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のびのび鑑賞に作品づくり! 美術館の「ワークショップ」体験【子どもと楽しむ美術館】vol.6

近年、美術館では子ども向けのワークショップが積極的に開催されています。内容は、解説付きの展覧会鑑賞や、展覧会のテーマに合わせた作品作りなど美術館によってさまざま。

そこで今回は、『森美術館』と『21_21 DESIGN SIGHT』で実際に行われた子ども向けワークショップの模様をレポート! 都内でワークショップを開催している美術館もご紹介します。

大人にも新しい発見が! のびのび「親子でアート鑑賞」

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まず訪れたのは、六本木の『森美術館』。

『森美術館』では、0歳~6歳の子どもとその親、そして現在妊娠中のプレママを対象にした「おやこでアート ファミリーアワー」というプログラムを、展覧会ごとに開催しています。このプログラムは、開館前の美術館を貸し切り、参加者親子だけで鑑賞するというもの。

参加者はみな小さなお子さんがいらっしゃるので、子連れで美術館に行くと、声を出したり笑ったり、疲れて座り込んでしまう我が子が気になるという方も、気兼ねする必要がないのがうれしいですね!

ファミリーアワーへの参加は事前の申込みが必要です
何回も参加されている常連さんもいらっしゃるそう

1月21日に開催された「ファミリーアワー」にも、いろいろな月齢、年齢の子どもたちが参加していました。

今回鑑賞するのは、2018年4月1日まで開催中の「レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル」。Vol.3「夜景も楽しめる!“森美術館”で現代美術を体感」でもご紹介したこちらの展覧会は、子どもたちにも分かりやすい現代アートとして、注目されている展覧会でもあります。

今回のファミリーアワーでは、「子どもの視点に立って親子で対話しながら見ることを促すツアー」と、「プレママ・保護者が乳児連れでも安心して展覧会を楽しめるツアー」の2種類が用意されていました。

「対話をしながら見ることを促すツアー」のほうに同行してみると、みなさんとても楽しそう。

もちろん、ツアーに参加せず、自分たちのペースでじっくりと鑑賞するのもOK。子どもたちの興味や感心、動きに合わせて、参加するかどうかをその場で決められるのもいいですね。

レアンドロ・エルリッヒ ≪試着室≫内の合わせ鏡に見とれている子も
レアンドロ・エルリッヒ ≪グローバル・エクスプレス≫

『森美術館』のラーニング担当スタッフさんたちは、作品を前にして、まず「なにに見える?」「どう感じる?」と、子どもたちに質問していました。そしてその後に、作品の解説や背景の説明を行っていきます。

まず、自由に作品を感じてもらうことを大切にしているのです。このスタッフの方のツアーの進め方や子どもたちへの対応は、親子で出かけて作品を鑑賞するときに参考になりそうですね。

レアンドロ・エルリッヒ ≪雲(日本)≫2016年
高透過ガラス、セラミック・インク、木材、照明/199.5 × 205 × 81 cm
撮影:長谷川健太/写真提供:森美術館

レアンドロ・エルリッヒによる≪雲≫という作品は、雲のようなものが水槽のような展示ケースのなかに浮かんでいる作品です。

この雲をよく見てみると、それぞれが国の形をしています。そこから、いろいろ思いを馳せていく作品なのですが……。

レアンドロ・エルリッヒ『雲』

そう、多くの子どもたちは、日本はともかくフランスやドイツがどんな形をしている国なのかをまだ知りません。

だから、大人と子どもとでは思い浮かべることや感想が大きく異なってくるのです。その違いに大人のほうが驚いたり、大きく感心することも。

子どもと一緒に美術館に行くことで、大人もまた、新しい発見ができるのですね。

レアンドロ・エルリッヒ ≪建物≫ 2004/2017年
インクジェット出力シート、アルミニウム製トラス・フレーム、木材、照明、鏡面シート
600 × 900 × 550 cm
撮影:長谷川健太/写真提供:森美術館
Courtesy:Galleria Continua

レアンドロ・エルリッヒの≪建物≫という作品も大人気。

レアンドロ・エルリッヒ ≪建物≫を楽しむ参加者たち

寝転んでいる自分たちが、鏡に映ると窓から落ちそうになっていることに子どもたちは大喜び!

美術館が楽しいところであること、作品をじっくり見ているといろいろなものが見えてくることを、多くの親子が感じていたようです。

お子さんたちには、大きくなるにつれて、さまざまな美術館を楽しめるようになっていただきたいですね。

【施設情報】

森美術館

東京都港区六本木6‐10‐1 六本木ヒルズ森タワー 53階

開館時間:月・水~日 10:00〜22:00/火 10:00〜17:00
※入館は閉館30分前まで

休館日:展覧会会期中は無休

最寄り駅:
東京メトロ日比谷線「六本木駅」1C出口から徒歩0分(コンコースにて直結)

都営地下鉄大江戸線「六本木駅」3出口から徒歩4分

作家を講師に「作品をつくること」にも挑戦!

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『21_21 DESIGN SIGHT』内のイベント会場

『森美術館』のように、展覧会そのものを子どもたちが見るワークショップもあれば、展覧会に関連した創作を行うワークショップもあります。

訪問したのは、【ふらりと大人美術館】vol.4「六本木でアートめぐり!“21_21 DESIGN SIGHT”でひと味違う展覧会を」でご紹介した、デザインをテーマにした展示施設『21_21 DESIGN SIGHT』。「野生展:飼いならされない感覚と思考」(2017年10月20日〜2018年2月4日開催)の関連イベントとして行われた「田島征三と木の実のワークショップ」に伺ってみました。

田島征三さん

このワークショップは、「野生展」にも作品を出展していた田島征三さんを講師に迎え、木の実を使って自由に作品をつくるというもの。

田島さんは、絵本作家であり、木の実や枝などの自然素材を使った制作活動を行っています。

田島征三 ≪獣の遠吠え≫(Photo:Satoshi Asakawa)

≪獣の遠吠え≫ モクレンの実だけで、この躍動感!

ワークショップは、まず「野生展」の展示を見ることからスタート。

田島さんの作品≪獣の遠吠え≫は、未成熟のモクレンの実を膠(にかわ)で和紙に貼り付け、木の実が生きていたときの記憶を蘇らせた作品。

ワークショップで田島さんは、「素材と対話をしながら作品づくりを行いましょう」と、参加者に呼びかけていました。

参加者は小学生20名。まずは台紙を切り取り、それぞれ持参した紙の空箱に貼り付けます。

自由に台紙を紙に貼っていきます

そして、田島さんが集めてきた木の実から、好みのものを選んでいきます。

いろいろな木の実を選んでいきます

同じ種類の木の実だけを取っていく子、いろいろな種類の木の実を少しずつ集めていく子、この段階からすでに個性が出てきています。

そして、膠で箱に木の実を自由に貼り付けていきます。

膠を使って実演する田島さん
多くの子どもたちが膠をはじめて見たそう

木の実を立てて貼り付ける子、箱の中においていく子など、さまざま。似た箱がひとつも出てこないのがおもしろい!

できあがった箱は丁寧に持ち帰ります。はじめてのアート作品、なかなかサマになっていますね!

参加した子どもたちは、自由にものをつくることがとても楽しかったよう。その楽しさを、大人になったときにふと思い出してほしいな。

 

ちなみに、お子さんがつくった作品は、写真はもちろん動画でぐるっと全体を撮影しておくことをオススメします。お子さんの当時の姿だけでなく、作品も記録しておくと、数年後に見返したときに「あの頃こんなものをつくっていたんだ」と思い出すことでき、子どもの成長をグッと感じられますよ!

【施設情報】

21_21 DESIGN SIGHT

東京都港区赤坂9‐7‐6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン

開館時間:10:00~19:00(最終入館18:30)

休館日:火曜日、展示替え期間、年末年始

最寄り駅:
東京メトロ日比谷線、都営大江戸線「六本木駅」2番出口、東京メトロ千代田線「乃木坂駅」3番出口より徒歩5分

美術館のワークショップに参加してみよう

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上記でご紹介した以外にも、多くの美術館が、芸術をもっと身近に感じられるようなワークショップを企画しています。子ども向けだけでなく、大人向けのものも多いので、興味がある方はぜひ参加してみましょう!

東京都写真美術館

暗室で写真のプリントを体験したり、作りのアニメーションを制作するワークショップを開催しています。デジタル写真が主流となった現代に、アナログの世界を知ることができる機会は貴重です。

世田谷美術館

展覧会の内容ごとに、子どもから大人まで気軽に参加して簡単な工作が体験できる「100円ワークショップ」を開催しています。大人向けには、展覧会に関連した講演会や、講義や実技を交えた年間プログラム「美術大学」も。
また、3つある分館のひとつ『宮本三郎記念美術館』でも、夏休み期間中などに誰もが楽しめるイベントを行っています。

横浜美術館

未就学児から12歳までの幼児・児童を対象とした造形プログラムを行う「子どものアトリエ」、それ以上の年齢を対象とした「市民のアトリエ」で、さまざまな造形体験ができるワークショップが開催されています。

※ 画像の転載は一切禁止させていただきます

(※ 情報は2018年3月現在のものです)

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