何か貢献できることから始めよう
null新しい環境に飛び込むのですから、まずはその組織のルールを覚えなければなりません。
前職でも経験してきた業務を担当するにしても、同じ職種でも会社ごとに「作法」が異なりますから、いきなり自分のノウハウ全開で進められるわけでもありません。
細かなことを度々同僚に質問しなければならず、「同僚の仕事をジャマしてしまっている」「私に教えることで、余計な負担をかけている」……なんて気に病んでしまうこともあります。
こうして、なかなか「役に立っている」という実感を得られず、焦りを感じてしまう人が少なくありません。
しかし、いくら経験豊富であっても、その会社では「新人」です。そう割り切って、成果を出すことを焦らず、今できることから始めましょう。
まだまだ新人であり、本領発揮ができない期間中は、皆が面倒がるような雑務を積極的に引き受けるなど、何か貢献できることから始めることをお勧めします。
例えば、会議用の資料の準備、議事録の作成、ちょっとした調べものなどです。「何かお手伝いできることはありますか」と声をかけ、「スキマ仕事」を引き受けてください。
「最初に雑務を引き受けて、“便利屋”のようになってしまうのは嫌だ」……そんな不安やプライドは捨てましょう。それなりのキャリアを持つ人が、雑務にも積極的に取り組む姿は、それだけでも好印象を持たれるものです。
例えば、ある中途入社者は、会議で「最近、このマーケットにこんな動きがあるようだ」という話題が出たとき、「では、私がそれについて調べてリポートを作成します」と率先して引き受け、メンバーたちに喜ばれました。
面倒なことを引き受ける姿勢を見せれば、「損得で動く人じゃない」「組織貢献の気持ちを持っている人」と、信頼を得られるものです。また、「快く動いてくれる人」「頼みごとをしやすい人」という印象を持たれれば、いろいろな人に声をかけられるようになるので、コミュニケーションが活発化し、結果的に仕事がやりやすくなります。
メンバーとの関係構築にも
null特に、「会議の議事録作成」は、皆が面倒がる作業だけに、買って出るといいでしょう。これを引き受ければ、感謝されるだけでなく、自分の学びにも役立ちます。
会議で出た意見を整理していると、それぞれのメンバーの考え方がつかめます。また、「この人はアイディアが豊富」「この人は問題点やリスクを指摘する」「この人は調整が得意」など、メンバーの役回りも見えてくるはずです。
それに、文書作成にはその人のスキルレベルが表れるものです。メンバーが話したことをそのまま羅列するのではなく、重要なポイントを抽出して過不足ないボリュームでまとめる、しかもわかりやすく見やすく作成すると、「デキる人」というインパクトを与えることができるでしょう。
「便利屋になってしまうのでは」などと心配する必要はありません。本来、採用された目的はしっかり本業で力を発揮してもらうためです。担当業務に本格的に従事するようになれば、既存メンバーと対等となり、自分ばかりに雑用を押し付けられることはないはずです。
入社初期の「できない」「わからない」という焦りや不安を払しょくするためにも、メンバーとの関係を築くためにも、「雑務」を引き受けるのは有益なのです。
構成/青木典子
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