対策1:家具と床との間に耐震板を入れる
null「耐震板」「家具転倒防止安定板」などの名称で販売されています。100均でも購入可能! サイズもいろいろ揃います。棚の手前側をわずかに持ち上げて固定し、後ろに傾けるようにすることで棚が手前に倒れてきにくくなります。
「大きな家具の場合は耐震板を全面に入れるのが理想ですが、最低限、棚の両端と真ん中に入れるようにしましょう」と辻さん(以下、「」内 辻さん)。
対策2:突っ張り棒(耐震ポール)で固定する
null天井と家具の間に入れて使用する突っ張り棒(耐震ポール)。最も一般的な方法の一つですが、天井と家具の距離や、天井の強度などのチェック項目があります。下記のサイトなどで設置方法について確認してください。
「設置する際は、家具の両端、壁に近い奥側に置くのが基本です」
対策3:段ボールをプラスして補強
null「さらに天井と家具の間には、段ボールなど接地面が大きく、しっかりした箱型のものを詰めて隙間を埋めます」
段ボールと棚の間にも滑り止めシートを挟むとより安定します。
段ボールが空のままだと衝撃でつぶれてしまうので、強度を上げるためにさらにひと工夫。段ボールの底に雑誌などを敷いて安定感をプラスし、ワインなどを買ったときに入っている仕切りを高さを合わせて入れます。さらにその中に古タオルなどを詰め込みます。
「見た目が気になる場合はリメイクシートを貼ったり、市販のおしゃれなボックスを使用すると良いでしょう」
対策4:狭い隙間は本などで埋める
null「スペースが狭い隙間は、本や雑誌などで埋めると良いでしょう。雑誌など表紙がツルツルしているものの場合は、天井と本の間、本棚と本の間にも滑り止めシートをはさみます」
対策5:本棚の重心を下げる
null「本棚の外側だけでなく、固定した後に中に入れるものによっても安定感が左右されます。図鑑や辞書などの重い本は必ず下段に! 文庫本やコミックなどの比較的軽い本を上段に収納します」
同じように固定した2つの棚がある場合、中身の重心が下にあるか上にあるかで揺れの影響の受け方は大きく変わります。これは食器棚などでも同様。大きな鍋や重いお皿などは必ず下の棚へ入れるようにしましょう。
ここまで教えてもらった方法は、本棚・食器棚など背の高い棚を固定する際に使えます。家の中を見回して、この棚が人の上に倒れてきたら? 倒れた棚がドアや窓などの避難路をふさいでしまったら? と考えてみましょう。棚の固定ができているかいないかで、災害時の安全が大きく変わることが実感できるのはないでしょうか。
身近にある段ボールやプチプラで購入できるアイテムを上手に活用して、二重三重の対策を進めていきましょう!
国際災害レスキューナース、一般社団法人育母塾代表理事。国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。
帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。
現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っている。
「地震・台風時に動けるガイド: 大事な人を護る災害対策」(発行:メディカル・ケア・サービス/発売:Gakken)、「レスキューナースが教えるプチプラ防災」「プチプラで『地震に強い部屋づくり』」(ともに扶桑社)など著書多数。