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「干ししいたけ」を使いこなす!栄養、戻し方から絶品レシピまで【乾物と仲良くなろう!】

昔から身近にあるけれど、ちょっと手を出しにくいという人も多い乾物。でも実は、生の状態より水分が抜けて成分が凝縮されていることで栄養アップしていることが多く、長期保存も可能なため、使いこなせるとたくさんいいことがある食材なんです。

そんな乾物の栄養情報に加え、基本の戻し方やおいしいレシピを、栄養士であり料理家であるあーぴんさんが紹介してくれるシリーズです!

第4回目は「干ししいたけ」。きのこのうま味がぎゅっと凝縮した干ししいたけは、食べるだけでなく出汁も活用しておいしさをまるごと味わいましょう!

干ししいたけの基礎知識

干ししいたけの基礎知識

こんにちは。料理家「あーぴん」として活動している、栄養士の道添明子です。身近な乾物の基礎知識をご紹介している連載も4回目。今回は香りもよく、旨味の宝庫でもある干ししいたけに注目です。

「どんこ(冬菇)」と「こうしん(香信)」

どんこ(冬菇)。丸みがあり、かさにも厚みがある。
こうしん(香信)。かさが開いており、薄手。

お店に行くと、干ししいたけにも種類があるのに気が付いたことはありますか?

どんこは冬の時期(1〜3月)に採れた、かさの巻き込みの強い肉厚のもの。こうしんは、どんこのかさが開いたもの。ひだがしっかり見えて、出汁が出やすく、戻し時間も少なくてすみます。

基本は同じしいたけですが、どんこは見た目の美しさから贈答品にもよく使われます。肉厚でしっかりした食感が楽しめる高級品です。香信はだしが出やすく、どんこより価格が安め。

干ししいたけ100gに含まれる主な栄養素(乾燥時)

  • エネルギー 258kcal
  • ビタミンD 17.0μg
  • カルシウム 12mg
  • 食物繊維 水溶性2.7g/不溶性44g
  • カリウム 2,200mg

※日本食品標準成分表2020版(八訂)より

 

ビタミンDは、骨を作る材料となるカルシウムとリンの吸収を促進します。ちなみに生のしいたけ100gあたりに含まれるビタミンDは0.3μg。干すことでビタミンDの量が大幅にアップしています。

カルシウムは日本人に不足しがちな栄養素。カルシウム不足は骨粗しょう症や骨折の原因にもなりますから、カルシウムとビタミンDをセットで摂取できる干ししいたけは、健康な骨や歯のためにも役立つ食品だと言えます。

腸活にも必須の食物繊維では、特に不溶性食物繊維が多く含まれます。食べた後に胃腸で大きく膨らみ、便秘予防や腸内環境を整える働きがあります。

また、カリウムが多く含まれるのも特長。カリウムは塩分の排出を助けるので、高血圧の予防にも役立ちます。

干ししいたけの旨味のもととなるグアニル酸、グルタミン酸などの旨味成分も豊富。成分が溶けだしている戻し汁も、干ししいたけのおいしさの一部です。

干ししいたけの基本の扱い方とおいしいレシピ

干ししいたけの基本の扱い方とおいしいレシピ

戻すときは水でじっくり

干ししいたけを戻すときは、さっと洗ってかぶるくらいの水に浸し、軸を下にして浮き上がらないように落としラップをします。

気温の高い夏場なら30分くらい戻せば使えますが、基本は2〜3時間と考えます。軸の部分を触ってみて、芯がなくやわらかくなっているのが目安です。

できれば冷蔵庫で一晩じっくりおくと、ふっくらと香り良く戻り、よりおいしくなります。厚みがある分、こうしんよりどんこは時間がかかる点に注意します。

戻したしいたけは、乾燥のときの4〜5倍の重量になります。

急ぐ場合は電子レンジでも!

耐熱容器にぬるま湯1カップと砂糖ひとつまみを入れ、落としラップをして600Wの電子レンジで2分加熱すればすぐに使えます。

また、戻し時間が早いスライス干ししいたけも、しいたけを細かく切って使う料理には便利です。

戻し汁は捨てずに活用!

戻し汁の中には旨味と栄養がたっぷり溶けだしているので、捨てずに煮物やスープに活用しましょう。戻し汁の底には汚れやゴミが沈んでいることもあるので、混ざらないように使ってください。

しいたけのおいしいレシピ3選

しいたけのおいしいレシピ3選

基本のしいたけの含め煮

含め煮とは煮た後に火を止めてそのまま冷まし、味をしっかり含ませる調理法。旨味を逃さず閉じ込めて、優しい味に仕上げます。

保存もきくので、まとめて煮ておけばちらし寿司、巻き寿司の具、そうめんの具などさまざまに活用できます。今回は肉厚のどんこで作りました。

【材料】(作りやすい量)

  • 干ししいたけ 10枚(50g)

<調味料A>

  • 干ししいたけの戻し汁 300ml
    *戻し汁が足りない場合には水を足す。
  • .しょうゆ・砂糖・みりん・酒 各大さじ2

<調味料B>

  • しょうゆ 小さじ2
  • 砂糖 小さじ1

【作り方】

(1)ボウルに水300mlと干ししいたけを入れ、落としラップをして2時間~一晩おいて戻す。

(2)戻した干ししいたけの石づきをとり、大きい場合には半分に切る。

(3) 鍋に<調味料A>を合わせて煮立て、しいたけを加える。落としぶたをして、弱火で約5分間煮たらさらに<調味料B>を加え、煮汁がほとんどなくなるまで煮たら、火を止めてそのまま冷めるまでおいて味を含ませる。

アレンジレシピ:モチモチ鶏ごぼう炊き込みご飯

干ししいたけを戻さずにハサミで刻んで使う楽ちんレシピ! もち米を買わなくても、切り餅を刻んでお米と一緒に炊けばモチモチ食感の絶品おこわに。ごま油も加えて炊いているので、コクが出て、お米にもツヤが出ます。

【材料】(米3合分)

  • 米 3合
  • 切り餅 2枚(50g×2)
  • 鶏ひき肉 150g
  • 青ねぎ 2〜3本(小口切り)
  • 七味唐辛子 適量
  • ごぼう 1/2本(70g)
  • 干し椎茸 4枚(乾燥 15g)

<調味料A>

  • しょうゆ・みりん 各大さじ1

<調味料B>

  • 水または出汁 400ml
  • しょうゆ・みりん・酒 各大さじ1
  • 砂糖 小さじ1

<調味料C>

  • ごま油 大さじ1
  • 和風だし 小さじ2
  • 塩 ひとつまみ

【作り方】

下準備

・米は研いでザルに上げておく。
・切り餅は1cm角に切る。
・鶏ひき肉は<調味料A>で下味をつけておく。
・青ねぎは小口切りにしておく。
・ごぼうはささがきにして、さっと水にさらして水気を切る。

(1)干ししいたけは、乾燥のままハサミでざっくり刻みます。軸も出汁が出るので捨てずに使います。

(2)鍋に<調味料B>とごぼうを入れて火にかけ、煮立ったら下味をつけた鶏ひき肉をスプーンで小さな団子状に落とし入れて煮る。鶏肉に火が通ったら、煮汁と具材を分けておく。

(3)炊飯器の内釜に米と(2)の煮汁、<調味料C>を入れて3合の目盛りまで水を足す。米の上に具材をのせて、さらに切り餅をバラバラになるように入れてから炊く。

(4)炊き上がりを全体に混ぜて器に盛り、青ねぎを散らす。お好みで七味唐辛子を添える。

こんにゃくと干ししいたけのピリ辛中華風

淡白なこんにゃくを旨味のある干ししいたけと合わせて中華風に仕上げました。こんにゃくは和風の煮物のイメージが強いですが、オイスターソースのコクに豆板醤の辛さを合わせると、お弁当やおつまみにもぴったりの味わいに。

干ししいたけはレンジで短時間で戻し、フライパンひとつで作るお手軽レシピです。もちろん時間があれば水でじっくり戻してくださいね!

【材料】(4人分)

  • こんにゃく 1枚(300g)
  • 干ししいたけ 4枚(20g)
  • ぬるま湯 1カップ
  • 砂糖 ひとつまみ
  • ごま油 大さじ1
  • 豆板醤 小さじ1
  • 白ごま 適量

<調味料>

  • しょうゆ 大さじ1
  • オイスターソース 大さじ1
  • 砂糖 大さじ1
  • みりん 大さじ1

【作り方】

(1)耐熱容器にぬるま湯、砂糖ひとつまみと一緒に干ししいたけを入れ、落としラップをして600Wの電子レンジで2分加熱する。石づきを取り、一口大に切る。

こんにゃくは格子状に切り込みを入れ、2cm角に切り、フライパンにかぶるくらいの水を入れて下ゆでして水を切る。

(2)フライパンにこんにゃくを入れ、水分を飛ばすように炒める。水分がなくなるとキューキューという音がするので、ここでごま油を加え、表面がカリカリになるまで炒める。しいたけも加えてさらに炒める。

(3)フライパンの空いているところに豆板醤を入れて、全体に絡める。 <調味料>を合わせ、フライパンに入れて味を絡ませる。

(4)器に盛り、お好みで白ごまをかける。

煮物だけじゃない!干ししいたけをいろいろな料理に

煮物だけじゃない!干ししいたけをいろいろな料理に

干すことで生のしいたけよりも旨味も栄養も大幅にアップしている干ししいたけ。グアニル酸は生のしいたけには含まれずに干ししいたけにのみに含まれている旨味成分です。

戻すというひと手間はあっても、生では得られないプラス要素がたくさんありますから、これまで生のしいたけを使っていた料理にも干ししいたけを使ってみるのはいかがでしょうか。

出汁の旨味がしっかりしていると、調味料が少なくても満足感が高まるため減塩対策にもなります。干ししいたけの戻し汁もぜひ上手に活用しましょう。

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