『kufura』では、親子で読書感想文を楽しく攻略しようというコンセプトを掲げ、5回にわたり「親はどうサポートする?夏休みの読書感想文」をお届けしています。ご協力頂いたのは、読書感想文の講座を担当するなど、多くの生徒の作文の悩みに向き合っている、国語講師の吉田裕子さんです。
第3回目の今回は、上手なあらすじのまとめ方をうかがいました。
本のジャンル別!あらすじのまとめ方
null読書感想文を書くにあたって欠かせないのが読んだ本の内容を簡潔に紹介する、いわゆる“あらすじ”です。子どもが書いたあらすじを見ると、一つの場面を延々と掘り下げていたり、あらすじの分量が多かったりと、その子の個性が表れていますよね。
読んだ本のあらすじをまとめてわかりやすく伝えるのは、大人になってからもあらゆる場面で役立つスキルです。読書感想文を通じて“まとめる力”を養っていきたいものです。
理想的なあらすじのボリュームの目安は、全体の3分の1以下。それでは、本のカテゴリ別のあらすじの書き方をご紹介します。
【INDEX】
・「物語」のあらすじのポイント
・「エッセイ」のあらすじのポイント
・「伝記」のあらすじのポイント
・「科学読み物」のあらすじのポイント
「物語」のあらすじのポイント
nullまず最初にご紹介するのは、小説やノンフィクションなど、“物語”のあらすじについて。物語は基本的に“起承転結”の流れで構成されています。
【起】…物語の舞台設定、登場人物
【承】…事件や転機が起きるまでの紹介
【転】…物語の山場。急展開からクライマックスへ
【結】…結末
例えば、昔話の『桃太郎』を例にあげてみましょう。
【起】桃太郎は、桃から生まれた男の子です。おじいさんとおばあさんと暮らしていました。
【承】悪さをする鬼を退治する旅に出かけることにし、犬・さる・
【転】桃太郎は鬼ヶ島に乗り込み、鬼退治に成功しました。
【結】鬼の宝をおじいさん達のもとに持ち帰りました。
これが“起承転結”です。子どもの作文でよくあるのが、“起”
もうひとつ、よく見かける失敗が、「
「エッセイ」のあらすじのポイント
nullエッセイは、本を執筆した作者のカラーが強く出ている文章です。1章1章が独立した構成になっている本が多いので、「作者はどんな人なのか」というところを盛り込んでいくといいでしょう。
・作者はどんな人なのか
・どんな本の内容か
・文体や切り口、本の特徴など
こうした内容を受けて、自分が共感したところ、
「伝記」のあらすじのポイント
null伝記は、1冊を通じてある人物の人生が描かれたもの。物語のような“起承転結”のある構成の本も多いですよね。あらすじを書くときには、人物紹介や事績をまじえて書いていきます。
・主人公はどんな人物か
・「転機」が起こる前の話(子ども時代や若い頃どうだったか、
・どんな実績を残したのか
これらの項目を時系列に沿って書いていくと読み手にもわかりやすいでしょう。特に力を入れたいポイントは、その人の人生が変わった瞬間です。科学者であれば、大きな発見のきっかけ、歴史を動かした人物であればその人の人生のターニングポイント、スポーツ選手であれば才能が開いた瞬間などを見つけてみましょう。
「科学読み物」のあらすじのポイント
null科学読み物は、科学的な内容が、子どもにもわかるようにわかりやすく書かれています。例えば、絶滅した生き物の謎や、宇宙の不思議、昆虫の生態など、それぞれのジャンルにおける最新の研究結果なども紹介されています。
・どんな人がどんなコンセプトで書いているのか
・写真、イラスト、構成の特徴などを紹介
お子さんの中には、好きなジャンルの本を多く読み込んで、とても豊かな知識を持っている子もいると思いますが、「その本を読んだことがない人がわかるように」というポイントを伝えます。
以上、今回は、あらすじのまとめ方についてお届けしました。
適度なボリュームのあらすじを作るのは、大人にとっても難しいものです。必要な情報を選び、読み手を意識したあらすじ作りができるようになったら、読書感想文だけでなくいろんな場面で応用できるのではないでしょうか。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。