子育て世代の「暮らしのくふう」を支えるWEBメディア

私の生理って正常?正しい「生理周期」ってどのくらい?【産婦人科医・高尾美穂が教える、今どき生理の基本#2】

私たちが、自分の知識で大丈夫?と不安に思っている「生理の基本」や、医学的に正しい、新しい情報を身につけよう!というこの連載。第2回目は、生理周期のお話。

産婦人科医である高尾美穂先生に、“正常な生理周期”とは何日なのか、その周期から外れてしまうと、どんな問題が潜んでいるのかを、教えていただきました。

 「正常な周期」は意外と幅広い?

null

生理周期というと、よく聞くのは28日ですね。その日数と自分の周期を比べて、短かったり、長かったりすると、何か問題があるのかと不安になったことはありませんか?

今回は、高尾先生に“正常な周期”って何日なのか、その周期から外れてしまうと、どんな問題が潜んでいるのかを聞きました。

「まず生理の周期は、初潮を迎えてすぐに安定するというわけでもありません。生理という変化にからだが慣れていくまでに、時間がかかることもあります。なのでここでは、すでに安定した周期の女性の場合という前提で、お話ししますね。

生理が安定してきた女性の正常な周期は、25〜38日というのが私たちの判断基準です」(高尾先生。以下同)

1週間くらいの差があっても正常範囲内ということ。えっ、そんなにアバウトなの?と意外に思いませんでしたか?

「生理の周期は、短い、長いとそれほど気にしなくても大丈夫なものなんです。生理周期を他人と比べることもあるかもしれませんが、人それぞれ。この25〜38日内に収まっていれば、基本的には大丈夫です」

「生理がくる」仕組みを、改めておさらい

null

ここで、生理の仕組みを、改めておさらいしておきましょう。

「生理がくる仕組みですが、基本的に女性のからだは1カ月に1回、卵巣から卵子を排出しています。

それに合わせて子宮内膜を厚くして、受け入れ態勢を整え、受精卵を待つ仕組みになっています。

ところが、卵子が受精しなかった場合(多くの場合はこちらになりますね)、この準備された子宮内膜はいらなくなるので、はがれて体外に排出される=出血となります」

この子宮内膜がはがれて、体外に出るときの出血が、“いわゆる生理”というわけです。

生理に関係する、2つの「女性ホルモン」

null

私たちに生理が起こるために、必要不可欠なのが、女性ホルモン。

「まず、生理には2つの女性ホルモンが大きく関わっています。

そのうちの1つであるエストロゲンの分泌がピークを迎えると、排卵が起こります。 ここがいわゆる妊娠のチャンス。

この排卵のときに妊娠しなかった場合でも、妊娠しているかもしれない状態を継続させるために、プロゲステロンという、もう1つの女性ホルモンが分泌されます。

ただし、この“継続させる期間”は14日間と決まっているんです。

そのため、周期に25〜38日とバラつきがあっても、排卵した後はみんな同じく、14日間で生理がやってきます。

たとえば、28日周期の場合。排卵までが14日、次の生理までも14日です。30日周期の場合は、排卵までが16日、次の生理までが14日ということですね」

そうなんですね! 女性のからだの仕組み、改めてその精密さと繊細さを感じます。

生理周期が「乱れる要因」って?

null

では、この周期。どうやって決まっているのでしょう?

「生理周期は、脳の視床下部という場所がコントロールをしています。

視床下部からの指令で卵胞刺激ホルモンがまず分泌されて、生理というサイクルがスタートします。 ただ、この視床下部は、他にもからだの様々な調節を受け持っている部門。強いストレスを受けたりと、何か大きな出来事があると、その影響を受けて生理周期が乱れたりすることがあるんです。

ですから、その期間の“大きな出来事”に心当たりがあれば大丈夫。いつものサイクルに自然と戻るので、それほど気にする必要はありません。

一方で、心当たりがない場合は、気付かぬうちにストレスが蓄積している可能性があります。自らの生活や仕事、人間関係などを振り返る機会にしてみてくださいね」

受診のデッドラインは「3カ月」生理がこないこと!

null

それぞれ個人差があっても大丈夫、という生理周期。では、どのくらい生理の間隔が空いたら、“受診が必要”と思った方がいい?

「生理サイクルが正常な範囲よりも短かったり、長かったりすると、病気が潜んでいることがあります。短い場合は“過短(かたん)月経”といい、基礎体温を確認しないと定かではありませんが、無排卵月経の可能性が高いといえます。

逆に、長い場合は“稀発(きはつ)月経”といい、排卵がたまにしか起こっていない可能性が高いと考えられます。

ですが、急いで治療が必要ということはなく、経過観察になることがほとんどです。目安としては、2カ月に1度は生理がある、という状態であれば、特に問題はないと考えます。絶対に産婦人科を受診してほしいのは、3カ月以上、生理の間隔が空いたとき。そこがデッドラインと考えています

デッドラインは3カ月! これはぜひ覚えておきたい目安です。忙しい毎日が続くと、90日なんてあっという間。わずらわしくなくてラッキー、なんて思っている間に、状況が悪化してしまう場合も……。

1年に1度の「婦人科健診」を、ぜひ!

null

ただ、この目安は、ある一定の条件があってこそ、と高尾先生。

この“2カ月に1度生理があれば問題ない”という目安は、毎年の婦人科健診を受けている、というのが大前提です。

出産後、子育てに忙しく、なかなか自分の健診にまで時間を回せていないというkufura世代のママ、多いのではないでしょうか?

でも、病気を発見したときには手遅れ、とならないためにも、婦人科健診は1年に1度受けておくと安心して過ごせます。時間を作ってぜひ婦人科を訪れてください」

今年、婦人科健診に行きましたか? 行く予定はありますか?
自分のためにも、家族のためにも、ぜひ時間を作ってくださいね。

そして実は、“健診”と“検診”は違うということも教えてくださった高尾先生。その違いについては、また改めて詳しく説明しますね。

次回は「正常な生理日数って何日なの?」をお届けします。

 

イラスト/ Naho Ogawa


 

産婦人科医 高尾美穂

産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。

pin はてなブックマーク facebook Twitter LINE
大特集・連載
大特集・連載