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創業50周年「パタゴニア」の地球環境、ジェンダー、リサイクルに対する姿勢が伝わる新作たち

1973年に、アメリカ・カリフォルニア州で誕生したアウトドア企業『patagonia』(パタゴニア)の、2023年秋冬新作発表会へ行ってきました。ブランド誕生から50周年。つねに遊び場である地球を思いやる『パタゴニア』が、次の50年のために考えるものづくりとは?

次の50年を考えた「ナチュラルアイコンズ」コレクション

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海に山に、さまざまな外遊びを楽しむ老若男女に愛される『パタゴニア』。キュートなベビー&キッズアイテムや、タウンユースにも人気のフリースベスト、バックパック、Tシャツにキャップなど。もうおなじみですよね。

創業から50周年を迎えた2023年は、アニバーサリーイヤーを彩るアイテムが続々とリリースされています。秋冬の新作発表会でも、特別なコレクション「ナチュラルアイコンズ」が発表されました

性別を問わず着られる「ジェンダーインクルーシヴ」

タグに「W’s L」「M’s M」と男女のサイズが併記されています。

これまでに愛され、アイコニックなアイテムやカラーをラインナップした「ナチュラルアイコンズ」

特徴の一つが「ジェンダーインクルーシヴ」。つまり、男女問わず着られるユニセックスなアイテムがそろうこと。タグに表記されているタグも、Women’sとMen’s両方のサイズが表記されているので、より選びやすくなっています。

機能性は保ちつつ、ナチュラル素材を使う

「ナチュラル・ブレンド・レトロ・カーディガン」4万9,500円(W’s XS/M’s S〜W’s XXL/M’s XL)。

また、フリースやダウンなどの素材には、アウトドア製品としての機能性はギリギリまで担保しつつ、可能な限りナチュラル素材を使用しているそうです。

アイコニックなカラー「Dried Mango」(ドライマンゴー)

ダウンの中に着た「リサイクル・ウールブレンド・ラグビー・セーター」2万8,600円(W’s XS/M’s S〜W’s XXL/M’s XL)は、創業時から作られているラグビーシャツから着想を得たデザイン。

「ナチュラルアイコンズ」のキーカラーは、「Dried Mango(ドライマンゴー)」というオレンジがかったイエローとブルーです。とりわけ「ドライマンゴー」は、80〜90年代の『パタゴニア』でも人気だったアイコニックなカラーなのだとか。

これらの特徴が散りばめられたアイテムを、さっそくチェックしていきましょう!

リサイクル天然素材を使用いた「もこもこフリース」

「ナチュラル・ブレンド・レトロ・カーディガン」4万9,500円(W’s XS/M’s S〜W’s XXL/M’s XL)。カラーは4色。左からThunder Natural、Thunder Pitch Blueのほかに、Dried Mango、Grayling Brown。

「ナチュラル・ブレンド・レトロ・カーディガン」は、ロングセラーの「レトロX カーディガン」から生まれたフリースです。独特のモコモコとした生地は、リサイクル・ポリエステルとリサイクル・ウールを使用しています。

育てる楽しみがある「天然素材のジャケット」

「ワックスド・コットン・ジャケット」5万5,000円(XS〜3XXL)。

メンズライクな「ワックスド・コットン・ジャケット」は、タウンユースはもちろん、キャンプや軽いハイキングなどの外遊びでも活躍しそうなアウター。その名の通り、コットン素材に植物由来のワックスをかけ、保温性と耐水性を持たせています

コットン素材は、オーガニック認証を目指す農場を支援するコットン・イン・コンバージョンのものを100%使用。ワックスは、食品産業の廃棄物を利用した植物由来でパラフィン不使用の、ハレー・スティーブンソン社「エバーワックス・オリーブ」で加工しています。

ワックスド・コットン・ジャケットは、使い込むうちに少しずつ味が出てくるのも特徴。汚れたら冷水だけをしみ込ませた布で拭きとるか、ブラッシング。ワックスが抜けてきたなと感じたら自分でメンテナンスするなど、育てる楽しみもありますね。

大人も子どももベビーも、家族みんなでおそろい「コットン素材のダウンジャケット」

左「ベビー・コットン・ダウン・ジャケット」2万4,400円(6M〜5T)、右「コットン・ダウン・ジャケット」4万9,500円(W’s XS/M’s S〜W’s XXL/M’s XL)。キッズサイズもあり、価格は2万9,700円(XS〜XLL)。

ベビー、キッズ、大人と各サイズそろう、レトロな印象の「コットン・ダウン・ジャケット」にも注目。『パタゴニア』で最もアイコニックなアイテムを、天然繊維や再生素材でつくった、まさに次の50年を見据えたアイテムです。

コットン素材には、オーガニック認証を目指す農場を支援するコットン・イン・コンバージョンのものを100%使用。化繊には、PFCフリーDWR加工(フッ素化合物不使用の耐久性撥水コーティング)済みで、ダウンもリサイクル・ダウン100%(ダウン製品から再生されたダックダウンとグースダウン)です。

環境に配慮されたアイテムかつ、ふっくらとしたダウンをたっぷり含んでいるので温かい! ラグランスリーブで肩まわりを動かしやすく、フードの顔まわりと袖口には伸縮性のあるしなやかな素材が使われています。真冬の公園遊びや、通園・通学など、幅広く活躍しそうです。

ナチュラル素材で原点回帰「ラグビーセーター」と「フリースビブス」

「リサイクル・ウールブレンド・ラグビー・セーター」2万8,600円、「ナチュラル・ブレンド・ビブ」4万700円(各W’s XS/M’s S〜W’s XXL/M’s XL)。

ブランドの創業時から作られているアイテムを、天然繊維やリサイクル繊維でリメイクしているのも「ナチュラルアイコンズ」コレクションならでは。どこか懐かしいラグビーシャツとビブスのコーディネートは、古くからのファンも初めて見る人も、思わず飛びついてしまう魅力的な組み合わせ。

「リサイクル・ウールブレンド・ラグビー・セーター」は、リサイクルウール70%、リサイクルナイロン26%と、そのほとんどをナチュラル素材で仕立てています。ふわふわとした触り心地で、クラシックなデザインも可愛い。

お腹まわりも温かい「ナチュラル・ブレンド・ビブ」は、リサイクル素材のポリエステル、ウール、コットン、ナイロンを混紡。程よい伸縮性とフィット感があるアイテムです。また、お尻周りには、耐久性撥水加工を施したリサイクルナイロンを100%使用しています。

地球環境を修復する食品「パタゴニア プロビジョンズ」

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2023年8月24日〜9月20日まで「EATING IS ACTIVISM」キャンペーンを開催。

故郷である地球を救うためにスタートした食品コレクション「パタゴニア プロビジョンズ」。すべて、持続可能な漁業や土壌改善を兼ねた農業など、地球環境に配慮して生産されています。しかも、きちんとおいしいとあって、ファンが多い取り組みです。

今回は、取り組みを代表する3つの製品が紹介されていました。

10分で、穀物と野菜の旨みにスパイスがほどよく効いたスープが味わえる「オーガニック・グリーンレンティル・スープ 2食分」(842円)。遺伝子組み換えでないモンタナ州産の緑レンズ豆を使用。
食物連鎖の中でピラミッドの最下部にいる小型魚のサバを、伝統漁法で捕獲。じっくり加熱した野菜とともに缶詰に。「サントーニャ・サバ・オリーブオイル漬 スパニッシュパプリカ」(842円)。
多年生穀物「カーンザ」を使用し、ミュンヘン発祥のラガービールであるヘレスにアレンジした、ハニーモルトと爽やかでフローラルなホップの香りが特徴のクラフトビール。こちらは限定醸造の「ロング・ルート・ラガー」(6缶セット4,092円)。
  • フリーズドライのスープ

お湯で煮込むだけのフリーズドライのスープには、遺伝子組み換えでない豆や穀物が使用されています。中でもマメ科植物は大気中の窒素を固定して土壌に放出し、自身の栄養分とするため、天然の肥料になるそうです。

  • シーフードの缶詰

缶詰には小型魚のサバが使用されています。食物連鎖ピラミッド下位の小型魚を積極的に食べることは、大型魚と比べて漁業にまつわる負担を軽減できるそうです。また、使用されている魚の漁業は、昔ながらの方法。さらに、加工は現地の家族経営の工場で、一つひとつ丁寧にされているそうです。

  • クラフトビール

「パタゴニア プロビジョンズ」のクラフトビールは、その味わいのよさで、ビール好きからも評判です。原料の一つに、多年生植物「カーンザ」を使用。これは、表土の侵食を防ぎ、一年生小麦よりも少ない水の量でも育つなど、地球を回復させる植物なんです。

キャンペーンのステッカーは、店頭などでプロビジョンズ購入者に配布。

2023年8月24日からは「EATING IS ACTIVISM」キャンペーンを展開。食べるものはすべて、よくも悪くも地球に影響を与える。だからこそ、土壌と水を再生させる食品を食べるなど、食べる楽しみに“目的”を加えて食べよう! というものです。

この機会に、おいしく食べることで地球に配慮した取り組みが自然と応援できるものを選んでみてはいかがでしょうか。期間中は、軽井沢の店舗や、東京の虎ノ門ヒルズでトークセッションが開催されたり、Instagramでインスタライブも行われるそうですよ。

魅力的な製品すべてに、地球環境への思いやりが込められた『パタゴニア』。新作は、8月2日から順次発売されます。どうぞ手にとって、その想いに触れてみてください。

※価格はすべて税込み表記です。

【取材協力】
patagonia

ニイミユカ
ニイミユカ

兵庫県出身、浅草在住。一児の母。主に食や体のことなど、生活にまつわる地に足のついた企画を、雑誌や書籍、WEBメディアなどで編集・執筆する

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