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イライラしない会議の立役者!「雑務」「オブザーバー」の仕事と心得【踊らず進む!会議のお作法】vol.6

すべての会議において、参加者それぞれが手を抜かずに“自分の役割を全うする”ことは、会議の目的を達成するための大切なベースとなります。【踊らず進む!会議のお作法】vol.3~5でご紹介した司会・発表者・書記だけではなく、雑務やオブザーバーなど一見目立たない役目であってもそれは同じこと。

今回は、会議で“雑務やオブザーバーとして参加するときの心得”について、チームビルディング・コンサルタントの尾方僚さんにお話をうかがいました。

「雑務」係がやったほうがいいことは?

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突然ですが、質問です。

Q.あなたが会議の雑務係を任されたとときに、“できればやったほうがいいこと”は以下のうちどれでしょうか?

a.資料を人数分用意する前に作成者に見本を見せる

b.会議室の部屋を暗くする

c.会議が始まったら部屋にカギをかける

気になる答えは……

A. ズバリ、「a.資料を人数分用意する前に作成者に見本を見せる」です。

答えの理由を順を追ってご説明していきましょう。まずは、会議の雑務の仕事内容から。

スムーズな進行を心がける「雑務」の主な仕事

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雑務は、主催者(司会者を兼ねることが多い)や発表者が役割をスムーズに果たせるように、場合によってはそれぞれの指示を仰ぎながら会議の準備やサポートなどを行います。

まずは具体的に主な仕事内容をいくつか並べてみましょう。

・会議室の予約など、場所の確保

・配布資料がある場合は、人数分の資料準備

・PCを大画面に映す場合は、コードなど備品の用意と接続確認

・プロジェクターを使う場合は、機器の接続および投影確認

・参加者の席順が決まっている場合は、席への誘導

・長い会議になる場合は、必要に応じて飲み物の準備

・終了時に忘れ物がないかの確認

会議の種類や内容によって違いますが、いずれも会議をスムーズに行うために必要なセッティングや事前準備などです。

縁の下の力持ち!「雑務」係の心得とは?

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会議に出席したとき、資料に“ヌケ”を見つけてしまった、プロジェクターの接続がなかなかできずに何分も待ち時間があったなどという場面に遭遇し、イライラしたことはありませんか?

そんな心理的・物理的なロスを防ぐべくサポートをするのが、雑務の仕事です。

「たかがコピー」「たかが機材接続」などと思わずに、責任感を持ってのぞむことが大切です。では、“会議で雑務係をするときに気をつけたいこと”をご紹介しましょう。

(1)ミスを防ぐために…細かく確認をする

ミスを防ぐコツは、その仕事をお願いされた人に細かく確認をすること。

例えば人数分の資料を用意する際には、まずコピーとホチキス止めなどをした見本を1部作り、資料の作成者に確認してもらうといいでしょう。

PCやプロジェクターなど機器の接続についても同様です。セッティングをしたら、必ず司会者や発表者に各自のPCで接続ができるか、資料がきちんとプロジェクターに映るかなどの確認してもらいましょう。

参加者に席を案内する場合も、6人以上の中人数~大人数の会議になると手こずってしまう危険性があるので、前もって司会者に席順を確認しておきましょう。

(2)会議室を明るくして雰囲気をつくる

参加人数に応じた会議室の事前予約もよくお願いされる仕事ですが、予約に加えて当日にも気を配りたいことがあります。

それは、カーテンを開けたり、照明を調整するなどして、とにかく会議室全体を明るくすること。

一見、内容とは無関係なことのようですが、じつは“ノンバーバル(非言語コミュニケーション)”的な観点から、“実のある会議”へと導くために大事な要素なのです。

会議の会場が暗いと参加者の気持ちも沈みやすくなり、活発な意見交換ができにくい環境になる可能性があります。人間は、思っている以上に環境に左右される生き物なのです。

参加する立場で変わる「オブザーバーの心得」

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次に“オブザーバー”ですが、ひと言でいうと“議決する権利はないけれど、会議に参加する傍聴者・発言者”のこと。立場によって、その役割は変わります。

(1)基本的なオブザーバー

オブザーバーとして会議に参加するケースが多いのは、新入社員やそのプロジェクトに新たに入った人など、いわゆる新参者。

会議の流れを追い、内容を把握することが大前提です。疑問に思ったことはメモを取り、質疑応答の時間や終了後に質問するとよいでしょう。

(2)上の立場で参加するオブザーバー

意外と多いのが、きちんと目的が伝えられないまま会議への出席義務を伝えられて参加している人。

会議の開始時や途中で「俺、何すればいいんだっけ?」「目的は何?」などと言っている参加者を目撃したことがある人もいるのでは? 特に上層部の人に見られるケースです。

主催者の先輩や上司など、自分のほうが上の立場でオブザーバーとして参加する場合は、「どうして自分が呼ばれたのか」を主催者に確認しておくといいでしょう。

上の立場である自分があらかじめ目的を把握しておくことで、場に適度な緊張感を与えたり、的確な助言をしたりなど意味のある時間が生まれ、より有益な会議になりやすいはずです。

 

どんな役割であっても、基本的に“目的の事前把握”が良い議論を生む土台になることが分かりますね。

もし前もって主催者から伝えられなかったとしても、自分から確認をして積極的に参加することが“知的生産性を高める会議”にするために必要なことなのです。

 


 

【取材協力・監修】

チームビルディング・コンサルタント

尾方僚

大手就職情報会社に9年間勤務した後、コンサルタントとして独立。大学や企業人事担当者向けの講演を数多く行い、企業の採用コンサルテーション・研修に従事する。現在、日本女子大学リカレント教育課程 講師、日本工業大学、デジタルハリウッド大学の非常勤講師としてキャリア系科目を担当。著書は『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)、『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニュケーションズ)など多数。

【参考】

尾方僚(2011)『プレゼン以前の発表の技術』(すばる舎)

尾方僚(2007)『100人の前でもキチッと話せる本』(インデックスコミュニケーションズ)

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