私の生理の情報は、古すぎる!?
null最近、巷で耳にする“フェムテック”という言葉。耳にされたことはありますか?
“フェムテック”とは、女性特有の悩みを解決したり、女性の健康や美容にまつわるテクノロジーなどの総称です。
この“フェムテック”の盛り上がりによって、生理用吸水ショーツなどの新しいアイテムの登場も注目され、今、生理に対しても、人と話したり、悩みを打ち明けたりというように、世間が少しずつオープンな雰囲気になってきているのを感じます。
では、私たちは、女性であれば数十年というおつき合いになる生理について、どのくらいきちんと知っているでしょうか?
今回、お話しくださった高尾美穂先生は、
「今のkufuraの読者さんたち、30〜40代の女性の親の世代は、自分たちのお母さんから、生理の期間をどうやって過ごすのか、生理痛があるときはどう対処するのか、などを聞いてきたと思うんですね。
ですが、その世代の方々も生理の仕組みについて学ぶ機会は、ほぼなかったですし、ましてや生理のことを人に話すような時代でもなかったわけです。知っている情報が、本当に正しいのかという判断をすることすら難しかった時代なのです」(高尾先生、以下同)
とおっしゃいます。
私たちが知らない情報を、子どもたちは検索で得る時代
nullでは、私たちが子どものときに、きちんと生理について習ったかというと、そうでもありませんよね。
「残念ながら、今のkufuraの読者世代の方々も、生理について学ぶ機会はほとんどなく、昔とそう変わらない状況で過ごしてきているはずです。
ですが、今の子どもたちはネットで検索するということが当たり前の時代に生きています。ネットで情報を拾ってくる、それをお母さんに問いかける、でもお母さん世代はその情報を知らない、という事態が、実際には起こり得るわけです」
きちんと知ることで、不安は消える
nullそもそも、自分が持っている生理に関する知識が合っているのかすら確認のしようもなかった、私たちのお母さん世代。そして私たちも、生理に関して、きちんとした知識がある人は実は少ない、というのが現状です。
医療が進んだ今の、最新の治療法などの情報は、私たちに入ってきていないこともしばしば。
「たとえば、生理痛の医療的な対処法としては、以前は鎮痛剤を飲むことしかなかったわけです。でも今は、低用量ピルを飲むという選択肢もあります。ところが、お母さんたち世代は低用量ピルという選択肢がなかったがために、お子さんにどうアドバイスをしていいのか、迷われてしまいます」
でも、知らないからといって、せっかく増えた安全性の高い選択肢をないものとしてしまうのは、あまりにももったいない話。子どもにとっても、まだまだ生理のある親世代にとっても、生理痛に悩んでいる人にとっては、不幸となってしまうことも……。
「人間、知らないものは不安ですから、どうしても否定してしまいがちです。でも、きちんとした情報を知ることで、不安は解消されていくことがほとんど。ですから、この機会にお子さんとふたりで一緒に生理の知識をアップデートしていけるといいですよね。この先、生理のある人生は、お母さんも続いていくわけですから」
女性の一生。生理がある期間は、なんと2280日にも!
nullたかが生理と思う人もいるかもしれません。けれど、されど生理でもあります。
初潮を迎える平均年齢を12歳とすると、閉経がおおよそ50歳。ということは、一生のうち、38年間ほど続きます。
毎月5日間の生理があったとして、5日間×12か月=年間60日。これを38年分に換算すると、60日×38年間=2280日。女性の人生の中で、生理のある期間は、じつに2280日=約6年にもあたるのです。
この6年もの間を少しでも快適に過ごすのか、グッと耐えて我慢してしのぐのかでは、人生の質、生活のQOLも大きく変わってきてしまいます。
長い付き合いになる生理だからこそ、一度きちんと向き合って自分の生理の知識を最新のものにアップデート、よりよい生理ライフが送れるようにと願わずにはいられません。
次回は「正常な生理ってどうやって判断するの?」をお届けします。
イラスト/ Naho Ogawa
産婦人科医 高尾美穂
産婦人科専門医であり、婦人科スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック『イーク表参道』副院長。Gyne Yoga主宰。
「すべての女性によりよい未来を」と、TVや雑誌をはじめ、ツイッター(@mippolin78)やstand.fmなどのご自身のメディアにて、正しい知識や知っておくといいことなど、精力的に発信されている。