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使い方合ってる?感謝を伝える「ひとかたならぬ」の意味は…【仕事も人間関係も円滑にする大和言葉#1】

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“ひとかたならぬ”という言葉は、スペシャルな場面で使いたい、よそ行き用のことば。具体的にはどんな場面で使ったらいいのでしょうか。

人間関係を良好に保つためには、美しい言葉遣いが大切ですよね。職場や地域で様々な役割を担う大人の女性が身に着けておきたいのが、しなやかな響きと気品のある大和言葉。

『kufura』では、ビジネスシーンで使える“大和言葉”の例をご紹介します。

第1回目の今回は『品良く美しく伝わる「大和言葉」たしなみ帖』(永岡書店)などの著書を持つ国語講師の吉田裕子さんに、大和言葉の意味や、“ひとかたならぬ”の使い方についてうかがいました。

「大和言葉」とは?どんな時に使うといい?

“大和言葉”とは、日本固有の言葉で“和語”ともいいます。例外もありますが、一般的には音読みの熟語から成る言葉を“漢語”と呼ぶのに対し、訓読みや平仮名の言葉が大和言葉です。

身近な例をいくつかあげてみましょう。

漢語・・・美味/大和言葉・・・おいしい

漢語・・・恐縮ですが/大和言葉・・・おそれいりますが

漢語・・・承知/大和言葉・・・うけたまわる

大和言葉には語頭の濁音が少ないなど、響きが柔らかいという特色があります。品の良さやおくゆかしさを印象づけることができます。

「ひとかたならぬ」の意味とは?どんなときに使う?

それでは、今回のお題である“ひとかたならぬ”という言葉について掘り下げていきましょう。

ひとかたならぬは、古語の“一方ならず”から生じた言葉です。“なみひとおおりではない”“非常な”という意味があります。ビジネスシーンにおいては、かしこまった場面で目上の相手に対して感謝の気持ちを伝えるときや、書き言葉のあいさつ文の中でよく使われています。

日常会話ではあまり見ない言葉だけに、格式を感じさせ、挨拶が引き締まります。

続いて、“ひとかたならぬ”を使った例文をご紹介します。

【例文1】挨拶文の中

・ひとかたならぬご厚情を賜り、御礼申し上げます。(文章のはじめ)

【例文2】職場の送別会のスピーチにて

・B部長には、ひとかたならぬご指導をいただきました。

「ひとかたならぬ」の使い方の注意点は?日常会話で使える?

“ひとかたならぬ”は、強い恩を感じている目上の相手に対してかしこまった場面で使うのが一般的です。

普段から顔を合わせている親しい相手との日常会話の中で使うのは、仰々しい印象を与える可能性があります。“なみひととおりでない”という強い意味を踏まえますと、1度の会話の中で何度も使うことは避けた方がいいでしょう。

【NG使用例】

・(毎度、メールの冒頭で)いつもひとかたならぬお世話になっております。

→この場合、無難に「いつもお世話になっております」「いつも大変お世話になっております」でOK。

「ひとかたならぬ」を言い換えると?

“ひとかたならぬ”の言い換え表現としては、以下のような言葉があります。

・大変

・とても

・言葉では言い尽くせないほど

・非常に

・誠に

・格別に(の)

“とても”は、口語的でやや砕けた印象となります。

 

今回は、“ひとかたならぬ”の使用方法について解説しました。

例えば、特別な日に正装するように、特別な場面では“言葉の正装”も必要です。TPO(時、場所、場面)に合わせた言葉遣いができるようになると、仕事仲間からの信頼を築くことができるのではないでしょうか。


 

【取材協力・監修】

吉田裕子

国語講師。塾やカルチャースクールなどで教える。NHK Eテレ「ニューベンゼミ」に国語の専門家として出演するなど、日本語・言葉遣いに関わる仕事多数。著著『大人の語彙力が使える順できちんと身につく本』(かんき出版)は10万部を突破。他に『正しい日本語の使い方』『大人の文章術』(枻出版社)、『英語にできない日本の美しい言葉』(青春出版社)など。東京大学教養学部卒。

 

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