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親子でミュージアム初体験してみない? 上野の「Museum Start あいうえの」【子どもと楽しむ美術館】vol.12

子どもと一緒に行く、はじめての美術館。何をどう見ればいいのか、子どもにどのように伝えればいいのか悩んでしまう方も多いのではないでしょうか? そんな保護者のみなさんの疑問を解決するプロジェクトが上野で行われています。その名は「Museum Start あいうえの」。上野公園にある9つの文化施設による子どもたちのためのプロジェクトです。

今回は「Museum Start あいうえの」のレポートと、参画している上野の各施設をご紹介します。

美術館や博物館が楽しくなる!「あいうえの日和」をレポ

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東京上野には美術館や博物館、図書館に動物園など文化施設が多くあり、どれもが上野公園内に位置しています。ここまでたくさんの施設がひとつの地域に集まっているのは世界的に見ても珍しいこと。

どの施設もボリュームたっぷりで見応えがあるので、とくに子どもと一緒だとどこでどう鑑賞していいのか迷ってしまいますよね。そんな方たちにぜひ参加していただきたいのが、「Museum Start あいうえの」です。

9つの施設とは、『上野の森美術館』、『国立西洋美術館』、『東京都美術館』、『東京国立博物館』、『恩賜上野動物園』、『国立国会図書館国際子ども図書館』、『国立科学博物館』、『東京藝術大学』、『東京文化会館』。

「あいうえの日和」の様子

これらのうち、『東京都美術館』と『東京藝術大学』が中心となり、小学生から高校生、障害のある子どもも含む幅広い年齢や環境の子どもたち、そして学校を対象に、9つの施設が連携して子どもと大人が共に学びあえるようなプログラムを開催しています。

「Museum Start あいうえの」のプログラムにはいろいろな種類がありますが、まず最初は上野公園だけでなく全国の美術館や博物館を訪れるのも楽しくなってくるような「あいうえの日和」がおすすめです。

先日見学させていただいた「あいうえの日和」の模様をご紹介していきましょう。

「あいうえの日和」は、はじめてミュージアムに行く子どもたちを対象としたプログラム。9つの施設を楽しく冒険するコツを45分間でマスターしていきます。

会場は『東京都美術館』の「アートスタディルーム」。この日は約30組の親子が参加していました。プログラム参加者には、「ミュージアム・スタート・パック」が配布されます。

「ミュージアム・スタート・パック」は、かわいらしい『あいうえのバック』(サコッシュ)のなかに、『ビビハドトカダブック』(ガイドブック)、『冒険ノート』(スクラップブック)、2冊の本を閉じるためのバインダーが入っているセットです。

上野にお出かけするときには、このセットを肩からかけていけばOK。会場では、さっそく『ビビハドトカダブック』を熱心に読みふけるお子さんも!

プログラムでは、まず9つの施設を紹介するVTRを見てから『ビビハドトカダブック』で内容をおさらい。『ビビハドトカダブ』という呪文のような不思議な名前は、じつは9つの施設の頭文字を取ったもの。

各施設の特徴や見どころが紹介されているだけでなく、ひみつの「呪文」を言う場所も書かれています。この「呪文」を特定された場所(ビビットポイント)で唱えると、なんとうれしい!特製の缶バッジをもらうことができるのです。

「呪文」を唱える場所は『ビビハドトカダブック』にのみ記載されているので、バッジをもらえるのは「ミュージアムスタートパック」を持っている子どもだけ。

9つの施設で「呪文」を唱えるともらえる缶バッジ

そして集めた缶バッジをサコッシュにプリントされたマス目につけておけば、持ち主がいくつの施設に立ち寄ったかがわかるようになっています。スタンプラリーの仕組みですね。

『冒険ノート』は、ミュージアムで見て気に入ったコトやモノをスクラップしておくブック。
この日は、『東京都美術館』で開催されていた「BENTO おべんとう展」で展示されている作品カードを見て気に入った作品や疑問に思った作品を1点選び、展覧会のチラシや写真を切り抜いて貼ったり、気がついたことを書いたりする作業を行いました。

施設で展示を観るたびにスクラップしていけば、1年後にはすばらしい記録になるはず!

切り抜き方にも子どもたちの個性が出ている!

プログラムに参加する子どもたちの表情は、とても楽しそう。ちなみにこれまでのプログラム参加者の『冒険ノート』は、「Museum Start あいうえの」のWEBサイト上でも見ることができます。どれも力作揃いですよ!

「Museum Start あいうえの」のスタートは2013年。このプロジェクトを統括する東京藝術大学 美術学部 特任准教授の伊藤達矢さんによれば、「このプログラムの参加対象者は子どもですが、彼ら彼女らの体験を通して、保護者や先生にも美術館や動物園、図書館といったさまざまな文化施設を横断的に活用してもらいたいと考えています」とのこと。

「Museum Start あいうえの」では、「あいうえの日和」のほか、建築、アート&サイエンスなど、さまざまなテーマで子どもたちのための鑑賞プログラムを実施しています。学校やクラス単位で参加できるものも用意されているそう。

 

子どもはもちろん、大人も新しい発見がありそうな「Museum Start あいうえの」。ぜひ一度、親子で参加してみてください!

【イベント情報】

Museum Start あいうえの

プログラムは不定期開催。今後の詳細はWEBサイトでご確認ください。

制覇してみて! 「あいうえの」の9施設

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「Museum Start あいうえの」に参加する施設は全部で9つ。1日で全部は難しいけれど、2〜3施設なら十分に回れるはず。何回かかけて、全部の施設を制覇してみませんか? 各施設の特徴をご紹介しましょう。

上野の森美術館

現代美術からマンガ、浮世絵まで様々なジャンルの展覧会を開催する美術館。カフェやショップも充実しています。

国立西洋美術館

【ふらりと大人美術館】vol.8「駅から徒歩1分!都心の世界遺産“国立西洋美術館”で印象派と近代建築を味わう」でもご紹介した、ル・コルビュジエが設計した美術館。印象派の絵画が充実していることでも知られています。

東京都美術館

1926年に開館した、日本で一番古い公立美術館。大型特別展を通年開催しています。建築家・前川國男が設計したレンガ色の建物も素敵。

東京国立博物館

日本でもっとも長い歴史を持つ博物館。土偶や巻物、刀剣に鎧兜(よろいかぶと)まで日本と東洋のあらゆる美術品が集結。【ふらりと大人美術館】vol.1「国宝89件!夜も楽しめるトーハク“東京国立博物館”」もチェックしてみてくださいね!

恩賜上野動物園

2017年に誕生したジャイアントパンダ“シャンシャン”でおなじみの、日本で一番古い歴史を持つ動物園。広大な敷地には、さまざまな種類の動物がいっぱい。

国立国会図書館国際子ども図書館

その名のとおり、子どものための国会図書館。毎週土曜日には読み聞かせの会も行われています。

国立科学博物館

宇宙や地球、恐竜、生き物の歴史を知りたかったら、迷わず『国立科学博物館』へ。ミュージアムショップにもおもしろいグッズがたくさん。

東京藝術大学

学内の美術館や音楽ホールはもちろん、学生食堂も人気。リーズナブルでおなかいっぱい食べられる上野のオアシス的な場所です。

東京文化会館

前川國男設計の5階席まである音楽ホール。ロビーの広い空間は、とても幻想的です。無料のロビーコンサートも定期的に開催されています。

※画像の転載は一切禁止させていただきます

(※情報は2018年9月現在のものです)

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