「中小企業出身者」を採用担当者はどう見ている?
null中小企業で働いてきた方々の中には、「大手企業出身者と比べると評価が低いのでは……」と思っている方もいらっしゃるようです。
しかし、そんなことはありません。実際には、大手企業出身者よりプラス評価を受けるケースも少なくないのです。中小企業出身者の「強み」のポイントは次のとおり。転職活動で自己アピールをする場合は、このポイントを意識してみるといいでしょう。
幅広い業務を経験している
大手企業の場合、部門や業務が細分化されているため、1人が担当する業務範囲が限られている傾向があります。十数名が在籍する経理部門において「伝票仕分けと請求書発行のみ担当していた」というように。
一方、中小企業では、それよりも高度な月次決算、年次決算、税務申告といった業務まで、年齢が若いうちに経験している人も多数。さらに、経理にとどまらず、人事や総務など、管理部門業務を複数兼務していることもあるでしょう。
転職市場では、もちろん求人内容にもよりますが、大手企業で一部業務のみ担当していた人よりも、中小企業で幅広い範囲をカバーしていた人のほうがニーズが高い傾向にあります。
ここでは経理職を例に挙げましたが、どんな職種においても、複数の役割を兼務したり、他部署の応援をしたりしたことがあるはず。それは強力なアピールポイントになります。
職務経歴書を書く際には、メインの所属部署・担当業務だけでなく、短期間でも経験した業務、サポート程度で携わった業務などもぜひ記しておきましょう。
不十分な環境・資源の中で工夫してきた
大手企業と比較すると、中小企業は資金や人材が不足しているケースが多数。その分、知恵や工夫が必要となります。
例えば、商品を拡販する際、大手企業の営業担当者であればマーケティング・販促・宣伝などの部門のサポートを得られますし、プロモーションのための予算も潤沢です。会社がCMを打ってくれれば、商品の知名度が高まり、商談もスムーズでしょう。
一方、そうしたバックアップがない中小企業では、自分自身のアイデアや行動力で勝負しなくてはなりません。
これは事務職においても同じ。大手企業のように、高価格・高性能のシステムやITツールを導入できない企業では、独自で仕組みを作り、効率化を図る必要があります。そのプロセスでExcelなどのPCスキルを磨いた方も多いのではないでしょうか。
このように、会社の環境や資源に頼らず、独自に工夫して業務改善を図った、効率化を実現した……といった経験を細かく洗い出し、職務経歴書や面接で伝えましょう。
ルールやマニュアルなどを整備した経験がある
中小企業、特に若いベンチャーなどで勤務してきた方は、仕組みがまだ整っていない中で、ルールやマニュアルなどを一から作ったり、煩雑な状態から整備したりした方もいらっしゃるのではないでしょうか。
そうした経験も、特に創業間もないベンチャー企業では重宝されますので、職務経歴書にぜひ記してください。そして、その取り組みにあたり、「どんな課題に対し」「どんな工夫をして」「どんな成果を挙げたか(どう改善されたか)」のプロセスも整理しておき、語れるようにしておくことをお勧めします。
マネジメントを経験している
これは必ずしも「管理職を務めた」ということではありません。たとえ小さなプロジェクトでも、責任者やリーダー的ポジションで推進した経験があれば、アピールポイントとなります。大手企業ではなかなか巡って来ない「プロジェクトリーダー」の立場を、若いうちから経験していれば、大きな強みとなります。
課題設定、プロセス管理、人材マネジメントなどにおいて、どんなプロセスで、何を大切にしながら進めていったのかを整理して伝えられるといいでしょう。
中小企業出身者が転職活動で注意すべきポイント
null中小企業出身者は、まず「職務経歴書」の作成で意識すべきことがあります。
知名度のある大手企業であれば、相手は社名を見ただけで事業内容がわかりますし、組織環境や仕事内容などもある程度想像できます。しかし、名前を知られていない中小企業の場合、社名・部署の記載だけでは、相手は仕事内容のイメージがつきません。「よくわからない」と書類選考で見送られる可能性もあります。
そこで、勤務していた会社の事業内容や組織状況を理解してもらうことが大切です。
職務経歴書には、簡単な会社概要・事業内容・従業員規模・売上規模などを記しておきましょう。そして面接では、組織体制や経営方針、扱っている商品やサービスの特徴をしっかりと伝えられるように準備してください。
それらの前提を理解してもらえないと、自分の経験や強みも正当な評価が受けられなくなります。この点には注意し、あとは幅広い経験を堂々と伝えてください。
構成/青木典子
【森本さんの新刊は…転職がテーマ!】