『kufura』が最近実施した夏休みの宿題にまつわるアンケートでは、自由研究と読書感想文は、親子にとっての“ラスボス”的な宿題であることがわかりました。
そこで『kufura』では、今回から5回にわたり、親子で読書感想文を楽しく攻略しようというコンセプトを掲げ、「夏休みの読書感想文」についてお届けしていきます。ご協力頂いたのは、『kufura』のビジネス敬語の連載でもおなじみの国語講師、吉田裕子さん。読書感想文の講座を担当するなど、多くの生徒の作文の悩みに寄り添ってきた吉田さんに“読書感想文のイロハ”を教えて頂きます!
第1回目の今回は、本の選び方と、ジャンルごとの感想文の方向性について解説して頂きます。
子どもが「読みたい」「書きたい」と思える本を探してみよう!
null読書感想文の最初の一歩は、本選びからですよね。どんな本を選ぶかによって、感想文の方向性が変わってきます。対象のジャンルは大きく分けて以下の4つ。
(1)物語・・・小説、ノンフィクションなどストーリー性があるもの
(2)エッセイ・・・書き手の日常や思いがつづられた随筆
(3)伝記・・・歴史に名をのこした人の生前の事績をつづったもの
(4)科学読みもの・・・動物や昆虫の生態や、環境問題を扱った読みもの
子どもが「読みたい」「この本で感想文を書きたい」と感じる1冊と巡り合えるのがベストではありますが、注意したい点もあります。
読書感想文の「本の選び方」にまつわる注意事項は?
null前述したように、本の選び方の大前提は「
複数の課題図書の中から選ぶ場合であっても、できるだけ本人に選ばせますが、低学年のうちは、本人の読書体力に合った1冊を選べているかチェックしてあげるといいでしょう。
本が決定!「読書感想文の方向性」を決めていこう
null続いて、選んだ本のカテゴリに応じた読書感想文の方向性をあらかじめ把握しておきましょう。
「物語」で読書感想文を書くなら?
null物語で読書感想文を書くのであれば、以下のような方向性を意識するといいでしょう。
1:あらすじ
あらすじがダラダラと続いてしまう傾向がありますが、3分の1程度が限度。「読んでいない人にも本のだいたいの内容」がわかるようなまとめ方が理想。
2:着眼点の紹介
主人公の大きな転機になった部分、クライマックスのエピソード、登場人物の中で一番共感した人物などを詳しく書く。「特におもしろかったのは」「たくさんの登場人物の中で一番共感したのは」など。
3:自分の体験や価値観との比較
着眼点を受けて、「もし私が主人公だったら」と自分の立場に重ねてみたり、共通したような体験談などをしたりする。
4:まとめ
締めの言葉で読書感想文を終える。
物語の感想は、いろんな場面に拡散して箇条書きのような感想文になりやすいので、“着眼点を絞る”ことが大切です。
「エッセイ」で感想文を書くなら?
nullエッセイは、書き手が作家とは限らず、有名人、漫画家、スポーツ選手など、ジャンルが様々で、“書き手のパーソナリティ”が色濃く表れる作品です。以下のような方向性を意識するといいでしょう。
1:書き手とあらすじの紹介
書いた人がどんな人かを紹介したうえで、内容をまとめていく。物語と同じく全体の文字数に1/3程度までに抑えた方がよい。
2:印象に残ったところ
自分にとって印象に残った部分を紹介して、どうしてそこに着目したのか理由をあげる。作者と自分を比べて、自分と似ているところ、共感したところを織り交ぜていくとよい。字数が許せば2つ3つとエピソードを増やしていく。
3:まとめ
「伝記」で感想文を書くなら?
null伝記は、世に名を残した実在した人がテーマになっています。子どもが「すごい」と思ったエピソードの分析や、自分が影響を受けたところを掘り下げていくと良いでしょう。
1:あらすじ
本のあらすじをまとめていく。主人公がどのような人物なのか、どんな転機が訪れて、どんな功績を残したのかなども織り交ぜる。
2:印象に残ったところ
特に印象的なエピソードや、主人公がすごいところ、
3:まとめ
「科学読み物」で感想文を書くなら?
null感想文を書こうとすると難易度が高いのがストーリー性が薄い科学
単に内容や事実の紹介に終わらないように、本を読んで、
1:内容の紹介
どんな本なのか。内容を紹介する。
2:本から学んだこと、調べたこと、考えたこと
本に書いてあることを実践したり、さらに深く調べてわかったこと、もっと知りたくなったこと、なぜこのテーマを知りたかったのかなどを書く。
3:まとめ
今回は、本の選び方と構成案をご紹介しました。
好きなジャンルや好きな作家の本を読みこんで、子どもの共感力や想像力が広がるきっかけになるといいですね。次回は、本を読んで感想をどんどん自由に書く“構想メモ”の作り方についてお届けします。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。