5位:八方美人(4人)
nullもともとは、“どこから見ても美しい人”という意味があった“八方美人”。ところが、現代日本語のニュアンスはちょっと違うので注意が必要です。
「学生の頃、八方美人をどこから見てもきれいな人のことだと思っていて、きれいな先輩に多用していたが悪口だったと気づいてびっくり。そういえば怪訝な顔をしていたような」(58歳・主婦/女性)
「八方美人は、いい意味だと誤解していた」(33歳・研究・開発/男性)
現代日本語の“八方美人”は、誰からもよく思われようとしていい顔をするという意味合いが強く、皮肉をこめて使われることが多くなっています。
近年は、職場で他人の容姿に言及することは“御法度”とされているものの、内輪の会話で人の外見を褒める際には「本当に八方美人ですね」ではなく「どの角度から見てもきれいですね」のように言い換えたほうがいいでしょう。
4位:枯れ木も山の賑わい(5人)
null飲み会にぜひ参加して欲しい相手に使ってしまって大失敗……というエピソードが寄せられたのが「枯れ木も山の賑(にぎ)わい」です。
「枯れ木も山の賑わい。飲み会に参加依頼するときに『枯れ木も山の賑わい』と伝えたが後で意味を知って後悔した」(39歳・研究・開発/男性)
「女性に対して『枯れ木も山の賑わい』という慣用句を使ってしまったことがある」(49歳・営業・販売/男性)
「枯れ木も山の賑わい」は、枯れた木のようにつまらないものでも、ないよりあったほうがいい、というたとえ。相手を“枯れ木”に例えることになってしまうので、人に対して使うと、不快に感じる人もいるでしょう。
「枯れ木も山のにぎわいと言いますから、私も飲み会に参加させてください」という形で謙遜しながら言うのはOKです。
3位:藁にもすがる(10人)
null現代の日本の生活様式から姿を消しつつある“藁(わら)”。頼りにしている相手に「藁にもすがる」と言うと失礼になる理由とは?
「藁にもすがる。仕事で助けてほしいときに“藁にもすがる思いです”とメールに書いたが、意味を知って大汗をかいた。ちなみにその時は助けてもらえなかった」(29歳・公務員/男性)
「“藁にもすがりたい気持ちです”と言ったら、“僕は藁なんだ”と言われて、ヒヤッとした経験があります」(54歳・主婦/女性)
追い詰められた状況に置かれたとき、ぜひとも助けてほしい相手に「藁にもすがる」を使うのはNG。この場合の“藁”は、頼りになりそうもないもののたとえだからです。「頼みの綱」など別の表現を使いましょう。
2位:猫の手も借りたい(11人)
null手伝いを要請しようと「猫の手も借りたいくらい忙しいから、ぜひ○○さんにサポートして欲しい」と伝えた相手がイラっとした理由とは?
「猫の手も借りたい。とても忙しい時に友人に使いましたが友人から『自分は些細な助けにしかならないってことか?』って言われてしまいました」(41歳・総務・人事・事務/男性)
「『猫の手も借りたいほど忙しいから手伝って』と何気なく使ってしまったけど、相手のプライドを傷つける発言だったなと反省しています。その時、すごく嫌な顔をされて気づきました」(59歳・主婦/女性)
「猫の手も借りたい」は、ひどく忙しく、誰でもいいから手を貸してほしいことのたとえ。
猫はネズミ捕りくらいしかできないけれど、そんな猫の手も借りたいほど忙しい、という意味から派生したことわざです。手伝いを要請するときに使うと「役立たずでもいいから手伝ってほしい」の意にとられてしまう可能性があるので、注意が必要です。
1位:馬子にも衣装(19人)
null着飾った人に対して「馬子にも衣装」を使って、不快にさせてしまったケースです。
そもそも“馬子”の由来とは……?
「馬子にも衣装。どんな人でも着飾れば立派に見えるという意味なので、似合っているという意味で使うと大変な事になる」(36歳・その他/男性)
「姪っ子の写メを母が送ってきたから“馬子にも衣装“と送ったら怒られた。誰でも見た目を着飾れば立派に見えるという意味だった。“孫にも衣装“かと思っていた」(41歳・総務・人事・事務/女性)
“馬子(まご)”とは、馬に人や荷物を乗せて運ぶ人のこと。普段は作業着を着ている“馬子”がきれいに着飾れば、それなりに立派に見えるの意。
勘違いエピソードには、着飾った孫が立派に見える「孫にも衣装」だと思っていた、おしゃれをしている人へのほめ言葉で使ってしまったなどの回答がありました。自分や身内のことをほめられたときに「いえいえ、馬子にも衣装ですよ」などと謙遜する際に使うことが多いようです。
以上、今回は誉め言葉など他の意味と勘違いして覚えていたことわざ・慣用句についてお届けしました。
稲刈り後に藁を作ることも、馬が街を歩く場面も、枯れ木だらけの場所に行く機会も、ネズミ捕りのために猫を飼うこともない現代では、どの比喩表現もなかなかピンとこないから、難しいんですよね。
もし今回ご紹介した言葉の意味を勘違いしていたら、皆さんの失敗談を“他山の石”として、本来の意味を心に留めておきたいものです。
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