「前の会社との比較」「前の会社のやり方を押しつける」はNG
null既存社員にムッとされてしまう言動。そのナンバーワンに挙げられるのは「前の会社と比較する」「前の会社のやり方を押し付けようとする」です。
こうした失敗は、同僚からオフィスの設備や仕事の進め方についてレクチャーを受けているときにしでかしがちです。
Webツールへのリテラシーについては要注意
まず、「何の気なし」に前の会社と比較して、相手を不快にさせてしまうケース。例えば、
「あれ?このPCソフトは古いバージョンなんですね」
「○○の管理システムは……えっ、まだ手作業でやってるんですか」
――まったく悪気はなくても、既存社員の立場からするとバカにされたような気がして不快感を抱くかもしれません。
IT・Webツールの進化は早く、先進的な企業はいち早く導入して使いこなしています。そうした職場から、ツールへのリテラシーが低い会社に移った場合、「遅れている」「まだこんな非効率化なことを」と感じるのも無理はありません。しかし、それをうっかり口に出さないようにくれぐれも気を付けましょう。
既存社員から「上から目線の人」と思われてしまうと、距離を縮めて人間関係を築くのに余計な時間がかかってしまいます。
「遅れているもの、欠けているもの」…改善案は慎重に
一方、積極的な姿勢で「前の会社と比較する」方もいらっしゃいます。
「前の会社で身に付けたノウハウを提供することで貢献したい」という前向きな意欲から、新しい職場で遅れているもの、欠けているものなどを指摘し、改善していこうとするケースです。大手企業から中小ベンチャー企業などに転職した方などには、特にこの傾向が見られます。
この場合、既存社員から「改善してくれて助かる」「やりやすくなった」と感謝されればいいのですが、そうはならないケースも多いのが現実。「これまでの経緯や内情も知らないくせに」と反感を買い、いきなり孤立してしまうこともあるのです。
新しい会社の業務フローやマニュアルなどに対して、「使いづらい」「非効率」と感じることもあるでしょう。そんなとき、「前の会社ではこうでした」「こうしたほうが効率的ですよ」など、即座に指摘するのは控えるようにしましょう。
最初の1カ月は「一旦受け入れる」スタンスで
null前の会社の手法の方が優れているのが事実であっても、まずはその会社のやり方を素直に受け入れてください。今のやり方で運用されているのには、何らかの理由があるのかもしれません。「なぜこんなことをしているのだろう」と疑問を抱いたやり方にも、明確な目的や意図があり、メリットがあるからこそ続いていることも多いものです。
せめて最初の1カ月程度は、「現状を一旦受け入れる」というスタンスを守ることをおすすめします。そのうちに、「こういう経緯や事情があってこうなっているのか」といったことが徐々に理解できるはずです。そうすると課題の本質も見えてきますので、それを踏まえた上で提案をしてみるといいでしょう。
面接の際、社長や役員、人事担当者に「君には現状の改善や新しい視点での提案を期待しているよ」と言われていたとしても、決して焦ってはいけません。
現場の状況を十分理解しないうちに、目先の成果を追ってあれこれ提案してしまうと、周囲から浮いてしまうことになります。
まずは、既存社員が行ってきたことを認め、現状を正確に把握した上で、改善策の提案へとステップを踏んでいきましょう。
構成/青木典子