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デミグラス缶で作る!究極の「ビーフシチュー」の作り方【プロが教えるおうちイタリアン#23】

東京都千駄ヶ谷にある『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ・小野宗隆さんに、おうちで楽しむビストロ料理を教えてもらう連載企画。

今回は、クリスマスや年末年始のごちそうにぴったりな「ビーフシチュー」をご紹介。市販のデミグラスソース缶を使って、ワンランク上の本格的なお店の味に仕上げるコツを伝授します!

「3つのポイント」でプロの味に格上げ!

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濃厚で複雑な味わいが美味な冬のごちそう「ビーフシチュー」。市販のデミグラスソース缶などを使って作る人が多いと思いますが、お店で食べる味とはやっぱりちょっと何かが違う。そこで、小野さんに作り方を聞いてみると……。

「一からデミグラスソースを作ったらお店でも何日もかかってしまいます。デミグラスソース缶で、実は充分おいしく作れるんですよ。市販の缶詰に作り方が載っていますが、その通りに作るのではなく、ちょっとひと手間かけてあげるだけで、本格的なお店の味に近付きます。

市販の作り方だと、大体ケチャップや赤ワインを隠し味に入れるのですが、これだと酸味が立ってしまいます。またシチュー用にカットされた牛肉を長時間煮込むと、肉が縮んでパサパサになりやすい。

おいしく作るポイントは3つ。赤ワインのコク、カラメルの甘味を加えて深みを出し、ブロック肉を使って牛肉のやわらかさをキープする。少し手間はかかるのですが、特別な日のごちそうに究極のビーフシチューを作ってみてはいかがでしょうか?」(以下「」内、小野さん)

普段、私もデミグラスソース缶で作りますが、頑張って煮込んだわりには何か物足りないなぁ……と、感じることも。ぜひ、プロのワザを知りたいです!

【材料】(4人分)

にんじん・・・1本

玉ねぎ・・・1個

じゃがいも・・・小4個

ブロッコリー・・・4房

オリーブオイル・・・大さじ1

水・・・1,000ml

赤ワイン・・・400ml

牛肩ロースブロック肉・・・500g

ローリエ・・・1枚

ローズマリー・・・1枚

デミグラスソース缶・・・1缶(400g)※市販のルーでも可。

塩・・・適量

バター・・・10g

 

[カラメルソース用]

グラニュー糖・・・大さじ1

水・・・100ml

【作り方】

(1)野菜を切る

にんじんは皮をむき、両端を切り落としてひと口大の乱切りに。玉ねぎは芯を取り、くし形切りにします。じゃがいもは小さめの新じゃがを皮ごと半分に、ブロッコリーは小房に分けて半分に切ります。

(2)玉ねぎとにんじんを炒める

鍋にオリーブオイルを熱し、玉ねぎとにんじんを入れ、しんなりして焼き色が付くまで強火で炒めます。全体的に焼き色が付いたら、水を入れて沸騰するまで強火で煮ます。

「玉ねぎとにんじんに焼き色を付けることで、香ばしい香りがソースに溶け込み、グッと深みが増します」

(3)赤ワインを煮詰める

そしてここからがまず第1のポイント。通常の作り方だと赤ワインを加えて煮込むのがほとんどですが、これだと赤ワインの酸味が立ってしまいます。

そこで、別の小鍋に赤ワインを入れ、強火でアルコールを飛ばしながら、1/4くらいの量になるまで赤ワインを煮詰めていきます。アルコールから炎が出やすいので、家庭で行うときは注意して行ってください。

「これはお店のテクなのですが、煮詰めることで、濃い赤ワインの味をシチューにしっかり加えることができ、深みのある複雑な味わいになるんです」

(4)カラメルソースを作る

次が第2のポイント。煮込むときに入れるカラメルソースを作ります。

別の小鍋にグラニュー糖、水小さじ1(分量外)を入れ、強火で焦がしてカラメルを作ります。焦がしすぎないように注意しながら、全体的に茶色くなったらOKです。跳ねるので水100mlを少しずつ入れ、全量を入れたら再度強火にかけると、飴状になったカラメルが水に溶け出します。

「これもビーフシチューの隠し味のひとつ。焦がしたカラメルの甘味が加わって、コクと旨味がグンとアップします」

できあがったら、野菜を煮込んでいる鍋にカラメルソースを加えましょう。

(5)牛肉を焼く

そして第3のポイントがこちら。家庭では煮込み用にカットされた牛肉を使うことが多いと思いますが、お店では「ブロック肉」を使うことで、肉が縮んで固くなるのを防ぎます。

フライパンにオリーブオイル大さじ1(分量外)を熱し、牛肉を強火で焼き、こんがりと全面に焼き色を付けてからスープに入れて煮込んでいきます。

「ひと口大に切った牛肉よりもブロック肉をそのまま煮込んだ方が、肉の縮みが少なく、牛肉がホロッとやわらかい口溶けに仕上がります。今回は買いやすい肩ロース肉を使いましたが、ほほ肉やすね肉などもやわらかく仕上がるのでおすすめです」

(6)赤ワインソースを加える

赤ワインが煮詰まってきたら鍋の底に線を引き、跡が残れば完成です。野菜を煮込んでいるスープに入れ、ローリエとローズマリーも加えます。

(7)弱火で1時間半〜2時間煮込む

アルミ箔で落としぶたをして、ギリギリ沸いているくらいの弱火で、1時間半〜2時間じっくり煮込みます。

牛肉に竹串を刺して、スッと入ればOK。硬い場合はさらに30分ほど煮込み、水分が少なければ水を足してください。

(8)デミグラスソース缶を入れる

デミグラスソース缶を入れ、強火にして、沸騰したら30分ほど煮込みます。デミグラスソース缶がない場合は、市販のビーフシチュー用のルーでもOKです。

(9)じゃがいもを入れ、20〜30分煮込む

最後にじゃがいもを入れ、さらに20〜30分煮込みます。

「じゃがいもは溶けやすいので、最後の20〜30分で入れてください。仕上げに加えると他の野菜に比べて長時間煮込まないで済むので、でんぷんが溶けてドロドロになりません」

(10)牛肉を冷蔵室で冷ます

牛肉を取り出して粗熱を取り、冷蔵室で1時間ほど冷やします。

「熱い状態で切ると牛肉がボロボロになってしまうので、一度冷やしてから食べやすく切りましょう」

(11)ブロッコリーをゆでる

湯を沸かして塩適量(分量外)を入れ、ブロッコリーを入れて1分ほどゆでます。ザルにあげて、水気を切ります。

(12)牛肉を切る

牛肉を冷蔵室から取り出し、ひと口大に切り分け、切った牛肉をシチューに戻し入れて温めます。味見をして塩で味を調え、コク出しのバターを入れましょう。

(13)できあがり!

皿に盛り付けたら完成です。

早速ひと口食べてみると、牛肉がホロッホロ! 口に入れるとやわらかくとろけるようです。シチューのコクと甘味が奥深く、複雑で濃厚になってワンランク上の味に。私も同じハインツのデミグラスソース缶を普段使用していますが、自分で作ったのとはひと味違うおいしさに驚きました!

ひと手間かかりますが、クリスマスやホームパーティー、年末年始の特別な日のごちそうに、ぜひプロの味のビーフシチューを作ってみてはいかがでしょうか。格上げした一皿に、家族も喜ぶこと間違いなしです!

 

取材・文/岸綾香

【取材協力】

小野宗隆

軽井沢高原野菜、提携農家の産直有機野菜、無農薬野菜などを中心に使用する洋食店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ。イタリア料理、フランス料理を中心に料理長としてのキャリアを積み上げ、店舗立ち上げやメニュー開発などを多数経験。ソムリエの資格も持つ。kufuraの動画『プロが教える本格パスタレシピ』も人気。

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