転職活動をする妻に対しネガティブな反応する夫
null一昔前は、出産を機に退職する女性が多くを占めました。今では育休後に復職する女性も増えていますが、重点を置くのは「家庭か仕事か」の2者択一で考える人が多いようです。
しかし、「女性活躍推進」の潮流に乗り、育児中の女性でもキャリアを途切れさせず、さらに磨いていける環境が整いつつあります。実際、「育児しながらキャリアを活かせる・伸ばせる会社に行きたい」と、転職活動をする女性も多く見られます。
一方、男性はというと、共働きを希望する傾向が強くなっています。ところが、共働きは歓迎しても、「家事・育児をおろそかにしてまで仕事に打ち込むことはない」「そこまで頑張らなくてもいいんじゃないか」と、妻の「キャリアアップ」に対しネガティブな反応をする夫がまだまだ多いのも事実です。
まずは、自分にとっての仕事の価値を伝える
null女性からこの悩みをお聞きしたとき、私はこう聞き返します。
「あなたにとっての仕事の価値、やりがいをちゃんと話したことはありますか?」
そうすると多くの場合、「いいえ」という答えが返ってきます。
実は、妻が夫に自分の仕事や役割について語ることもしないまま、「夫は理解してくれない」と嘆いていることが多いようです。
そこで、あなたの仕事について、一度しっかり話をしてみてください。
- どのような仕事を担当し、職場でどのような役割を担っているのか
- どんなやりがいを感じているのか
- 会社や顧客など、周囲の人からどう評価されているのか
- どんな人からどのように感謝されているのか
- 社会にどのような貢献をしているのか
- 今後、何を目指していきたいのか
- 転職によって、何を実現したいのか
私は「転職エージェント」という立場上、多くのビジネスパーソンの皆さんから仕事のお話をお聞きします。その対話の中では、「どんなキャリアを積み、どんなスキルを身に付けたか」ということだけでなく、「仕事に対してどんな想いや使命感を抱いているか」というこだわりもお聞きします。そして最後にこんな言葉もよく出てきます。
「つい感情がこもってしまいました。こんな話、妻にもしたことないんだけど」。
実は夫も妻も、自分の仕事についてちょっとした出来事や悩み事程度は話しても、「想い」までは伝えていない、と感じます。
ぜひ一度、仕事への「想い」を話し、共有してみてください。「妻にとってそんなに大事なことなら」と、応援・協力する姿勢に変わるかもしれません。
実は夫のせいではない?自分で自分を縛ってはいないか
null「夫は私が仕事をすることに文句は言わないけれど、かといって家事に協力してくれるわけではない」……そんな声も聞こえてきます。
けれど、これは夫のせいばかりではなく、女性自身が自分で自分を固定観念で縛り付けていることもあるようです。
「妻・母たるものはこうあるべき」という理想像や価値観を固定化してしてしまっている。それは、育った家庭環境からも大きな影響を受けていると思われますが、その思い込みにとらわれているケースが多く見られます。
例えば、プロの家事代行サービスが便利だとわかっていても、「自分でこなさなくては」と休日を潰したり、「夫や親には頼めない」と自分1人で背負い込んでしまったり。
私自身、夫が週4日出張、親は遠方に住んでいて日常の育児サポートは受けられない……という状況で、子ども2人を育てながらフルタイムで仕事を続けてきました。そして、描いていたとおりのキャリアを積むことができています。
うまくいった秘訣は、「私にしかできないことは何か」を突き詰め、「子どもと一緒にお風呂に入る」「一緒にご飯を食べる」「一緒に寝る」などを除いては、どんどんアウトソースしてきたことです。
家事代行やシッターなどのサービスを活用するほか、ママ友と協力したり、地域のファミリーサポート制度を活用して祖父母と同世代の方々に育児に協力していただいたりしました。
一方、母親である私にしかできないことは他人に任せず、その時間の確保は最優先してきました。全てを背負い込まず、「自分にしかできないこと」そして「自分がやりたいこと」を見つめ直してください。
自分でなくてもできることは、思い切って他人の力を借りてしまいましょう。そうすれば、自分にとってやりたいWillにつながる価値ある仕事に取り組む余裕も生まれるはずです。
構成/青木典子