(梅津さん的だしのとり方はこちら)
そこで、だしをたっぷり使用した梅津さんオリジナルの“だしレシピ”を紹介。だしの旨味が効いているので、調味料はあれこれ使わず、時短で作れるのもイイところ。忙しい人にこそぜひ試してもらいたい、だしの旨味を存分に味わえるおいしくて簡単なメニューばかりです!
レシピ1:具がなくても大満足の『だしむすび』
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米2合に昆布だし400ml、塩小さじ1弱を入れ、30分ほど浸水させて普通に炊く。10分蒸らしてから、握ってのり適量を巻く。
「昆布の旨味がほんのり効いたご飯がおいしすぎて、”具はむしろいらない!”と思うほど。おにぎりの具がなくても、満足感は充分。ご飯にほんのり塩気が効いているので、握る時に塩をつける手間もありません。シンプル・イズ・ベストの我が家の王道メニューです」
まずは、いつものご飯の水を好みのだしに変えて炊いてみましょう!
レシピ2:ほくほく感がたまらない『だしじゃが』
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じゃがいも適量は皮をむいて大きめに切り、じゃがいもが隠れるくらいのかつおだし適量、塩少量で煮る(塩の分量は、じゃがいも中3個に塩小さじ1/2が目安)。じゃがいもが煮くずれて、汁気がなくなったら完成。
「じゃがいもは、煮くずれしやすい“男爵”をあえて選ぶのがポイント。周りがどろりと煮くずれ、溶けてほっくりした部分が最高においしい! たとえていうなら、おでんのじゃがいもを極限までコトコト煮込み、芯までだしをたっぷり含ませて煮くずしたような感じです」
できたての熱々もいいですが、一晩置くと味が染みてさらにおいしく。昆布だしよりもかつおだしの方が好相性で、だしの旨味を存分に味わえます。
レシピ3:みそ汁より簡単な『だしスープ』
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鍋で昆布だし適量を温め、好みの具材を入れて煮る。薄口しょうゆ少量で味を調えたらできあがり。
「みそを溶く手間がないので、だしスープの方が超簡単。具材はその時に冷蔵庫の中にあるものでOK! 味付けは一緒でも、具材によって組み合わせは無限大なので、毎日飽きずに食べられます。寒い時期はとろみをつけても」
トマト+卵、豆腐+なめこ、揚げなす+きのこ、鶏ひき肉+ほうれん草、あさり+ねぎ、ベーコン+白菜……etc. さまざまな組み合わせを楽しめるので、まったく飽きないのもスゴイところ!
レシピ4:だしが主役の『あごだし湯豆腐』
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水1Lに焼きあご5〜6本を入れ、冷蔵庫で1晩置く。土鍋に移して火にかけ、煮立ったらあごを取り出す。酒・薄口しょうゆ各少量で調味し、鶏もも肉・豆腐・しめじ各適量を入れる。
「“あご”とは飛び魚のことで、煮干しのような魚臭さがなく、上品な旨味とコクがある最近人気のだしです。焼きあごの極上の旨味をシンプルな湯豆腐で、ストレートに味わってください。昆布やかつおとはひと味違った旨味に、感動すること間違いなし!」
締めは溶き卵とご飯を加え、とろとろの卵雑炊に。まるで料亭のような味に酔いしれること必至です。
レシピ5:夜食にパッと簡単 『創作だし茶漬け』
null明太チーズだし茶漬け
【作り方】
ご飯にほぐした明太子・とろけるチーズ各適量をのせ、だしを注ぐ。好みで昆布を添えて。
カリカリベーコンとふわふわ卵のだし茶漬け
【作り方】
フライパンで刻んだベーコン適量をカリッと炒め、卵2個を溶いてスクランブルエッグを作る。これをご飯にのせ、だしを注ぐ。
梅としらすのだし茶漬け
【作り方】
ご飯に梅干し1個、しらす適量をのせ、だしを注ぎ、刻んだあさつき少量を散らす。
鶏ささみと塩昆布のWだし茶漬け
【作り方】
鶏ささみ適量をゆで、だし汁をとっておく。ご飯に割いた鶏ささみと塩昆布少量をのせ、鶏ささみのゆで汁と昆布だしを合わせて注ぐ。好みで明太子を添えて。
「ササッと済ませたいひとりご飯やお酒の〆、夜食にぴったり。明太子×チーズ、スモークサーモン×アボカドなど、具材は何でも好きなものをのせてOK! お湯やお茶ではそうはいきませんが、不思議なことにだしをかけると、何でもおいしくまとまるんです。だしって本当に懐が深い!」
だし茶漬けには、かつおだしや昆布だしを使用。梅津さんは普段から、実験感覚で食材の組み合わせを楽しんでいるそう。ぜひ、至福の一杯を探してみてください。
だしは、あらゆる食材をおいしくまとめてくれる優れもの。梅津さんおすすめのレシピはどれも簡単なものばかりで、すぐに試してみたくなりますね。
次回は、さらに進化した驚きのアレンジレシピが登場します!
【取材協力】
梅津有希子・・・だし愛好家、ライター。1976年、北海道生まれ。雑誌編集者を経て、2005年に独立。雑誌やWebメディア、書籍を中心に暮らしや食についての執筆や講演を行う。現在は、だし愛好家として食のイベントなども勢力的に行っている。ドラマ化された『終電ごはん』(幻冬舎)など著書多数。公式サイト
【参考】
※ 梅津有希子(2017)『もっとおいしい、だし生活。』(祥伝社)
取材・文/岸綾香