シンプルな味付けだから、料理へのアレンジは無限大に
null「ちょこっと漬け」は、少ない分量で作るので、余った野菜でもサッと作れて、漬け物にすることでおいしく長持ちします。数回で食べきれる量ですが、味付けがシンプルなので、さらに普段の料理にアレンジして使えるのがいいところ。
「あともう一品あれば……」「余った野菜をどうにか上手に使い切りたい」「夫も子供も、野菜をもっと食べて欲しい」そんな悩みを解消してくれる一品が、簡単にできあがります。
調理師や管理栄養士の資格を持ち、料理研究家として、2人の娘を持つ母としても日々奮闘している沼津さんだからこそ思いつく、手軽なうえにおいしくてアイディア溢れるメニューが盛りだくさん。忙しい女性に寄り添った、毎日の食卓を豊かにしてくれる簡単レシピを連載でお届けしていきます。
「きゅうりのかつお漬け」の作り方
nullまず初めは、きゅうり、塩、かつお節のたった3つの材料で作るちょこっと漬けをご紹介。
「塩の脱水効果できゅうりから水分が出て、その代わり、かつおの旨味がどんどん染み込みます」(以下「」内、沼津さん)。作り方も驚くほど簡単です。
【材料】
きゅうり・・・2本
塩・・・小さじ1/2
かつお節・・・1パック
【用意するもの】
ポリ袋・・・1枚
ちなみに、沼津さんのおすすめのポリ袋は、業務用スーパーで購入できる『ポリエチレン袋 12号』(0.025×230×340mm)。「適度な厚みがあって、使いやすい大きさ」と、沼津さんのイチオシです。
【作り方】
(1)きゅうりはヘタを切ってめん棒で叩き、ポリ袋に入れる。
きゅうりはよく洗って、ヘタを切り、めん棒で叩いて食べやすい大きさにします。包丁で切るよりも叩いた方が、断面が崩れて味が染みやすくなります。
(2)塩を振り、かつお節を加える。
塩は、きゅうり200g(約2本分)に対して小さじ1/2が基本。この比率を覚えておけば、きゅうりの本数が増えても大丈夫。かつお節はだし代わりになるので、1パックたっぷり加えましょう。
(3)全体を混ぜるようにしてもみ、空気を抜いて、ポリ袋の口を結ぶ。
全体に味が混ざるよう軽くもんで空気を抜き、ポリ袋の口を結びます。
(4)冷蔵庫に入れて30分以上おいたら、できあがり!
汁が漏れたりしても大丈夫なように、バットなどに入れて冷蔵庫で30分以上おいたら、完成です。保存期間は冷蔵庫で2〜3日を目安に、食べ切るようにしてください。
試食すると、かつお節のだしがしっかり効いて、ポリポリと小気味いい食感! 短時間おいただけですが、きゅうりを叩いて割った部分にかつおの風味がじんわり染み込んで、止まらないおいしさです。
これでも充分おいしいのですが、「ちょこっと漬け」はここからさらに味を変えて、美味なる世界を広げてくれます。それでは、日々の食卓が豊かになるアレンジレシピを2品ご紹介しましょう。
アレンジ1:かつおだしが香る、さっぱり即席冷汁
nullまずは、きゅうりと相性抜群の冷汁にアレンジ。
「ごはんにかけたり、そうめんやうどんのつけ汁にしたり。好みで豆腐を加えても、ボリュームが出ておいしいですよ」
【材料】
きゅうりのかつお漬け・・・1/2量
大葉・・・2枚
みょうが・・・1本
みそ・・・大さじ1
白すりごま・・・大さじ1
水・・・300ml
【作り方】
(1)ボウルに千切りにした大葉とみょうが、みそ、白すりごまを入れ、水を注いでよく混ぜる。
(2)きゅうりのかつお漬けを加え、冷蔵庫で冷やす。
かつおの風味が汁に染み渡り、きゅうり漬けのかつお節が密かにいい仕事をしているのを感じます。通常の冷汁はきゅうりを薄切りにして使いますが、この大胆なゴロッとした叩ききゅうりがまた味わい深く、いいアクセントになるんですね。
アレンジ2:ポリポリおいしい!きゅうりの卵チャーハン
null「塩とかつおの旨味がしっかり染み込んだきゅうりは、炒めてもおいしいんです」と、沼津さんが提案してくれた2品目は、なんとチャーハン。
「そのままきゅうりを炒めると水分が出てしまいますが、きゅうりのかつお漬けを使えば、きゅうりの水分が抜けているので失敗しません」
【材料】
きゅうりのかつお漬け・・・1/2量
卵・・・1個
ごはん・・・2膳
ごま油・・・小さじ1
こしょう・・・少量
しょうゆ・・・小さじ2
【作り方】
(1)フライパンにごま油を熱し、きゅうりのかつお漬けを炒める。
フライパンにごま油を熱し、温まったらきゅうりを加えて軽く炒めます。
(2)ごはんを入れ、溶き卵を加えて炒める。
すぐにごはんを入れ、溶き卵を加えます。ざっと混ぜたら、卵が固まるまではあまりいじらないのがポイント。卵が固まってきたら、全体の表裏をひっくり返すようにしながら炒めます。最初にいじらないことで、パラパラのチャーハンになるそうです。
(3)こしょうとしょうゆで味を調える。
こしょうを振って軽く炒め、しょうゆを鍋肌から回しかけ、全体を混ぜ合わせたら完成です。
確かに、ひと口食べて納得。「炒めたきゅうりがこんなにもチャーハンと合うんだ!」と、スタッフ一同びっくり。きゅうりから水分が出ないのでベチャベチャにならず、卵をまとったお米がパラパラと口のなかでほどけていきます。
「じゃこや鮭と一緒にきゅうりのかつお漬けを炒めて、仕上げにレモンを搾ってさわやかなチャーハンにするのもおすすめ。他にも、豚バラ肉やベーコン、ウインナーなど、お肉と一緒に炒めれば、ごはんがすすむおかずにも早変わりしてくれますよ」
以上、きゅうりを使ったちょこっと漬けでした。とっても簡単なのに、いろいろな料理にアレンジできるので、まずは試しに一度作ってみてください。
次回は、ヨーグルトを使った洋風のきゅうりのちょこっと漬けを紹介します。
【取材協力】
沼津りえ
料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『いろんな味で少しだけつくる ちょこっとだけ漬けもの』(学研プラス刊)など多数。
取材・文/岸綾香