「なす」でかさ増しすれば、栄養も食べ応えも満点!
null麻婆豆腐は食感が少ないため、男性や食べ盛りの子どもは、食べ応えとしては物足りなさを感じる場合も。沼津家では、そんな悩みを解消すべく、麻婆豆腐には「なす」を入れるのが定番とのこと。
「豆腐だけだとあまり噛まずに食べられてしまうため、食感やボリュームを出したいなと思い、我が家ではなすも入れるようになりました。これなら一皿でタンパク質に加え、野菜も摂れてバランスアップ!
なすは油をよく吸う野菜ですが、ひき肉から出た脂を上手に使って少ない油で炒めるので、こってりと重すぎず、とっても食べやすいですよ」(以下「」内、沼津さん)
確かに麻婆味にぴったりのなすを入れるのは一石二鳥ですね! 作り方を見てみましょう。
【材料】(2人分)
木綿豆腐・・・1/2丁(150g)
なす・・・1本
豆板醤・・・小さじ1/2
にんにく(みじん切り)・・・小さじ1
しょうが(みじん切り)・・・小さじ1
ごま油・・・小さじ1
長ねぎ(みじん切り)・・・1/2本(20g)
豚ひき肉・・・80g
塩・・・少量
こしょう・・・少量
水・・・100ml
しょうゆ・・・小さじ1
オイスターソース・・・小さじ2
細ねぎ(小口切り)・・・適宜
ラー油・・・適宜
[水溶き片栗粉]
片栗粉・・・大さじ1/2
水・・・大さじ1
【作り方】
(1)木綿豆腐を切る

今回はなすの食感に合わせて、弾力のある木綿豆腐を使います。木綿豆腐は1.5cm角に切ります。
(2)なすを切る

なすはヘタを取り、十字に切って4等分にしてから、豆腐の大きさに合わせて1.5cm幅に切ります。
(3)調味料を炒める

フライパンに豆板醤(小さじ1/2)、みじん切りにしたにんにくとしょうが(各小さじ1)、ごま油(小さじ1)、みじん切りにした長ねぎを入れ、弱火でじっくりと炒めて香りを引き出します。あまりいじらず、平らに広げて混ぜるのを繰り返してください。
「生のにんにくとしょうがを使うと旨味がアップ。家族みんなが食べやすいようにマイルドな辛さにしているので、辛いのがお好きな場合は豆板醤を増やしてください。まず初めに弱火でしっかり炒めて、甘味を引き出すのがポイント。これは麻婆豆腐の旨味のベースを作る作業で、長ねぎのツンとしたニオイが甘い香りに変わるまでじっくり炒めてください」
(4)豚ひき肉を炒める

長ねぎの甘い香りがして、音もプチプチしてきたら、炒めた調味料を端に寄せて、空いたスペースに豚ひき肉を入れてください。豚ひき肉は焼きつけるようなイメージで、中火で焼きます。すぐに触らずに広げてから少し待ち、プチプチと肉の脂が出てきたら混ぜましょう。
「ひき肉料理は“焼きつける”ようにして炒めると、無駄な水分が出ず、旨味が凝縮され、肉の臭みが抜けて、香ばしく仕上がります」
豚ひき肉を焼きつけたら、炒めた調味料と混ぜ合わせてから、一度火を弱めてください。
(5)なすを炒める

なすを加え、豚ひき肉から出た脂を使ってなすを中火で炒めます。豚ひき肉から出た脂をなすにしっかり絡めながら、なすのツヤが出るまで1〜2分炒めましょう。
「なすは切ってすぐ調理をする場合、アク抜きは不要です。なすを加えると食感が出て、食べ応えアップ! かさ増しできておすすめです」
(6)調味料と水を入れる

塩・こしょう(各少量)を振り、水(100ml)を入れます。さらに、しょうゆ(小さじ1)、オイスターソース(小さじ2)を入れ、全体を混ぜ合わせてからひと煮立ちさせます。
「水を入れる前に塩味をつけることで、味がキリッと締まります」
(7)豆腐を入れる

煮立ってきたら豆腐を入れ、少し煮込んで豆腐に旨味を吸わせます。
(8)とろみをつける

水溶き片栗粉(片栗粉大さじ1/2、水大さじ1)を入れ、弱火にして全体にとろみをつけたら完成です。
「水溶き片栗粉は、混ぜながらすばやく入れるとダマになりにくいですよ」
(9)できあがり!

器に盛り、お好みで細ねぎやラー油を追加しても。熱々のうちに、いただきましょう!
ひと口食べると、刺激的な辛さの四川料理の麻婆とは違って、まろやかで優しい味わい。辛すぎず、素材の旨味が生きていて、ごはんのおかずにもぴったり。なんというか安心して食べられるおうちの味なんです。豚ひき肉の脂を上手に使って、少ない油で炒めているのでこってり重すぎないのも特徴です。そして何と言っても、なすが加わることでグンとボリュームが出て、野菜も一緒に摂れるのが嬉しい!
「最初にじっくりと甘味や旨味を引き出しているので、少ない調味料で味付けできるため、食べ疲れません。子どもたちも昔から大好きで、いまや長女の得意料理なんですよ(笑)」
我が家でも早速作ってみたところ、なすと豆腐が相性抜群。お互いを邪魔しないのと、どちらもそもそも麻婆味が合うので、栄養的にも食べ応え的にも、おかずとしてパワーアップする感じ。これからは、なすを入れるのが定番になりそう! 大人だけが食べる場合は、仕上げに花椒やラー油を追加しても美味しいです。
市販の素などを使わずに、おうちの調味料で美味しく作れる麻婆豆腐なす。ぜひ、秋なすの季節に試してみてください。
取材・文/岸綾香
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料理研究家、管理栄養士、調理師。料理教室『cook会』主宰。バラエティー豊かなレッスン内容が好評で、東京・阿佐ヶ谷を中心に数多くの料理教室を開催。毎年、梅漬けの教室はリピーターが多く大人気に。手軽でシンプルなアイディア溢れるレシピに定評があり、雑誌などのメディアでも活躍。著書に『ごま油さえあれば さっぱりもコク旨も、いつもの家ごはん98』(小学館)、『マンガでわかった! ラクしておいしい作りおき』(主婦の友社)、『からだとこころがととのう滋養菓子』(日東書院本社)など多数。HPはこちら。Instagram@rienumadu YouTube 管理栄養士 沼津りえの「阿佐ヶ谷夫婦チャンネル」