対策1:「下に重い本、上に軽い本」を収納する
null災害の現場では、家の中で落ちてきた本に埋もれて身動きが取れなくなるということもしばしば起こります。1冊1冊は小さくても、数が多くなると相当重く、危険が増すのが本や雑誌類です。
「本棚をしっかり固定したら、本をどう収納するか。写真集、事典や辞書などの大きく重い本は最下段に入れて、本棚の重心を下げて安定性を確保します。中段にはハードカバーなど、上に行くにしたがってコミックや文庫本などの軽い本に」と、辻さん(以下「」内 辻さん)。
安全な収納の基本は「重い物は下、軽いものは上」。本棚に限らず、キッチンなどでも注意したい点です。
対策2:本を入れる棚には滑り止めシートを
null100均などで購入できる滑り止めシートを、サイズに合わせてカットし、全ての棚に置きます。このとき、より手前に本が落ちにくくなるようひと工夫。
「滑り止めシートを少し大きめにカットして、手前側をひと折りしておきましょう。手前側が厚くなり、本が後ろに傾くことでより飛び出しにくくなります。本棚全てにこのように入れるのが大変という場合は、滑り止めシートの切れ端を手前側に挟んでおくだけでも、本の落ちにくさが大きく変わります」
対策3:本は隙間なく詰める
null適度に隙間がある方が本の出し入れはしやすいのですが、防災の観点からはできるだけ隙間がないように詰めるのがベター。
「本は扱い方によっては危険になり得るのですが、しっかり対策をすれば大丈夫。私も本が好きなので、防災のために本を買うのを控えるというのは無理(笑)! 安全に読書を楽しみましょう」
もし地震で直接本によるケガなどがなかったとしても、棚から落ちた大量の本を片づけるという作業を考えただけでかなりの重労働。安全な部屋づくりにはとても大切な作業なので、ぜひ家の本棚の収納方法を見直してみてくださいね。
国際災害レスキューナース、一般社団法人育母塾代表理事。国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。
帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。
現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っている。
「地震・台風時に動けるガイド: 大事な人を護る災害対策」(発行:メディカル・ケア・サービス/発売:Gakken)、「レスキューナースが教えるプチプラ防災」「プチプラで『地震に強い部屋づくり』」(ともに扶桑社)など著書多数。