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絶品「アクアパッツァ」の作り方。魚の下ごしらえで驚くほどおいしく!【プロが教えるおうちイタリアン#11】

東京都千駄ヶ谷にある隠れ家的イタリア料理店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ・小野宗隆さんに、おうちで楽しむイタリア料理を教えてもらう連載企画。

今回は、ぜひきちんとした作り方を一度は知っておきたい「アクアパッツァ」を紹介します。魚の下処理を簡単に行うコツなど、プロの技を動画で分かりやすく解説しているので、これは必見! ぜひこの機会に、イタリア料理の王道レシピをマスターしちゃいましょう。

「ひれ」を処理すると、小骨が取れてグンと食べやすく!

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今回の「アクアパッツァ」は切り身ではなく、魚を丸ごと1尾使います。切り身でも作れますが、「骨付きの方が魚のだしがよく出るので、やっぱり格別ですよ!」と、小野さん。でも、魚の下処理って難しそう……。

「魚をさばくわけではないので、実はそんなに難しくありません。お店では、背びれや尾びれなど、ひれも調理前に処理しています。このひと手間で身の中の小骨が取れるので、グンと食べやすくなりますよ。基本は白身魚とあさりを入れれば、旨味はバッチリです!」(以下「」内、小野さん)。

また、小野さんいわく、“アクアパッツァ”とは、イタリア語で“狂った水”や”暴れる水”という意味があるそう。魚からおいしいだしを引き出すために使う「水」も重要とのこと。

「水は水道水ではなく、軟水のミネラルウォーターがおすすめです。硬水だと充分にだしが出ないので、仕上がりのおいしさが変わってきます」

動画を見れば魚の下処理のポイントも一目瞭然! 早速作り方をチェックしてみましょう。

【材料】(2人分)

ブロッコリー・・・3房

白身魚(今回は黒ムツを使用)・・・1尾(約300g)

塩・・・適量

粗挽き黒こしょう・・・適量

にんにく(すりおろし)・・・小さじ1、小さじ1/2

バジル・・・8枚

オリーブオイル・・・大さじ1、大さじ1、大さじ3

あさり・・・100g

ミニトマト・・・6個

白ワイン・・・大さじ2

水・・・300ml

しょうゆ・・・小さじ1

【作り方】

(1)ブロッコリーを切る

ブロッコリーは3房ほど切り分けます。1房は縦半分に切っておきます。

(2)魚のウロコを取る

白身魚は1尾、300gくらいのものを用意します。

「小鯛、アイナメ、メバル、イサキなど、スーパーで買いやすい白身魚なら何でもOKです。今回は黒ムツを使います。刺身用よりも加熱用の魚の方が手頃な価格なので、1尾でも買いやすいですよ」

まず、包丁の背を使って、魚のウロコを取ります。水を流しながら行うと、ウロコが飛び散りにくいそう。ウロコ取りがある人は、ウロコ取りを使うと、より簡単にウロコを処理できます。

(3)魚の内臓を取り出し、きれいに洗う

次は内臓を処理します。キッチンバサミでお腹に切り込みを入れ、内臓はお尻の付け根を先に切ります。内臓を繋げたまま、エラの中に指を入れて、グリッと回しながらエラを取り出します。

「こうするとエラと一緒に内臓もきれいに取り出せます」

流水でお腹の中をきれいに洗い、首の根元に血合いがあるので、ここも軽く洗い流しましょう。

内臓はお尻の付け根を先に取るのがポイント。
エラの中に指を入れ、グリッと回すときれいに取れる!

(4)背びれと尻びれを取る

さらにお店では、ひれを調理前に処理しているそう。このひと手間でグンと食べやすくなります。

まず、背びれの先端から終わりまで切れ目を入れます。切れ目は表と裏、両方に入れましょう。さらに尻びれにも同様に、表と裏に切れ目を入れます。

切れ目を入れ終わったら、布巾などで背びれを持ち、後ろから前に向かって勢いよく引っ張ると、背びれがきれいに取れました! 尻びれも同様に引っ張って取りましょう。

背びれと尻びれの表と裏に切れ目を入れる。
後ろから前に勢いよく引っ張ればOK! 簡単に取れてビックリ。

「背びれと尻びれを取ると中の細かい小骨が取れて、とても食べやすくなるんです。これなら、お子さんも食べやすくなるのでおすすめです」

(5)胸びれ、腹びれ、尾びれを取る

さらに、ひれからだしは出ないので「すべて取ってしまってOK!」と小野さん。

胸びれ、腹びれはキッチンバサミで切ります。尾びれはビジュアル的に残しておきたい人は、そのままでもいいですが、こちらもだしは出ないので調理しやすいように切ってしまいます。

胸びれと腹びれはキッチンバサミでチョキン!
だしが出ないので尾びれも調理前にカット。

(6)魚に下味をつける

魚の中央に斜めに切れ目を入れます。反対側にも同様に切れ目を入れましょう。

「切り口から味が染みて、おいしく仕上がります。あまり深く切りすぎると、煮崩れしやすいので注意してください」

魚の腹の内側に、すりおろしたにんにく小さじ1を指で塗ります。さらに、塩をお腹の中と外側の全面に振ります。粗挽き黒こしょうを魚の両面に振り、最後にお腹の中にバジルを1枚入れたら下ごしらえは完了です!

「魚の内側からも味が染みるので、お腹の中にもにんにくや塩でしっかり味付けをしてくださいね」

(7)魚を中火で焼く

フライパンにオリーブオイル大さじ1を入れて熱し、魚の盛り付ける面を下にして中火で焼きます。あまり動かさず、焼き色がついたらひっくり返しましょう。焦げつきそうになったら、途中でオリーブオイル大さじ1を足し、背中も焼いてください。

「このこんがりとした焦げが香ばしいだしになりますよ!」

(8)あさりとミニトマトを入れ、弱火で10分煮る

魚が香ばしく焼けたら、砂抜きしたあさりとミニトマトを入れます。さらに白ワインと水を入れたら、ふたをして弱火で10分ほど煮ます。

「このときに軟水のミネラルウォーターを使うと、だしがよく出るのでおすすめです」

仕上がる2分前になったら、ブロッコリーを入れてください。

(9)皿に魚を盛り付ける

煮終わったら、魚、あさり、ミニトマト、ブロッコリー、すべての具材を皿に盛り付けます。魚は崩れやすいのでフライ返しなどを使うといいですよ。

(10)ソースを作る

具材を取り出し、フライパンに残ったソースを再度強火にかけます。すりおろしたにんにく小さじ1/2、しょうゆを入れ、しっかり沸騰したらオリーブオイル大さじ3を少しずつ入れます。

「スープがボコボコと沸いたら、オリーブオイルを入れてください。アクアパッツァの語源となる“狂った水”は、まさにこれが由来。フライパンをゆすりながら入れると乳化しやすいですよ。跳ねやすいので注意して行ってくださいね」

これでソースが完成です!

(11)ソースをかけたら、できあがり!

熱々のソースを、盛り付けておいた具材にたっぷりかけます。仕上げに残りのバジルをちぎって散らしたらできあがりです!

丸ごと1尾使ったアクアパッツァは、さすが見た目も華やか! 食べてみると、身がスルッと骨からはがれて、食べやすくてビックリ。小骨がほとんどないので、大きな骨さえ気をつければOK。

ホロホロの身が、魚とあさりの旨味たっぷりのスープを吸って絶品! ブロッコリーの房にもスープがジュワッと染みて最高です。ここにパスタを入れてもGood。小骨がないので取り分けるのも簡単で、スタッフ一同、ペロリと完食してしまいました。

魚を1尾使うので難しそうな先入観がありましたが、使う食材はとってもシンプルで、一皿で立派なごちそうになります。おうち時間が続くいま、ぜひ特別な日に家族で楽しんでみてくださいね。

次回は、おうちでお店の味を再現! 「ガーリックトースト」について教えてもらいます。

【取材協力】

小野宗隆

軽井沢高原野菜、提携農家の産直有機野菜、無農薬野菜などを中心に使用する洋食店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ。イタリア料理、フランス料理を中心に料理長としてのキャリアを積み上げ、店舗立ち上げやメニュー開発などを多数経験。ソムリエの資格も持つ。kufuraの動画『プロが教える本格パスタレシピ』も人気。

 

取材・文/岸綾香

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