1:子どもに向けられた眼差しに関すること
nullまず、子育てを通じて出会う人たちについての回答です。
「バスなどで席を譲ってくれなかったりした体験などを読んだことがあるが、子どもを連れていると譲ってくれる人が多かった」(41歳・主婦)
「社会が子どもに冷たい、ベビーカーを蹴られるなどの嫌がらせをされるなどの冷遇情報をよく見るが、実際そんな状況になったこともないし、若い人から高齢の方まで何人も助けてくださる人に出会う」(39歳・公務員)
「保育園のネガティブなニュースを目にするが、実際の保育園はそんなことはない。親身に子どものお世話をしてくれた」(44歳・その他)
インターネットでは、子連れの電車・バス乗車、ベビーカーの取り扱いについて、ネガティブな情報を目にする機会が多い、と感じている方もいると思います。なかには理不尽な思いを飲み込んだ方もいると思いますが、今回のアンケートでは、日常的に温かい眼差しやサポートと巡りあえている、という声が寄せられました。
2:育児の負担感に関すること【思いのほか育てやすい】
null続いて、育児の負担感に関する回答です。「ネットで収集していた情報よりも、育児は大変ではない」「思いのほか育児が大変」という真逆の声がありました。まず前者の声をご紹介します。
「子どもと1日家にいるのは辛いというのを見たが、仕事よりラクです」(30歳・金融関係)
「実家に頼れない育児が大変と聞いていたが、子育て広場のような場所が多く、相談もでき助かった」(46歳・主婦)
「子どもが寝ないとか夜泣きとか、そういった大変そうな育児漫画を目にしていたけど、自分の子どもは育てやすかった」(33歳・主婦)
「ワンオペ育児の辛さをネットニュースで読んだ。私もワンオペ育児の時間が長いが辛さは全く感じず、意外とテレビを見たりスマホを見たりする時間もある。家事も育児の合間にちょこちょここなせば特に問題ない。寝顔や笑った顔を見れば愛おしさがましてつらいと感じない」(34歳・営業・販売)
回答者は、収集した情報にもとづいて形成した“イメージ”よりも“現実”のほうが負担が軽かった、と感じていました。その理由として、よく寝てくれる、相談相手がいる、自分の時間を取ることができる、といった声がありました。
3:育児の負担感に関すること【思いのほか、大変】
null一方、ネット情報よりも「大変だった」という、先の回答とは真逆の声もありました。
「育児の大変さは覚悟しつつも、インターネットではスキマ時間を使って趣味の活動を続ける人がいたのでそういう時間もたまにあるのかと期待していた。しかし、ふたを開けてみると自分の子は手がかかるタイプだったようで自由時間のねん出がかなり難しく疲弊した」(43歳・主婦)
「メディアではキラキラしているママをよく見るが、現実の子育てはそんなに甘くないと思った」(35歳・主婦)
「新生児は母乳やミルクを飲んだらすぐ寝ると思ってたが実際は飲んでも全然寝てくれなくて困った」(32歳・主婦)
赤ちゃんが思いのほか寝ない、自分の時間が持てないというできごとの積み重ねが“大変”という実感につながっていくようです。
4:子どもの成長に関すること
null子どもの心身の成長に関する回答です。
「子どもの成長について“〇カ月で△△△ができるようになる”などと書いてあるが、個人差が大きくあまり気にしないほうがよいということがわかった」(32歳・主婦)
「下に妹や弟が生まれると赤ちゃん返りをするという情報を見たが、よくかわいがってくれていた」(37歳・その他)
「反抗期・思春期には“クソババア!”と言われたりするとあったが、多少の反発だけで暴言はなかった」(41歳・主婦)
例えばインターネットで“赤ちゃん返り”“反抗期”と検索すると、膨大な苦労エピソードがヒットします。ある程度覚悟して臨んだものの、思いのほか穏やかに過ごせたというケースが寄せられました。個人差が大きい領域では、“そのとき”を迎えて初めて見えてくることもあるようです。
5:ママ友に関すること
null母親同士のつきあいである、“ママ友関係”に関する回答です。
「ネットニュースでママ友づきあいのトラブルの記事をたくさん見たが、実際にはそんなトラブルはなかった。ママ友は心強い味方になってくれる存在だと思った」(34歳・主婦)
「ママ友関係。 ボスママがいて、その取り巻きがいて、というママ友集団に出会ったことがない」(41歳・主婦)
「ママ友トラブルの情報を目にするが、実際は全くなかったし、みなさん友好的だった」(37歳・主婦)
今回のアンケートでは“ママ友”という関係性に身構えていたけれど、実際はそれほど怖くなかった、という回答が集まりました。事前の情報収集で不安感が高まっていた人が多かったことがうかがえます。子どもを介した関係、という特殊性はあるにせよ「合う人も合わない人もいる」「必要かどうかは自分次第」という点は、他のコミュニティとさほど変わりがないのかもしれません。
6:夫婦関係・嫁姑関係に関すること
null育児・家事に非協力な夫、理解のない義実家などもネット上では引きの強い“物語”として好まれますが、こんな声がありました。
「イクメンという言葉があっても、ほとんどの夫はたまにやっているだけかと思っていた。しかし、自分の旦那は本当に家事や育児を一緒にやってくれて、むしろ私よりも娘と仲がいい」(40歳・主婦)
「嫁姑問題のネットニュースを見て、どこにどんな地雷がひそんでいるか怖かったが、夫も義実家もいい人。義母のおかげで月1回、夫婦で映画や食事に行く時間を持つことができて本当に感謝している」(41歳・その他)
夫はいろいろ、義実家もいろいろ。現在、家族に対して抱えているちょっとした不満や不安をネット情報で増幅させないような心構えも必要かもしれません。
7:育児の「つらさ」と「幸せ」に関すること
null最後にこんな声をご紹介します。
「子育てはもっと暗くて孤独なイメージでしたが、幸せという感情が大きいです」(35歳・主婦)
「辛いことも多いが子どもの寝顔を見ると明日もがんばろうと思える」(39歳・総務・人事・事務)
「発達障害児は就学後から苦労が多いと聞いていたが、実際には特に変わった苦労はなかった。たくさん笑って、失敗して、新たな発見をして、瑞々しく成長している」(42歳・主婦)
「育児はつらいというニュースをみるけど、実際は成長が見られるだけでうれしいし、大変だけどその分幸せをもらえると思います」(27歳・主婦)
ともすると“つらい”“大変”“苦労”というダークなイメージを伴う育児。実際には“幸せ”と“大変”の複雑なグラデーションがあり、折に触れてその時々の楽しい瞬間を見出している人も多いのではないでしょうか。
以上、母親が実際の子育てを通じて、インターネットの子育て情報と違うと感じたポイントについてお届けしました。
筆者は、インターネットの記事を数多く執筆してきましたが、育児情報で引きがつよい5つの要素があります。それは「ドロドロ」「イライラ」「キラキラ」「モヤモヤ」「ウルウル」です。こうした要素が記事のどこかにあると読者の関心を引きやすくなりますが、喜怒哀楽を強く揺さぶる内容は“いつもの日常”と異なっていることもあります。
そして、本稿もまた“モヤモヤ”を含んだ記事の1つだと思います。もしかしたら、今回紹介した個々のエピソードは、皆さんが接している“現実”とも少しずつ異なっているのではないでしょうか。
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