なぜ日記を書くと「自己効力感」が高まる?
nullE子:日記をつけることで、「やればできる」といった自己効力感を高めることができるんですか?
冨山さん(以下、敬称略):自己効力感を高めることもそうですが、日記をつけることでまずは「振り返る」ことが大切だと考えています。
なんとなく「こうだったから良かった、悪かった」と思い込むのは良くありません。自分自身が何をやったのか、覚えているその日のうちに日記に書き、何が良かったのか、悪かったのかも具体的に書きましょう。
大事なのは、“ネクストアクション”を見出すことなんですね。次回は同じ状況になったらこう対応してみようと反省して、良い行動パターンだけを続けていき、良くない行動パターンを外すということを、日記をつけながら振り返りましょう。そうすることで、自己効力感が上がっていきます。
日記は、必ず「〜しよう」で書き終えましょう。肯定語にすることが大切です。無意識に自己肯定感が高まります。
日記は3行でOK!アプリより手書きがおすすめ
nullE子:冨山さん自身は、日記をどうやって書いていますか? 長く文章を書いていますか?
冨山:前はけっこう量を書いていたんですが、今は1〜3行くらいです。
まずは事実を書きます。次に気づいたことを書きます。「今度クライアントさんに会ったら、先にこんな資料を用意しておこう」「余計な発言をするとパートナーに怒られるから、一度考えてから発言しよう」とか。
最後に、その日の気分をニコちゃんマークで表します。いつも笑顔のニコニコマークを描きたいのですが、悲しいときは悲しんでいる顔のニコちゃんマークを、まだ解決できないときは困っている顔のマークを描きます。でもニコちゃんマークなので、あまり悲しくなりすぎません(笑)。
Y子:それは簡単でいいですね! 日記は手書きですか?
冨山:日記は手書きがいいと思います。最近では日記アプリもあって便利ですが、手書きの方が客観的になれると言われています。
やってはいけない日記のつけ方は?
nullY子:以前、冨山さんに日記は肯定的に書いたほうがいいという話を教えてもらってから、寝る前に子どもたちと「今日あったいいこと」や「家族の良かった点」を言いあうようなりました。
冨山:それは1日が前向きに終わるのでいいですね。家族がハッピーになりますね。
事実はひとつですが、考え方によって良くも悪くもなります。たいしたことではなければ、良いように考えましょう。
E子:ついネガティブに書いてしまった時はどうすればいいでしょうか?
冨山:人の悪口や自己否定や、例えば配属先といった“変えられないこと”を、「上司が異動させてくれない」などと書いても落ち込む一方です。モヤモヤした日はそういったことを書いてもいいのですが、必ず消してください。破るかペンで斜線を引いて消す。決して残さないようにしましょう。
これは実は“思考の練習”にもなります。紙に書くということは頭の中で考えていることを書いているので、ポジティブな思考の人は自然にポジティブな言葉になるはずです。「こんなことを言われて傷ついたな、でも私もこんな言い方をしたから良くなかったな。次回からはこうしよう」というように、自然にポジティブに締めくくれます。
そうでない人は、「上司にこう言われた、私は一生懸命発言したのにどうして受け入れてもらえなかったのだろう。上司は無理解すぎる」というように、どんどんゆがんだ認知になっていくのですね。途中でその暴走に気づきましょう。書くとハッと気づくことができます。
このように思考を修正していくと、普段の自分の行動も修正していくことができます。
日記を続けるコツは「日記を書こうと思わない」こと!
nullY子:実は私は、完全に1週間坊主人間です。日記が成功したことがありません!
冨山:単純でいいんですよ。私も「日記に疲れた」経験がありますが、今はシンプルなスタイルに行き着きました。
テーブルのうえに手帳をぽんと置いておきます。ペンも置いておきます。寝る前に開きます。今日あったことを書きます。気づいたことを書いて、どんな気分だったかを書いて、もうそれだけ。3分未満です。
目的は「自分のための振り返り」です。日記を書くことを目的にしてはいけないんですね。私自身がそうだったのですが、日記や手帳を書くことに一生懸命になって疲れて止めてしまうと意味がありません。
何回か続けると習慣になります。すると今度は日記をつけないとかえって気持ち悪くなります。そうして気づいたら日課になっています。
Y子:この3行日記ならできそうですね!
冨山:私の場合は、プライベートの予定を管理している手帳に日記をつけています。予定を確認しながら振り返りもできて好都合ですよ。
“自己効力感を高める日記の付け方”でしたが、いかがでしょうか?
日記が続かないという方も、この方法を試してみてくださいね!