子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

旬の間にたくさん食べたい!そら豆の栄養情報や簡単調理法までご紹介【管理栄養士監修】

初夏の味、そら豆。栄養豊富な豆類の中でも、そら豆には食物繊維やビタミン類など、特徴的な栄養がいくつも含まれています。栄養情報に加え、“薄皮は食べる?食べない?問題”、上手な保存方法、茹でる/焼くなど簡単においしく食べる方法をご紹介します。管理栄養士の小原さんが解説する、野菜の基礎知識シリーズです。

体の調子を整える!そら豆の栄養情報

そら豆に含まれる主な栄養素(100gあたり)

  • 食物繊維:2.6g
    (水溶性食物繊維:0.2g)
    (不溶性食物繊維:2.4g)
  • ビタミンB1:0.30mg
  • ビタミンB2:0.20mg
  • ナイアシン:2.9mg
  • ビタミンB6:0.17mg
  • 葉酸:120μg
  • パントテン酸:0.46mg
  • ビオチン:6.9μg
  • カリウム:440mg

健康は腸から!食物繊維

食物繊維は消化・吸収されることなく、腸まで届く食品成分。期待できる働きは腸内環境を整え、腸が元気に動くようにサポートする整腸作用です。

食物繊維は、水に溶ける水溶性食物繊維と、水に溶けない不溶性食物繊維に分けられます。そら豆には両方の食物繊維が含まれています。

元気な活動を支えるビタミンB群

そら豆には数種類のビタミンが含まれていますが、注目したいのはビタミンB群。ビタミンB群とはビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、パントテン酸、ビオチンの8種類のビタミンの総称です。単体よりもチームで働くことが多いため、まとめてこう呼ばれています。

ビタミンB群の大切な働きは、摂取した栄養からエネルギーを生み出すサポートをすること。元気に活動するために欠かせないエネルギーは、ビタミンB群なくして得ることができないのです。

「造血ビタミン」葉酸

葉酸はビタミンB群の一種で、光や熱に弱いという繊細な性質を持っています。体内では血液の赤さの元である、赤血球を作るのに重要な役割を果たすため「造血ビタミン」とも呼ばれます。

外食時にはカリウム摂取を意識して

カリウムはミネラルの一種で、水に溶けやすいのが特徴です。体内ではナトリウムを排出する作用があるため、塩分の摂りすぎを調整するのに役立ちます。味が濃くなりがちな外食時やその前後には、カリウムを多く含む食材を意識して食べるようにするのもいいかもしれませんね。

そら豆の栄養を活かす食べ方

そら豆に含まれるビタミンB群とカリウムに共通する特徴は、水に溶けやすいということです。そら豆の栄養を活かすには、茹で汁ごと食べられる汁物や、さやごと加熱する蒸し焼きなどがおすすめ。調理方法によっても味わいが変わるので、いろいろな食べ方を試してみましょう。

そら豆の上手な保存方法

生のまま?加熱してから?そら豆の冷蔵保存

さや付きのそら豆の場合はそのまま保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。保存目安は2〜3日です。

さやから出されている場合も保存袋に入れて、なるべく空気に触れないようにし、野菜室で保存します。保存目安は1日程度です。

さやから出して固めに茹でたそら豆を、冷蔵保存することもできます。保存容器に入れたら、1〜2日を目安に食べるようにしましょう。

そら豆は鮮度も味も落ちるのが早い食材です。すぐに食べるのが難しいときは、なるべく酸素に触れないように保存してください。

おいしさキープの冷凍保存法

ちょっとかさばりますが、そら豆はさやごと冷凍すると風味を保ちやすくなります。そのままジッパー付きのフリージングバッグにいれて冷凍庫へ。使うときはさやごと焼くか、電子レンジで軽く解凍してから中を取り出して調理しましょう。

さやから出して保存するときは、黒い筋の反対側に浅く切り込みを入れてから、ジッパー付きフリージングバッグに入れて冷凍します。下処理をしてから冷凍保存することで、必要な分だけ使うことができて便利です。使うときは凍った状態で調理できます。

そら豆をおいしく食べるコツ

そら豆の薄皮は食べる?食べない?

そら豆の薄皮には、豆の部分に比べて食物繊維が多く含まれています。捨ててしまうのはもったいないのですが、ただ一緒に食べるとかたく感じるのが気になるという人も。

薄皮をつけたまま煮物やスープなどにして煮込むとやわらかくなりますし、薄皮だけじっくり焼いたり、揚げたりするとパリパリになってスナック感覚で食べられます。

定番の茹でそら豆、茹で時間は?

そら豆をおいしく茹でるコツは、手早く作業をすることです。さやから取り出し、黒い筋と反対側に浅く切り込みを入れ、沸騰した湯でおよそ2分茹でます。

茹で上がったらザルで湯を切り、ザルのまま冷まします。水にさらさず、ザルのまま冷ますことで余熱で火が通り、水っぽくならずホクホクの食感が楽しめますよ。

手軽で簡単なレンジ加熱

そら豆は電子レンジ調理もできます。さや付きを使う場合は、さやにつまようじなどで2〜3ヶ所穴を開け、600wで2分程度加熱します。

さやから出して豆だけ使うときは、黒い筋と反対側に浅く切り込みを入れ、耐熱容器に入れて、ふんわりラップをかけ、600wで1分半程度加熱します。

電子レンジ加熱では、食材の量や大きさ、また電子レンジの機種によっても加熱時間が変わります。様子を見て、足りないようなら30秒ずつ加熱時間を追加してみてください。

風味豊かな仕上がり!「焼きそら豆」

焼いたそら豆はより香ばしく、豊かな風味が味わえます。

さや付きで調理する場合は、オーブントースター、魚焼きグリル、フライパンなどで、全体に黒く焦げ目がつくまで焼きます。中が蒸し焼き状態になって火が通ります。

豆だけ焼く場合は蒸し焼きがおすすめです。フライパンに50〜100mlの水を入れ、沸騰したら豆を入れて、ふたをして中火で約2分加熱します。パラリと塩をふって、湯気が上がっているうちに食べましょう。

そら豆には体にうれしい栄養がいくつも含まれています。鮮度も味も落ちるのが早いので、手に入れたらなるべく早く食べましょう。調理法によって味わいが変わるのも魅力です。

 

撮影:田中 麻以(小学館)

 

【参考】

・文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-016.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」食物繊維の必要性と健康
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-05-001.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」カリウム
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/food/ye-005.html
・厚生労働省「e-ヘルスネット」貧血の予防には、まず普段の食生活を見直そう
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/food/e-02-008.html
・JAグループ「野菜のチカラをもっと知る」ソラマメ
https://life.ja-group.jp/food/shun/detail?id=34
・ニチレイ「冷凍で食を豊かに ほほえみごはん」【そら豆の保存】鮮度&風味を1ヵ月キープする冷凍法
https://www.nichireifoods.co.jp/media/12547/
・「からだにおいしい あたらしい 栄養学」吉田企世子監修 高橋書店 2016年
・「ひと目でわかる!食品保存事典」島本美由紀 講談社 2015年
・「野菜のソムリエ『ベジフルキッチン』ー栄養と保存と調理の知恵」日本ベジタル&フルーツマイスター協会 幻冬社 2006年

(最終参照日:すべて2021/4/14)

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載