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転職で仕事選びに悩んだら…自分の「こだわり」に目を向けてみよう!【森本千賀子の転職アドバイス】

転職活動に臨むとき、皆さんはどんな基準で仕事や企業を選びますか。

「経験・スキルが活かせる」「通勤が便利」「勤務条件(労働時間・休日・給与など)の希望に合う」――こうした点に注目して求人を探す方が多いように思います。特に、育児中の女性の場合、働ける時間・エリアに制限があります。どうしてもそれらの条件を優先することになり、「やりがいや面白さなんて求めていられない」と思うかもしれません。

人生100年時代といわれる現代だからこそ

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けれど、どうせ「働く」に費やす時間が同じなら、自分の志向にマッチする仕事を選んだほうが生き生きと働けるはず。それに「人生100年時代」と言われるこの先、子どもの手が離れてから何十年も仕事をすることを考えると、やりたい仕事で経験・スキルを積んだほうが、生き生きと働ける“明るい未来”につながっていくでしょう

「そうはいっても、やりたい仕事なんてなかなか見つからない」という声もよく聞こえてきます。しかしそれは、自分がイメージできる業種・職種の範囲内だけで探しているから。視野を広げてみると、意外な分野で「やりたいこと」が実現できるかもしれません。

ある40代女性の転職事例をご紹介しましょう。仮にAさんとします。

Aさんは長年、エンターテインメント業界でショーのプロデュースやキャストのマネジメントを手がけてこられました。その仕事にやりがいを感じていらっしゃったのですが、やむを得ない事情で転職を決意。私が相談をお受けしたのです。

Aさんは当初、エンターテインメント業界への転職を希望していましたが、納得のいく求人がなかなか見つかりませんでした。そこで、別の方向でも可能性を探るため、彼女の仕事に対する思いやこだわりについて、さらに深くお話をお聞きしました。

その上で私が選択肢の一つとしてご提案したのが、ある介護施設の「施設長」の求人です。

これまでの華やかな業界とのギャップに戸惑ったAさんですが、すぐにシャットアウトすることはせず、その仕事を理解しようと努めました。そして、どんな役割や意義を持ち、日々どんな取り組みを行うのかをくわしく知るうちに、「自分が大切にしたいこだわりにマッチしている」と気付き、応募を決意されたのです。

Aさんが大切にしたいこだわりとは、「人々が感動し、楽しいと思えるものを創り出す」ということ。介護施設長という仕事を理解したとき、「余生を過ごす入居者がいかに毎日楽しく笑顔で過ごせるかを追求し、エンターテインメントの空間を創り上げるのはおもしろいし、やりがいがある。私がこれまで取り組んできたことと同じ」と捉えたのでした。

Aさんには介護の経験も資格もありませんが、これまでショーのキャストやスタッフのマネジメントを行ってきた経験は、施設で働く介護スタッフや看護師などのマネジメントにも活かせると評価され、採用されました。

思い出から、根底にある価値観を探って

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また、同じく40代のBさん(男性)の場合、人材サービス業界で働いてきましたが、転職を決意。「本当にやりたいことがわからない」と相談にいらっしゃいました。

そこで、これまでの「キャリア」からは一旦離れ、学生時代の思い出を振り返っていただきました。Bさんの根底にある価値観を探るためです。

昔のお話を聴く中で、Bさんが特に表情を輝かせたのが「高校時代の体育祭」のエピソード。「楽しかった」と語るBさんに「なぜ楽しかったのか」「どんなことが楽しかったのか」をお聞きしていくと、「同じ目標に向けて、皆が団結する一体感」「個々のメンバーが得意なことを活かして一つのものを創り上げていくプロセス」に喜びを感じる人であることがわかりました。

結果、Bさんが転職先として選んだのはウエディングプロデュース会社。新郎新婦の理想の結婚式を実現するため、プランナー、料理人、カメラマン、サービススタッフなど、多様なメンバーが力を合わせて働く職場です。これまでとはまったく異なる業界ですが、Bさんは「自分がやりがいを感じられる働き方ができる」と考えたのです。

 

転職先を選ぶとき、労働条件の希望に合致していることはもちろん大切です。しかしそれだけでなく、「自分が仕事で大切にしたいこと」「どんな気持ちで働いていたいのか」「どんな場面でやりがいや喜びを感じるのか」も意識してみてください。それを軸に据えることで、新たな選択肢を発見できるかもしれません。

 

構成/青木典子

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