「ひれ」を処理すると、小骨が取れてグンと食べやすく!
null今回の「アクアパッツァ」は切り身ではなく、魚を丸ごと1尾使います。切り身でも作れますが、「骨付きの方が魚のだしがよく出るので、やっぱり格別ですよ!」と、小野さん。でも、魚の下処理って難しそう……。
「魚をさばくわけではないので、実はそんなに難しくありません。お店では、背びれや尾びれなど、ひれも調理前に処理しています。このひと手間で身の中の小骨が取れるので、グンと食べやすくなりますよ。基本は白身魚とあさりを入れれば、旨味はバッチリです!」(以下「」内、小野さん)。
また、小野さんいわく、“アクアパッツァ”とは、イタリア語で“狂った水”や”暴れる水”という意味があるそう。魚からおいしいだしを引き出すために使う「水」も重要とのこと。
「水は水道水ではなく、軟水のミネラルウォーターがおすすめです。硬水だと充分にだしが出ないので、仕上がりのおいしさが変わってきます」
動画を見れば魚の下処理のポイントも一目瞭然! 早速作り方をチェックしてみましょう。
【材料】(2人分)
ブロッコリー・・・3房
白身魚(今回は黒ムツを使用)・・・1尾(約300g)
塩・・・適量
粗挽き黒こしょう・・・適量
にんにく(すりおろし)・・・小さじ1、小さじ1/2
バジル・・・8枚
オリーブオイル・・・大さじ1、大さじ1、大さじ3
あさり・・・100g
ミニトマト・・・6個
白ワイン・・・大さじ2
水・・・300ml
しょうゆ・・・小さじ1
【作り方】
(1)ブロッコリーを切る
ブロッコリーは3房ほど切り分けます。1房は縦半分に切っておきます。
(2)魚のウロコを取る
白身魚は1尾、300gくらいのものを用意します。
「小鯛、アイナメ、メバル、イサキなど、スーパーで買いやすい白身魚なら何でもOKです。今回は黒ムツを使います。刺身用よりも加熱用の魚の方が手頃な価格なので、1尾でも買いやすいですよ」
まず、包丁の背を使って、魚のウロコを取ります。水を流しながら行うと、ウロコが飛び散りにくいそう。ウロコ取りがある人は、ウロコ取りを使うと、より簡単にウロコを処理できます。
(3)魚の内臓を取り出し、きれいに洗う
次は内臓を処理します。キッチンバサミでお腹に切り込みを入れ、内臓はお尻の付け根を先に切ります。内臓を繋げたまま、エラの中に指を入れて、グリッと回しながらエラを取り出します。
「こうするとエラと一緒に内臓もきれいに取り出せます」
流水でお腹の中をきれいに洗い、首の根元に血合いがあるので、ここも軽く洗い流しましょう。
(4)背びれと尻びれを取る
さらにお店では、ひれを調理前に処理しているそう。このひと手間でグンと食べやすくなります。
まず、背びれの先端から終わりまで切れ目を入れます。切れ目は表と裏、両方に入れましょう。さらに尻びれにも同様に、表と裏に切れ目を入れます。
切れ目を入れ終わったら、布巾などで背びれを持ち、後ろから前に向かって勢いよく引っ張ると、背びれがきれいに取れました! 尻びれも同様に引っ張って取りましょう。
「背びれと尻びれを取ると中の細かい小骨が取れて、とても食べやすくなるんです。これなら、お子さんも食べやすくなるのでおすすめです」
(5)胸びれ、腹びれ、尾びれを取る
さらに、ひれからだしは出ないので「すべて取ってしまってOK!」と小野さん。
胸びれ、腹びれはキッチンバサミで切ります。尾びれはビジュアル的に残しておきたい人は、そのままでもいいですが、こちらもだしは出ないので調理しやすいように切ってしまいます。
(6)魚に下味をつける
魚の中央に斜めに切れ目を入れます。反対側にも同様に切れ目を入れましょう。
「切り口から味が染みて、おいしく仕上がります。あまり深く切りすぎると、煮崩れしやすいので注意してください」
魚の腹の内側に、すりおろしたにんにく小さじ1を指で塗ります。さらに、塩をお腹の中と外側の全面に振ります。粗挽き黒こしょうを魚の両面に振り、最後にお腹の中にバジルを1枚入れたら下ごしらえは完了です!
「魚の内側からも味が染みるので、お腹の中にもにんにくや塩でしっかり味付けをしてくださいね」
(7)魚を中火で焼く
フライパンにオリーブオイル大さじ1を入れて熱し、魚の盛り付ける面を下にして中火で焼きます。あまり動かさず、焼き色がついたらひっくり返しましょう。焦げつきそうになったら、途中でオリーブオイル大さじ1を足し、背中も焼いてください。
「このこんがりとした焦げが香ばしいだしになりますよ!」
(8)あさりとミニトマトを入れ、弱火で10分煮る
魚が香ばしく焼けたら、砂抜きしたあさりとミニトマトを入れます。さらに白ワインと水を入れたら、ふたをして弱火で10分ほど煮ます。
「このときに軟水のミネラルウォーターを使うと、だしがよく出るのでおすすめです」
仕上がる2分前になったら、ブロッコリーを入れてください。
(9)皿に魚を盛り付ける
煮終わったら、魚、あさり、ミニトマト、ブロッコリー、すべての具材を皿に盛り付けます。魚は崩れやすいのでフライ返しなどを使うといいですよ。
(10)ソースを作る
具材を取り出し、フライパンに残ったソースを再度強火にかけます。すりおろしたにんにく小さじ1/2、しょうゆを入れ、しっかり沸騰したらオリーブオイル大さじ3を少しずつ入れます。
「スープがボコボコと沸いたら、オリーブオイルを入れてください。アクアパッツァの語源となる“狂った水”は、まさにこれが由来。フライパンをゆすりながら入れると乳化しやすいですよ。跳ねやすいので注意して行ってくださいね」
これでソースが完成です!
(11)ソースをかけたら、できあがり!
熱々のソースを、盛り付けておいた具材にたっぷりかけます。仕上げに残りのバジルをちぎって散らしたらできあがりです!
丸ごと1尾使ったアクアパッツァは、さすが見た目も華やか! 食べてみると、身がスルッと骨からはがれて、食べやすくてビックリ。小骨がほとんどないので、大きな骨さえ気をつければOK。
ホロホロの身が、魚とあさりの旨味たっぷりのスープを吸って絶品! ブロッコリーの房にもスープがジュワッと染みて最高です。ここにパスタを入れてもGood。小骨がないので取り分けるのも簡単で、スタッフ一同、ペロリと完食してしまいました。
魚を1尾使うので難しそうな先入観がありましたが、使う食材はとってもシンプルで、一皿で立派なごちそうになります。おうち時間が続くいま、ぜひ特別な日に家族で楽しんでみてくださいね。
次回は、おうちでお店の味を再現! 「ガーリックトースト」について教えてもらいます。
【取材協力】
小野宗隆
軽井沢高原野菜、提携農家の産直有機野菜、無農薬野菜などを中心に使用する洋食店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ。イタリア料理、フランス料理を中心に料理長としてのキャリアを積み上げ、店舗立ち上げやメニュー開発などを多数経験。ソムリエの資格も持つ。kufuraの動画『プロが教える本格パスタレシピ』も人気。
取材・文/岸綾香