この連載では、“転職のカリスマ”としても知られる森本千賀子さんに、後悔しない転職活動のためのノウハウを教えてもらいます。
自分の強みと弱みの整理の仕方
null自分自身のことは、なかなか客観視できないものです。わかっているつもりで、実はわかっていないことが誰にでもあるものです。
そこで、あなたが普段一緒に働いている上司や同僚、取引先の人などにたずねてみましょう。「私の強み・弱みはどういうところだと思いますか」「私は以前と比べて成長したでしょうか。成長したとしたらどういうところでしょうか」といったようにです。
すると、自分ではまったく意識していなかったスキル、取り組み姿勢、行動といったものが、ひそかに他者を感心させていることがあるものです。
「プレゼン資料の作成スピードが、他の人より速いよね」
「社内の雰囲気がピリピリしているときも、あなたが和ませているよね」
「細かいミスをよく見つけるよね。あれはすごいと思う」などなど。
それとは逆に、自分では得意だと思っていたことが、周囲からはそれほど認識・評価されていないということもあります。
このように「他者目線」「他者分析」も取り入れて、自分の強み・弱みを整理してみてください。
「うちの会社では当たり前」のスキルも、社外では評価大かも
nullまた、会社や業界の一歩外に出ることで、“強み”が浮き彫りになることもあります。
私は転職エージェントとして多くの転職希望者の方々とお話ししてきましたが、その方がしてきたお仕事の内容をお聞きして、「それは素晴らしいご経験ですね」と伝えると、「えっ?」と不思議そうな顔をされることがあります。「私の会社では皆が当たり前にやっていることなので、別にほめられるようなことではありません」と。
ところが、それが他の業界や会社では「貴重な経験」「価値あるスキル」と評価されることもよくあるのです。
例えば、Excelを使ったデータ処理・分析作業を「普通」と思っていても、それをできる人がいない会社ではそのスキルが重宝されるでしょう。
自分に自信のないMさんの能力とは…?
null例えば、ある方のケース、仮にMさんとしましょう。Mさんは特別な専門分野を持っているわけではなく、複数の部署でさまざまな業務を担当してきました。転職相談に来られたときには「どの仕事も中途半端なんです」「コアスキルというものが身に付いていないんです」と、自分に自信がないご様子。
そこで、どのように仕事に取り組んでこられたのか、どのような工夫をして、どんな成果を挙げてこられたかを一つひとつお聞きしていったところ、適応能力が高く、新しい情報や知識のキャッチアップ力が非常に高い方であることがわかってきました。
さらには、どんな仕事にも好奇心を持って向き合い、その仕事ならではの面白みややりがいを見出すことに長けていたのです。また、複数部署を経験して人脈を築いていたことから、人と人を結び付ける役割も担っていらっしゃいました。
Mさんのこうした能力は、急速に事業を拡大しているようなベンチャー企業で高く評価されるのです。
このように、自分では大したことがない、むしろネガティブに捉えていた経験が、実は転職市場では大きな価値として認められることもあります。
だからこそ、キャリアの棚卸しをするときには「こんな些細なことは書かなくていい」などとスルーせず、隅々までピックアップしてください。
どこで誰の目に留まるか、分からないのですから。
構成/青木典子