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六本木でアートめぐり!「21_21 DESIGN SIGHT」でひと味違う展覧会を【ふらりと大人美術館】vol.4

「時間がある休日に、いろいろな美術館をめぐって1日を過ごしたい」……そんなときにオススメなのが、六本木散策。なぜなら個性的な美術館がいくつもあり、さらに素敵なカフェやレストランも充実しているから。なかでも、デザインをテーマにした『21_21 DESIGN SIGHT』は、物の見え方をちょっと変えることができる展示施設。

美術ライターの浦島茂世が、大人の女性にオススメの美術館を紹介する【ふらりと大人美術館】vol4は、『21_21 DESIGN SIGHT』をメインに六本木の美術館をご紹介します。

<上記写真:Photo: Masaya Yoshimura>

ミッドタウンにある、魅力的な企画を楽しめる展示施設

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みなさんは、“アートな街”と聞いて真っ先にどこを思い浮かべますか?

美術館、博物館が一堂に会する上野。歴史ある画廊が数多くある銀座。そして、新しいギャラリーが増えている馬喰町や清澄白河。
東京には“アートな街”がいくつもあり、それぞれに特徴があって歩いていて飽きることがありません。

そんな“アートな街”のひとつとして盛り上がっているのが六本木。

【ふらりと大人美術館】vol.3 夜景も楽しめる!“森美術館”で現代美術を体感」でもご紹介した六本木ヒルズにある『森美術館』をはじめ、『国立新美術館』、東京ミッドタウンにある『サントリー美術館』と美術館が密集しており、“美術館のはしご”ができる楽しい街です。

東京ミッドタウンの敷地内にある21_21 DESIGN SIGHT
Photo: Masaya Yoshimura

そして今回ご紹介する『21_21 DESIGN SIGHT』も、そのうちのひとつ。

東京ミッドタウン内にある『21_21 DESIGN SIGHT』は、デザインの視点からものごとを考え、さまざまな発信、提案を行う場として生まれた場所。

単なる展覧会に留まらず、ワークショップやトークイベントなど、複数の視点からデザインをとらえることを特徴としています。

コンクリートうちっぱなしの空間は、展示により雰囲気ががらりと変わる
Photo: Masaya Yoshimura

これまでにも、プロダクトデザイナーの倉俣史朗(くらまたしろう)や、あらゆるものを包み込む作品で知られる現代美術家のクリストとジャンヌ=クロードなど世界的なクリエイターを紹介する展覧会から、東北地方の手工芸やお米に土木、そして“単位”といった抽象的な概念まで、ものごとを独自の視点で捕えた展覧会を開催してきました。

施設のディレクターは、ファッションデザイナーの三宅一生、グラフィックデザイナーの佐藤卓、そしてプロダクトデザイナーの深澤直人といった、デザインの世界を牽引する第一人者たち。
彼らが培った経験、発想が核となった企画は非常に魅力的です。

03.野生への入り口
撮影:淺川 敏

また、展覧会によっては新たにゲストディレクターが就くことも。現在開催中の「野生展:飼いならされない感覚と思考」(2018年2月4日まで)は、思想家・文化人類学者の中沢新一がディレクションを務める展覧会です。

04.脳の中の森-南方熊楠の発見方法(青木美歌「あなたに続く森」)
撮影:淺川 敏

「野生展:飼いならされない感覚と思考」はその名の通り、理性が偏重される現代において、ものづくりや表現の歴史で重要な役割を担う“野生”がテーマ。

数々の逸話を持つ博物学者・生物学者・民俗学者として知られる南方熊楠(みなかたくまぐす)や現代のクリエイターたちの作品を通して“野生”を考えていく展覧会で、コーナーごとに趣きを変えたドラマティックな空間が広がっています。

08.野をひらく鍵
撮影:淺川 敏

そして、この空間を作り出しているのが『21_21 DESIGN SIGHT』のもうひとつの大切な要素である“建築”。

遠くからもひと目でわかる三角形の印象的な屋根は、54mもの長さをほこり、1 枚の鉄板になるようつくられたものです。

設計者は、世界的に知られている建築家・安藤忠雄。安藤は、三宅一生の服づくりのコンセプト「1枚の布」から着想を得て、この大屋根のある建物を設計しました。

Photo:Masaya Yoshimura

瀬戸内海に浮かぶ直島にある『地中美術館』や、地下鉄副都心線の「渋谷駅」など、数々の建築を手がけている安藤忠雄のトレードマークといえば“コンクリート打ちっぱなしの建物”。

『21_21 DESIGN SIGHT』もコンクリートで構成された空間です。

外側からのコンパクトな印象とは裏腹に、建物に入ってみるととても壮大なスペースが広がります。展示スペースはほとんどが地下にありますが、大きくとった広い窓からは明るい日差しが降りそそぎ、心地よい空間です。

Photo:Masaya Yoshimura

建物の周りにはたくさんの木々が植えられ、小川のせせらぎを間近に感じられるミッドタウンガーデンも。展覧会をしっかり鑑賞したあとに、余韻を楽しむにもぴったりですよ。

【施設情報】

21_21 DESIGN SIGHT

東京都港区赤坂9‐7‐6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン

開館時間:10:00~19:00(最終入館18:30)

休館日:火曜日、展示替機関、年末年始

最寄り駅:
東京メトロ日比谷線、都営大江戸線「六本木駅」2番出口より徒歩5分

六本木でぶらり、美術館めぐり

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昔からギャラリーが多くあり、美術館も増えた六本木。

電車に乗らずに“美術館めぐり”ができる、筆者オススメのアート施設をご紹介します。“美術館のはしご”をすることで、入場料金が割引になる施設もありますよ。

森美術館

【ふらりと大人美術館】vol.3 夜景も楽しめる!“森美術館”で現代美術を体感」でもご紹介した、六本木ヒルズの最上層にある主に現代美術を扱う美術館。火曜を除き、22時までオープンしているのもうれしいところ。

国立新美術館

黒川紀章が設計した、ガラスの波打つファザードが人気の美術館。草間彌生や安藤忠雄の展覧会など、話題の企画展を次々に開催中。

サントリー美術館

東京ミッドタウン内にある美術館。日本美術の名品のほかに、ガラスのコレクションが秀逸。カフェでは、江戸時代の初期に石川県 加賀地方で生まれた“加賀棒茶”をいただけます。

上記の3館は「六本木アート・トライアングル」という名称で連携を行い、六本木のアートシーンを盛り上げる活動を行っています。各館で開催中の展覧会チケットの半券を他の2館へ持っていくと観覧料が割引になる相互割引「あとろ割」を実施中です。

菊池寛実記念 智美術館(ともびじゅつかん)

伝統的な器から斬新なオブジェまで、幅広い作品が並ぶ現代陶芸を中心に扱う美術館。併設のレストランでは、美しいフランス料理を味わえます。

住友コレクション 泉屋博古館分館

泉ガーデン内にある、京都の泉屋博古館の分館。住友家15代当主である住友春翠(本名:住友友純)が収集したコレクションを核に展示を行っています。

『TOTOギャラリー・間(ま)』

住宅総合機器メーカーのTOTOが運営する、建築とデザインの専門ギャラリー。国内外の建築家やデザイナーの個展を開催しています。

FUJIFILM SQUARE

東京ミッドタウン内にある、富士フィルムが運営する写真ギャラリー。写真やカメラ好きなら、富士フィルムが作ってきた歴代カメラを展示するスペースも見ていて楽しめるはず。

(※ 情報は2018年1月現在のものです)

 

【参考】

六本木アート・トライアングルについて – サントリー美術館

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