『kufura』では、国語講師として読書感想文の講座を担当するなど、多くの生徒の作文の悩みに向き合っている吉田裕子さんにご協力頂き、5回にわたって「どうサポートする? 夏休みの読書感想文」をお届けしています。
前回に続き2回目となる今回は、感想文の材料となる“構想メモ”の作り方。「これだけ材料があれば書けるかも!」と子どもの自信がわいてくる構想メモとは?
いきなり清書は大人でも無理!書く前に「構想メモ」を作ってみよう
null「子どもの鉛筆がサラサラ進む!“読書感想文”の最初の一歩、本の選び方【親はどうサポートする?夏休みの読書感想文vol.1】」では本の選び方について解説しましたが、無事に本を選んで熟読したら、読書感想文に取りかかっていきましょう。
……とその前に、もうワンステップ! 下書きをせずにいきなり真っ白な原稿用紙に向かってまとまりのある文章を書きあげるのは、大人でも難しいことです。
書くことに慣れている子は、自由に書きながら発想が広がって、思わぬ創作活動につながったりすることもあるのでしょうが、読書感想文は文字数が限られた作文です。内容を考えることと原稿用紙に書くプロセスは分けておいた方がスムーズに進むでしょう。
文章の材料を集めるためには、“構想メモ”を作っていきます。選んだ作品の面白いところや、感じたこと、主人公の印象など、箇条書きでいいからどんどん列挙していくのです。
「構想メモ」の内容は親の質問で引き出してもOK!
null“構想メモ”を作るにあたり、以下のような質問を書いた紙を渡して、子どもの感想を引き出してあげるといいでしょう。
【質問例】
・あらすじを詳しく教えて。
・どこが特におもしろかった?
・主人公はどんな性格だった?
・どの登場人物が好きだった?
・おもしろかった場面とその理由を教えて。
・文章の書き方がかっこいいと思ったのはどこ?
・不思議に思ったのはどこ?
・主人公と自分の共通点は?
・この本を誰にすすめたいと思う? その理由は?
作った質問への答えを子どもが書き出していきます。書き終えたら、答えのどの部分を使って感想文を書くのか、選んでいきます。
ひょっとしたら、低学年の子は、自由な構想メモでさえもどんなことを書いたらいのかわからず、「おもしろかった」「すごかった」という感想ばかりになってしまうことがあるかもしれません。そうしたら、お父さん・お母さんがインタビュアーになって、子どもの答えを引き出して、一緒に“構想メモ作り”をしてみましょう。
どの話を掘り下げる?取り上げるテーマの見極め方とは…
null構想メモの質問がある程度埋まってきたら、質問をもう少し掘り下げていきます。
例えば「主人公が勇気があると思った」というメモを子どもが書いたら、「どうして?」「どこが?」「どんなふうに?」という質問で、短い回答を具体化していきます。
また、「どこがおもしろかった?」と聞いたとき、本を読んだことがある人にしかわからない断片的な情報を答えることもあるでしょう。その場合は「この本を読んでないお友達や先生が読んでもわかるように、詳しく」と質問して、話をふくらませていきます。
こうして「構想メモ」の質問の内容をふくらませていくと、感想文のネタが少しずつできあがっていきます。話がふくらんだところを文章にして、感想文に取り入れていきましょう。
今回は、構想メモの作り方をご紹介しました。
どんどん言葉が出てくる子もいるでしょうし、感想を言葉にするのが苦手な子もいると思います。構想メモの段階では「それは違うよ」と大人目線で否定せず、とにかく子どもの声をたくさん引き出してあげて欲しいと思います。
【取材協力・監修】
吉田裕子
国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。