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「もう限界!」となる前に仕事の4大ストレス解消のコツ【行動科学で解決!お悩み相談室2】

「明日こそは取引先に連絡しなきゃ」「この前の後輩の態度、何?」と、あれこれ思いをめぐらせてしまう、仕事のこと。そして、その悩みは決して減ることはない……と思いがちですが、本当にそうなのでしょうか?

『kufura』では、20代から40代の働く女性352名にアンケートを実施。この連載では、寄せられた悩みに関する解決法を、行動科学コンサルタントの冨山真由さんにお答えいただきます。

今回のテーマは“仕事のストレス”です。

仕事のストレスの4大悩みは「発散できない」「苦手な業務」「残業」「家庭との両立」

アンケートでは、仕事のストレスに悩む様々な声が寄せられました。中でも多かったのはこの4つの悩みでした。

悩み1:ストレスが溜まって「発散できない!」

「仕事のストレスはありすぎてわからない」(40歳/その他)、「仕事しなきゃならないこと自体がストレス」(41歳/主婦)、「日々心身ともに疲弊している」(36歳/その他)、「我慢ばかりでつらい」(46歳/総務・人事・事務)などと、仕事のストレスが募るばかりで発散できていない様子が見てとれます。

悩み2:「苦手な業務」をこなすのが苦痛!

「大勢の前で発表したり、自分の苦手な分野の仕事をするのが乗り気にならない」(23歳/公務員)、「顧客からのクレーム対応が精神的にキツい」(49歳/主婦)、「自分には荷が重すぎる仕事を任されストレスを感じる」(33歳/その他)など、業務の内容に苦手意識を感じているケースも多いようです。

悩み3:「また残業!」仕事量が多く帰れない…

「仕事の負担が全部自分に押し付けられること」(31歳/フリーター)、「忙しく連休が取れないこと」(34歳/デザイン関係)、「仕事自体はやりがいがありますが、私生活がボロボロになります。残業、残業、残業、3交替で休みがない、の毎日でもうやめようか悩んでます」(22歳/その他)という声のように、仕事量が多く、時間の拘束が長いことによる悩みが多く見られました。

悩み4:「時間がない!」仕事と家庭の両立の悩み

「子どもの迎えがあるので定時に上がらないと間に合わないが、仕事が終わらない」(27歳/営業・販売)、「忙しすぎて育児ができない」(44歳/その他)など、仕事と育児や家事との両立の悩みが挙がりました。

具体的に解決していくにはどうしたらいいのでしょうか? 代表的な質問について、行動科学コンサルタントの冨山真由さんに考えていただきました。

【悩み1:ストレス発散】日々の日記がストレスチェックの代わりになる!

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Q.1  常にある仕事のストレス。その解消法がわからないままでいる(37歳/営業・販売)

A.1  自分に制限をかけず、本当に楽しいと思うことを実践してください

「“常に”とおっしゃっているこの方は、少しネガティブ思考、もしくは、他人にも自分にも厳しいタイプなのかもしれません」と、冨山さん。

「このタイプは他人の好ましくない行動にストレスを感じるだけでなく、自分自身にも制限をかけてしまいがちです。

ストレスを解消する一番の方法は“自分自身が楽しい”と思うことを見つけ、それを実践することなのですが」(冨山さん)

例えば、食べることが好きであっても、自分の行動に制限をかけてしまって思う存分楽しむことができない性質。しかし、ストレスの根源は“報われない感”。「土曜日の夜だけは思いっきり食べる」など、自分を許す瞬間がない限り、ストレスからは永遠に解放されないといいます。

「別の対策法として“ストレス日記”を書くのもおすすめします。

その日、自分が何にストレスを感じたのか、事実ベースでバーッと書き出した後、“どうでもよかった”と思えることに×をしていきます。そうして残るのは、本当に許せないこと。

それらに対して、今後起こったらどのように“行動”をすればいいのかを考えてほしいんです。

行動科学の基本は“感情”を切り離し、“行動”に焦点を当てること。そして、解決のための行動を起こし、状況を変えていくことです。

許せないことが“通勤電車に乗るときに横入りをされた”であれば“すみません、並んでいました”と一言伝える、と決めると、ストレスは持ち帰らずに、その場で解消することができます」(冨山さん)

【悩み2:苦手な業務】業務そのものを習慣化すれば、ストレス回避に

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仕事 ストレス 苦手な業務

Q.2  接客業。気がつけばストレスがたまっている(23歳/フリーター)

A.2 一連の業務を「行動習慣」に変えてしまいましょう

「そもそもこの方は、この仕事に向いていない可能性も……」と首をかしげる冨山さん。業務のメインである接客が苦になるということは、適正に合っていない可能性があると指摘します。

「もし社内での配置転換が可能であれば、事務職などへ異動願いを出すのもひとつの方法だと思います。我慢すること自体がストレスの原因にもなるので。

それが叶わない状況ならば、自分に無理をさせないよう“行動を習慣化”させてしまうのが一番です」(冨山さん)

例えば、“お客様が入店してきたら、口角を上げ「いらっしゃいませ」と言う”ことを決め、それを、ただただ繰り返していく。すると、やがてそれが習慣となり、無意識のうちにできるようになるのだとか。

「極論でいうと、笑顔でさえいれば、たとえ無心であってもクレームは起こりません。

逆に、真心がこもっていたとしても、下を向いていたり、目を合わせなかったりすれば、それこそクレームになる可能性があります」(冨山さん)

ちなみに、冨山さんによると、売れるセールスパーソンは感情を一切入れず、「行動」にのみフォーカスする傾向にあるそうです。

「例えば、訪問販売の場合。結果を出せている人は、たとえ20軒連続で不在だったとしても、へこたれず、地道に訪問を重ねていきます。

結果が出せない人は、たった1、2軒の不在でも“ダメかも”“向いていないかも”と思い込んでしまい、モチベーションも低下します」(冨山さん)

“感情”と“行動”を切り離して仕事にのぞめば、ストレスも軽減し、売上にもつながる。ぜひ実践していきたいですね。

【悩み3:残業】限界まで我慢すると損!? 環境を行動で変えていくには

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Q.3  他の人の仕事もやらなければならない。残業中にさらに仕事を増やされる(26歳/フリーター)

A.3 「早く帰りたい」など、周りに意思表示をしてください

「業務時間内であれば、他の人の仕事も手伝ってあげてもいいとは思いますが、それで残業時間が増えてしまうのは問題。意思表示をするのがベストです」と、冨山さん。

例えば、朝礼の時などに「今日は早く帰りたいんです」などと公言し、周囲にアピールするのもひとつの方法だと言います。

「一番よくないのが、“嫌われたくない”“契約を切られたくない”などと思い、やりたくない残業を無理矢理引き受けること。それを続けてしまうと、やがて“あの人は残業したい人だ”というイメージがつき、余計に帰りにくくなってしまいます。

特に男性は、はっきり言わないと本意に気づいてくれません。

ある日、突然女性スタッフから“こんなに残業多いなんて知りませんでした!辞めます”と告げられ、一方の男性上司が“残業できるって言ってたのに……”とポカーンとするケースもよくあると聞きます」(冨山さん)

「ネイルの予約をしたのに、また今日も行けなかった!」となれば、さらにストレス倍増!  自ら意思表示をして、働きやすい環境づくりをしていきたいものです。

【悩み4:家庭との両立】家族を巻き込めば「寝れない状態」から脱却できる

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Q.4 仕事・家事・育児で時間が足りない!(46歳/主婦)

A.4 無理にでも自分の時間を確保してください!

「これはタイムマネージメントの問題ですね」と冨山さん。特に家庭内においては、すべてを自分で抱え込まないことが鉄則だといいます。

「とにかく“自分の時間を作る”ことを最優先にし、家族に頼めることは頼むという姿勢でいきましょう」(冨山さん)

そのための手順は

(1)自分の「やるべきこと」「やりたいこと」を書き出す

(2)「やるべきこと」の中から、自分じゃなくてもできることを家族に頼む

の2ステップ。

「大切なのは、やってもらった後です。“助かったわぁ~”“本当にありがとう”と感謝の気持ちを言葉で表してみてください。すると、承認欲求で満たされた家族が、次回は自ら進んでやってくれると思いますよ」(冨山さん)

また、頼み方にもポイントが。行動科学では目標を達成するための「MORSの法則(具体性の法則)」を定めています。

Measurable(計測できる)・・・どれくらい行動しているか数値化できる

Observable(観察できる)・・・誰から見ても、どのような行動かわかる

Reliable(信頼できる)・・・誰から見ても、同じ行動だとわかる

Specific(明確化される)・・・誰から見ても、何をどうするかがわかる

具体的な行動に落とし込むには、この4つの要素を満たしているかを確認するのが基本。これは、人に頼む場合も同様だそうです。

「“夕飯の支度して!”とざっくりお願いするのではなく、“玉ねぎをみじん切りにして”“人参を輪切りにして”と具体的な指示にまで落とし込んであげると、相手は何をやればいいのかが明確になり、すぐに行動に移すことができます。

女性は、家庭内においては比較的優位な立場にあると思います。いわば監督のような心持ちで、家族に役割を振っていけばいいのではないでしょうか。

自分だけが我慢をした結果、“なんで私ばっかりやっているの、あなた何もやらないじゃない”と旦那さんに爆発するのが最悪のシナリオです」(冨山さん)

ちなみに、冨山さんのご家庭ではどんな感じですか?

「基本、自分がやりたくないことは、夫に教え、次回からはやってもらうようにしますね(笑)。

先日は玉ねぎのみじん切りの仕方を伝授したのですが“おおー、こうやるのかー”と感動しながら楽しそうにやっていました。

“上手に切れたね!”と褒めることでさらにモチベーションもUP! 今後の玉ねぎカット担当は夫に決定です(笑)」

さすが、の一言に尽きます!

 

“仕事のストレス”についての冨山さんのアドバイス、いかがでしたか?

もやもやと思考するだけではなく、しっかり自身のストレスと向き合い、対策を重ねながら解消していきたいですね。

 

取材・文/濱登良子


 

【取材協力】

冨山真由

行動習慣コンサルタントの第一人者。人の行動に焦点をあてる手法と技法を提供。大手企業から業種業態を問わず幅広く研修を導入し登壇。著書に『1%の素敵な人だけが実践しているなりたい自分になる方法』『今すぐ!集中力をつくる技術』『どうして?自分に聞く力で問題解決!』など。

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