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トマトが透けるほど薄く切れる!プロ直伝「劇的に切れ味が変わる」包丁の研ぎ方

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日々の生活で使う包丁ですが、実はなかなか知らないことが多いもの。そこで、キッチン道具を多数展開する『貝印』が開催する「包丁研ぎ体験セミナー」にkufura編集部も潜入! 

包丁について深い知識を持つ熟練の「包丁マイスター」の林泰彦さんが、包丁の正しい研ぎ方について熱く教えてくれました。いつもなんとなく研いでいる……という方は、知れば劇的に切れ味が変わりますよ! また、砥石は持っていないという方も、知っておいて損はない包丁の切れ味の秘密が満載です。

切れ味がグンと良くなる「包丁研ぎ」5つのポイント

今回教えてくれたのは「包丁マイスター」の林泰彦さん。ホームセンターや百貨店などで包丁研ぎの実演を行い、研ぎのプロの育成に日々力を注いでいます。林さんは包丁の研ぎ方には5つのポイントがあると話します。

いざ実践に入る前に、まずは、砥石を水に浸けて15分待ちます。砥石の中はスポンジのように細かい気泡がたくさん空いているので、水に浸けると細かい泡がシュワシュワと出てきます。泡が出なくなったら準備OK。早速、研ぎ始めましょう!

その1:砥石に対する包丁の角度をブレさせない

包丁を研ぐうえで大切なのは「正確に研ぐこと」と林さんは話します。

「人差し指を包丁の峰、親指を包丁の“アゴ”(ハンドル寄りの刃体の直角になっているあたり)に置き、軸が動かないように包丁を持って、砥石の上に斜めに置きます。この時、砥石に対する包丁の角度は約15°が目安。簡単な測り方は、小指の第一関節までを砥石と包丁の間に挟んでみてください。これですぐに確認できます。研いでいて角度が変わってきたように感じたら、小指を入れて確認してみてください」

さらに、間違いがちなのは、力を入れて細かく研いでしまうこと。力を入れると手ブレしやすく、均等に研げなくなってしまいます。

 「砥石をなでるように刃を滑らせ、研ぐ力は自分の腕の重さが乗るくらいの軽い力でOKです。砥石は20cmはあるので、35cmくらいの幅で細かく何度も研ぐよりも、縦いっぱいに滑らせて研いだ方が、効率よく早く研げます

 一度に刃渡り全部を研ぐのではなく、4等分くらいに分けて、研ぎ終わったら左右に少しずつ動かして、刃渡り全部を研いでいきましょう。下方の直角になった角(アゴ)まで丁寧に研いでくださいね。

その2:ザラッとする「まくれ」が出たら刃が付いた証拠

「何回研げばいいですか?」と、林さんはよく聞かれるそうですが、研ぐ回数の目安はないとのこと。むしろ、刃先を触った時にまくれ(バリとも言います)がしっかり出ているかどうかが重要だそうです。

写真のように、指3本の第二関節くらいまでを使って、刃先を優しく撫でるように触って確かめます。

 指先にザラッとした感触があったら、それがまくれです。その際、髪の毛1本分くらいの感触でOK。まくれが出ていたら、刃先が付いた証拠です

まくれはたくさん出ればいいわけではなく、まくれが出るほど包丁の刃先は削られるので、どんどん厚くなっていきます。そうすると切れ味が悪く感じる原因になるので、研ぎ過ぎもNGですよ。

その3:反対側も研いで、両刃をバランスよくキープ

「片方研いだらそれで終了!」なんて人はいませんか? 前回お伝えしたように、家庭で使う三徳包丁は両刃がほとんど。そのため、片方の刃を研いだら、必ず裏側の刃も研がないとダメなんです。

両方の刃にまくれが出たら、この状態でやっと「刃が付いた」ということになるんですね! 表と同様に小指を入れて15°の角度を確認しながら、裏側もしっかり研ぎましょう。

その4:まくれを取る時は「新聞紙」が正解!

でも、まだこれで終わりじゃありません。刃先にまくれが残った状態で食材を切ると食材の中に混ざってしまう可能性があります。また、まくれを砥石で取る人もいますが、そうするとせっかく付けた刃を潰すことにもなりかねません。

そこでおすすめなのが新聞紙だそう! 林さんは新聞紙の上で包丁を数回滑らせて、触るとまくれがキレイに取れてなくなっていました!

研いでいた時と同じくらいの角度で、包丁を新聞紙でこすり、最後はこそげ取る感じです。イメージとしては反対側にまくれを折り曲げて、もう反対側からも折り曲げて取る感じ。これで両方の刃が滑らかになるんです。何回かやったら刃先を確認して、ザラッとした感触がなくなったら完成です」

まくれの処理までしっかり行って、やっと包丁研ぎが終了です!

その5:研ぎ終わった砥石は平らにしておかないとダメ!

そして、最後にもうひとつ。砥石のメンテナンスが実は大事なんです。

「包丁を研いだ後は、砥石も削れてしまっています。私が均一な力で研いでも、砥石の中央はやや凹んでいる状態です。研ぎ終わった後にコンクリートなどで表面をこする人もよくいますが、それだと砥石が傷むので、私は面直し用砥石を使うことをおすすめします」

実際に面直し砥石でゴシゴシ数秒こするだけで、砥石の表面が簡単に平らになりました! 面直し用砥石は通常の砥石よりも硬い材質のため、砥石の表面を整えることができるんです。

「砥石を平らにしておかないと、そもそも均一に研ぐことができず、包丁を上手に研ぐことはできません。面直しは毎回行えば数秒で済みますが、ずっと長いことメンテナンスをしていない砥石は、中央が凹んでしまい、平らな状態に戻すのはひと苦労です。面直し用砥石は割ったりしない限りは買い替える必要がないくらい長持ちしますので、ぜひご家庭にも1本あると便利ですよ」

最後は砥石をよく乾かしてから、新聞紙などに包んでしまいましょう。

皮が切れにくいトマトも透けるほど薄く切れた!

研ぎ終わった包丁でトマトを切ったら……ビックリ! トマトを押さえずに片手で包丁を横にスライドさせただけで、こんなに薄く切ることができました! 正しく研ぐと、包丁の切れ味はこんなにもアップするんですね。

 

いかがでしたか? なんとなく研いで満足しがちな包丁ですが、プロが教える正しい研ぎ方のコツを知っておけば、本来の切れ味を実感できるはず。ぜひ、いつも使っている包丁の切れ味を復活させてくださいね!

【取材協力】

林泰彦・・・『貝印』の包丁マイスター。2010年に入社し、包丁など刃物に関する知識や研ぎの技能が認められ、2017年4月より貝印の資格である「マイスター制度」の責任者になる。現在は国内はもとより海外でも包丁研ぎのセミナーやデモンストレーションを行い、Twitterの包丁研ぎ動画では5.8万人が視聴するなど、包丁研ぎ界の巨匠として活躍中。

 

 取材・文/岸綾香

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