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【プチプラから始める地震対策】「食器棚の扉はすぐにロック」災害レスキューナースに聞きました

マグニチュード8~9クラスの地震の30年以内の発生確率が70~80%(2020年1月24日時点)とされている南海トラフ地震(※)などの地震をはじめ、風水害や火山など自然災害のリスクが常に身の回りにある日本。
分かってはいても災害への備えがついつい後回しになってしまっているという人、一緒に小さなところから家の中の防災対策を始めましょう!
国際災害レスキューナースとして活動されている辻 直美さんが教えてくれるのは、お金をかけずにできる「プチプラ防災」。100均でも買えるものなどを活用して、家の中の危険な場所をひとつずつ対策していきましょう。

リスクが大きい食器棚は最優先で!

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地震で家が揺れて、食器棚から食器が落ちる、割れる、飛び散る……。これがあるとないとでは、ケガのリスクやその後の片付けの大変さには大きな差がつきます。

「まずは食器棚の扉が揺れで開かないように対策していきましょう」と辻さん(以下「」内 辻さん)。

その1:耐震ラッチで揺れに備える

「耐震ラッチ」とは、揺れを感知した際に留め具が作動し、扉がロックされるアイテム。地震の際の中身の飛び出しを防ぐことができます。開き戸用のほかに引き出し用もあります。

「ビスで固定するもの、強力な両面テープで貼り付けるものなどがあります。取り付ける場所と耐震ラッチの組み合わせをよく確認してください。価格は500円~2,000円ほど、ホームセンターなどで手に入ります」

その2:子ども用の開き戸ロックも活用できる!

小さい子どものいたずら防止グッズとして販売されているもので、100均でも入手可能。簡単な仕組みですが、これがあるとないとでは大違い!

「商品にあらかじめついている両面テープは粘着力が弱いことが多いので、強力タイプの両面テープに交換して使うのがおすすめです」

その3:取手が付いた扉にはS字フックが使える

取手にS字フックをかけることでも扉が開くのを防止できます。

「S字フックをかけるときは、かける手(この場合は右手)で上からかける方向につけると、付け外ししやすいです」

「下からかける方向にするとやりにくくなるので注意しましょう」

 

「扉が開いて中の食器が落ちるのはもちろん大きな被害ですが、強い揺れが起こった際は中に入っている食器がビュン!と飛んできてぶつかることすらあります。

また、地震の最中や直後の危険だけでなく、あとの片付けでも砕けて飛び散った食器の片付けは心身ともに消耗するもの。食器が落ちない、割れないための対策はとても大切です」

扉が開かないよう、常にロックの確認を習慣づけていきたいですね。食器棚に限らず、家の中のさまざまな扉で“地震で揺れたときにこの扉が開いたらどんな被害があるかな?”と考えながら点検してみましょう。

※参照:国土交通省「国土交通白書2020」
https://www.mlit.go.jp/hakusyo/mlit/r01/hakusho/r02/html/n1222000.html

辻 直美
辻 直美

国際災害レスキューナース、一般社団法人育母塾代表理事。国境なき医師団の活動で上海に赴任し、医療支援を実施。

帰国後、看護師として活動中に阪神・淡路大震災を経験。実家が全壊したのを機に災害医療に目覚め、JMTDR(国際緊急援助隊医療チーム)にて救命救急災害レスキューナースとして活動。

現在はフリーランスのナースとして国内での講演と防災教育をメインに行い、要請があれば被災地で活動を行っている。

「地震・台風時に動けるガイド: 大事な人を護る災害対策」(発行:メディカル・ケア・サービス/発売:Gakken)、「レスキューナースが教えるプチプラ防災」「プチプラで『地震に強い部屋づくり』」(ともに扶桑社)など著書多数。

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