ゆでてから焼くから、外はパリッ!なのに中はしっとり
null鶏むね肉は安くてボリュームもあって家計に優しいお助け食材ですが、もも肉に比べてパサつきやすいのが悩み。しっとり仕上げたいけど、皮はパリパリにしたい。そこで小野さんに聞いてみると……。
「中に火が通るまで焼くと、鶏むね肉がパサパサになって硬くなってしまいます。なので、先に下ゆでしてから焼けば、中はしっとりのまま、外の皮はパリッと香ばしく仕上げることができます。その際にフライパンに油をひくのではなく、鶏むね肉に直接油を塗り込みます。これで皮をパリパリに焼くことができますよ」(以下「」内、小野さん)
「ゆでてから焼く」という発想、なかったです! これぞプロの技ですね。早速チェックしてみましょう。
【材料】(2人分)
鶏むね肉・・・2枚(250g)
水・・・1.5L
塩・・・大さじ1
ローリエ・・・1枚
マヨネーズ・・・30g
はちみつ・・・大さじ1
マスタード・・・大さじ1
レモン・・・1/4個
オリーブオイル・・・適量
【作り方】
(1)鶏むね肉を開く
鶏むね肉は余分な脂を取り除き、中央に切れ目を入れて開き、厚さを均等にします。
(2)鶏むね肉をゆでる
1.5Lの水を沸かし、塩とローリエを入れ、沸騰したら鶏むね肉を入れます。再度沸騰したら、極弱火にして12分ゆでましょう。沸くか沸かないかくらいの温度(80〜90℃)で10分前後ゆでると芯温が65℃くらいになり、しっとりするそうです。
「12分経ったら鶏むね肉を触ってみて、まだ中が生だとぶよぶよしてはね返しがなく、ゆで過ぎている場合は硬いので、適度な弾力があればOK。ゆで汁は鶏のだしがたっぷり出ているので、具材を入れて中華スープにしてもいいですよ」
小野さんからゆで汁をひと口もらったところ、もっと薄味かと思ったら濃い味でびっくり。鶏の旨味がじんわり染みて、ローリエと塩もしっかり利いているので、味付けせずにそのまま飲んでもおいしかったです!
(3)鶏むね肉をラップで包む
鶏むね肉をラップで包み、常温で12分置いて余熱で火を通します。
「さらに余熱で火を通すことでパサパサにならず、しっとり仕上がります」
(4)ソースを作る
その間にソースを作りましょう。ボウルにマヨネーズ、はちみつ、マスタードを入れたら、レモンの皮を少量すりおろして入れ、さらにレモン果汁を搾り、よく混ぜ合わせます。レモンはできれば国産のものを使い、皮はよく洗って使ってください。
(5)鶏むね肉にオリーブオイルを塗る
鶏むね肉の水気をペーパーなどでよく拭き取り、両面にオリーブオイル(大さじ2)を塗って手でなじませます。
「オイルは直接塗るほうが、ムラなくパリッと仕上がります。フライパンにひくよりも、直接塗った方がオイルもムダにしません」
確かにフライパンにオイルをひくと、鶏むね肉が接する面しかオイルが付きませんが、これならムラがないですね!
(6)鶏むね肉を焼く
いよいよ鶏むね肉をソテーします。皮を下にして入れ、トングなどでギュッと押し付けながら、強火で3分ほど焼きます。
「時々押し付けながら焼くことで、皮がパリッと仕上がります。ひっくり返したら、裏面はサッと焼くだけでOK。ここでは皮を香ばしく仕上げるために焼くだけなので、この段階で焼きすぎると、せっかく中がしっとり仕上がっているのに硬くなってしまうので注意してくださいね」
(7)皿に盛り付ける
鶏むね肉をフライパンから取り出し、食べやすい大きさに切り分け、葉野菜と一緒に皿に盛ります。身が厚いので味付け用に塩少量(分量外)を振ってから、作ったソースをかけ、仕上げにオリーブオイル(適量)をかけたら完成です。
(8)できあがり!
ひと口食べてみると、皮はパリッと香ばしく、中は驚くほどふっくら! 鶏むね肉とは思えないほどしっとりしていて感動もの。さらに淡白な鶏むね肉にレモンが香るハニーマスタード風のマヨソースがとっても合います! マスタードも入っていますが辛味はないので、子どもが喜びそうな味。レモンとマヨネーズの酸味でしつこくなくさっぱり食べられます。
少し手間はかかりますが、格段においしく仕上がるので、ぜひおうちでプロの味を試してみてください。深みのある鶏スープもぜひ味わってくださいね!
次回は、新感覚の「ミニトマトのハニービネガーマリネ」の作り方を紹介します。
【取材協力】
小野宗隆
軽井沢高原野菜、提携農家の産直有機野菜、無農薬野菜などを中心に使用する洋食店『Bistro Coco 路地裏』のオーナーシェフ。イタリア料理、フランス料理を中心に料理長としてのキャリアを積み上げ、店舗立ち上げやメニュー開発などを多数経験。ソムリエの資格も持つ。kufuraの動画『プロが教える本格パスタレシピ』も人気。
取材・文/岸綾香