを楽しむには生で食べるのがおすすめ。サラダやパスタと和えると簡単です。サラダは三つ葉だけでも、レタスなど他の葉野菜と合わせてもおいしくいただけます。

汁物にすればたっぷり食べられる

三つ葉を汁物にいれるとカサが減り、たくさん食べることができます。定番の味噌汁はもちろん、中華風のスープとも相性が良く、爽やかな香りのおかげでさっぱりと仕上がります。

卵と炒めて栄養効率アップ!

三つ葉に含まれる鉄は、ヘモグロビンの材料となるたんぱく質を多く含む卵と一緒に調理すると栄養効率がアップします。三つ葉の緑と卵の黄色の組み合わせは美しく、食卓も華やぎます。三つ葉と卵をシンプルに炒めたり、かまぼこを加えて卵とじにしたり、しらすと一緒に玉子焼きにしてもおいしくいただけます。

スーパーでいつも見かける三つ葉。実はほうれん草にも劣らない栄養を含んでいます。上でご紹介したもの以外にもおひたしや和え物などいろいろな食べ方ができるので、ぜひいろいろなメニューにチャレンジしてみてくださいね。

 

撮影:田中 麻以(小学館)

 

【参考】
・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」鉄
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-022.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」貧血の予防には、まずは普段の食生活を見直そう
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-008.html
・「からだにおいしい あたらしい 栄養学」吉田企世子監修 高橋書店 2016年
・「NHK出版からだのための食材大全」池上文雄 NHK出版 2020年
・『野菜のソムリエ「ベジフルキッチン」ー栄養と保存と調理の知恵』日本ベジタル&フルーツマイスター協会 幻冬社 2006年
・「花図鑑 野菜」芦澤正和監修 草土出版 2006年
・JAグループ「とれたて大百科」野菜のチカラをもっと知る ミツバ
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=18
・愛知県「愛・地産アラカルト」みつば
https://www.pref.aichi.jp/engei/aichisan/vegetables/05honewort.html
・日本香料工業会「香りの教室」ミツバ、フキ、シュンギク
https://www.jffma-jp.org/learning/jpn-flavor/nigami.html
・「ひと目でわかる!食品保存事典」島本美由紀 講談社 2015年

(最終参照日:すべて2021/5/21)

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