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「子育てって大変そう…」と言われるモヤモヤ。エッセイ本「ママはキミと一緒にオトナになる」を読んで考えた「それだけじゃない」子育てのこと

北海道在住で夫と娘の3人暮らし。元看護師で、今はコミュニティー運営の仕事をしている宇佐美鮎美さんが、kufuraの人気連載をまとめた本『ママはキミと一緒にオトナになる』を読んで感じた「そうそう、子育てで共有したいのってそういうことだった!」を、書いてくれました。

大変…だけど、それだけじゃないんだよ

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昨年、家族旅行で訪れたホテルの夕食会場。近くの席で食事をしていたカップルの言葉でした。まだ20代前半くらいだったと思います。

「子どもってかわいいね! でも、なんだか大変そうだね……」

その言葉に、ハッとして複雑な気持ちになったのを今でも覚えています。「かわいい」は嬉しい。けれども、「大変そう」と思われてしまった……。

夕食はビュッフェ。夫は歩き回る子どもを追いかけ、私は急いで食事を取りに行く。さらに同じ状況の家族が他に2組も! どの家族も食事を楽しんでいたと思うんです。ただ、確かに慌ただしく見えたであろう小さな子連れの食事の現場。

カップルが感じた「子育て」の現実だったのかなと思いました。

「大変だけど、それだけじゃないんだよ……。嬉しいこともたくさんある」

言いたかった言葉をグッと飲み込んで、心の中で呟きました。

私は、この春幼稚園に入園した3歳の娘の育児をしながら、仕事をしているアラフォーのワーママです。

先日、佐藤友美さんの著書『ママはキミと一緒にオトナになる』を読みました。

「kufura」で3年にわたって連載していた、佐藤友美さん(以下さとゆみさん)の子育てエッセイを書籍化したものです。

「大変も幸せも、両方あって、おおむね幸せ。 話すほどでもない幸せは、ちゃんとある。」 (『ママはキミと一緒にオトナになる』より)

『ママはキミと一緒にオトナになる』佐藤友美/著(小学館・1,650円 税込)

「そうなんです。それが言いたかったんです!」 とすごく共感しました。

子育ては大変じゃない、とは決して言わないけれど、それだけじゃない嬉しいことがある。子どもがいるから経験できることがある。

ネットで見かけるママの投稿はみんなキラキラして見えて…

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2021年の秋頃、連載中だった『ママはキミと一緒にオトナになる』に出会いました。初めて読んだのは「しまった。そういうことを言いたかったんじゃない……」というタイトルの記事。

夕飯をめぐっての攻防戦。お互いヒートアップし、息子さんは家を飛び出してしまったのです。赤裸々に書かれたこの出来事に、グッと引き寄せられました。

妊娠中から今に至るまで、困ったことがあると、すぐにインターネットで検索していました。なんでも調べられて便利な一方で、SNSで見かけるママの投稿はキラキラして見える。

入ってくる情報は子育てのほんの一部であって、キラキラしているママも見えていない部分は大変なんだってわかってはいるんだけど。それでも、私もキラキラしたママのようなら子どもも嬉しいのかな……。そんな風に比べてみることも。

つい子どもを叱ってしまったり、感情的になる自分を責めてしまうこともあります。世の中のお母さんは、きっと優しく伝えているのかな……と思うこともあります。

上手くコミュニケーションが取れていないことも、良い関係の時も、じっくり伝えたい時に向き合う姿も、さとゆみさんのこのエッセイには赤裸々に書かれています。

「みんな感情的になることもあるよね」と、ホッとした気持ちになりました。また読みたいな、次も楽しみだなと、毎回思っていました。

子育ての先輩であるさとゆみさんの話を読んでいると、この先こんな場面があるんだとちょっと未来が見えて、その心づもりができるような気がしています。そこも、私が共感するポイントなのかもしれません。

「大変だけど…、楽しいですよ! 」これから子育てに関わる方へ伝えたい

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だから私も、おせっかいだと思いながらも、妊娠した友人たちに話したくなる。妊娠をのぞみながらも、不安を抱えている彼女たちに伝えたくなる。 「子どもが生まれると、できないことが増えると思うかもしれないけれど、実はできるようになることもすごく多いんだよ」と。(『ママはキミと一緒にオトナになる』より)

「家のことも育児も仕事も……大変でしょう? 」と、いろんな人に聞かれます。家でずっと子どもと過ごすことも大変に思われるし、保育園に預けて働いていても大変に思われる。

世の中の「お母さんは大変」というイメージって根強いな、と書いていて改めて思いました。

子どもに向き合いたい気持ちと同じくらい、自分がやりたいことに打ち込みたい時もあります。でも、こんなことがあったんです。

私はリモートで仕事をしているので、自宅で仕事をする場面を、娘はすぐ側で見ています。すると、「お姉ちゃんになったらー、ママみたいにできる? 」とオモチャのパソコンで遊びながら、話しかけてきたんです。

「遊べなくてごめんね……」と思う場面もたくさんあったけど、私の姿を見てくれているんだ、大きくなったら私みたいになりたいんだ! と知って、胸が熱くなりました。

母になってもうすぐ4年。私も子どもと一緒に成長していくんだなと思っています。そして、子どもがいるから経験し、成長できることがたくさんあるのかなと楽しみです。

この本をどんな人に届けたいかな? と考えた時に、初めに浮かんだのは、今一緒に子育てを頑張っている友人でした。

子育てしていると、色々あって苦しいこともあるけど、嬉しいことや気持ちが温かくなる場面がたくさんあるよね、と、一緒に話し共感したいと思ったのです。

でも、本当に届けたい相手は、これから子育てに関わる人だと思います。ホテルの食事会場にいたカップルや、これから子育てをしたいと思っている人。大変なこともあるけれど幸せなことも多くて、話すほどではない幸せがちゃんと、それもたくさんあることを伝えたいと思いました。

仕事の面では、子どもの急な体調不良などで迷惑をかけてしまう場面もあります。今、仕事の仲間に助けられている私は、次は助ける側に回りたいと思っています。

そして、いつか仲間の誰かが子どもを持つことがあったら、大変も幸せも両方ある、話すほどではない子育ての話を一緒にするのが楽しみです。

文/宇佐見鮎美(ラブソル)


 

『ママはキミと一緒にオトナになる』佐藤友美・著(1,650円税込・小学館)

kufuraでの3年間の連載が書籍になりました!
息子(連載スタート時には9歳)と二人暮らしのシングルマザーが、彼との会話や子育てを通して見えてきた世の中のこと、家族のことを綴った3年間の記録。

実際に子どもが生まれてわかったのは、
「たしかにできなくなったこともあるけれど、
それ以上にできるようになったことの方がずいぶん多い」
ということだった。これは、私にとって、驚きの誤算だった。
(本文より)

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