人材価値を高める、経験・スキルの「掛け合わせ」
nullでは、「価値ある人材」になるためにはどうすればいいのでしょうか。
「何十年も経験を積んで、スペシャリストとして高度なスキルを身に付けなくてはいけないのでは」……そんなふうに思う方も多いのではないでしょうか。
そして、育児に集中する期間を過ごしたことで「高度な経験を積めなかった。今さら手遅れ」とあきらめている方もいらっしゃるかもしれません。
でも、実際には、ハイレベルな経験を積んだ人材=価値ある人材とは限らないのです。
私は転職エージェントとして、さまざまなご経歴の転職経験者と求人企業のマッチングを手がけてきました。その中で見てきたのは、大手企業の一部署で特定の専門職務一筋10年~20年の垂直型の経験を積み上げた人が、転職市場で評価されずに苦戦する……という事実です。もちろん経験内容にもよりますが、そうしたケースは非常に多いのです。
一方で、転職・異動・出向などを通じて非連続に幅広い経験を積んだ人が高く評価され、採用されるケースは多数あります。
何が言いたいのかというと、1つの分野で長く経験を積まなくても、飛びぬけて高いスキルを身に付けなくても、複数の経験・スキルの「掛け合わせ」を活かせば、人材価値を高められる……ということです。
例えば、「保育士資格」を持つ人はたくさんいます。では「保育士資格」×「英語力」を持つ人となると、数はぐっと減りますよね。その人は、「英語で保育をして、子どもの英語力を養ってほしい」というニーズに対応することができ、その分、高い報酬が得られるでしょう。
また、「ネイリスト」はたくさんいても、例えば、化粧品メーカー出身で「メイクのアドバイスもできるネイリスト」となると限られてきます。2つのスキルを掛け合わせることで顧客獲得チャンスは倍になり、雇用側のサロンは「付加価値が高いネイリスト」として重宝するでしょう。
一歩あたらしい領域に踏み込んでみる
null一般企業に勤務するのも同じ。例えば、「経理経験者」は山ほどいても、「経理」×「人事」の経験者となれば数は減ります。さらに、「経理」×「人事」×「コンプライアンス体制整備」や「経理」×「人事」×「○○業界」など、「×」=「掛け合わせ」のパターンが増えていくほど、希少性が高まっていきます。
ですから、これから皆さんが転職に臨むとしたら、「Aの経験しかないから、Aの仕事を探そう」ではなく、「Aの経験を活かしつつ、Bの経験も積める仕事にチャレンジしよう」というスタンスで仕事を選ぶことをお勧めします。
転職しなくても、今の会社で他部署へ異動を希望したり、未経験のプロジェクトに手を挙げたりするのでも、もちろん構いません。
「Aの次にBの経験を積んだから、次はBの経験を活かしつつ、Cの経験を積もう」、というように繰り返していけば、いずれは仕事を選ぶとき、「A×B」「A×C」「B×C」と、掛け合わせられるパターンが増えます。「A×B×C」すべてを活かせば、「なかなかいない人材」として重宝されるかもしれません。
どうか、“変わること”に抵抗感を持たないでください。これまでの経験・スキルを活かしながら、一歩新しい領域に踏み込んでみる。それを繰り返すことで「できること」が増え、それを柔軟に掛け合わせることで、仕事の選択肢が広がっていく……そんなキャリアを楽しんで歩んでみてはいかがでしょうか。